★インタビュー★カイロプラクター

お話を聞いたのは

「カイロプラクター」という職業について、一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会の竹谷内啓介さんにインタビューをしました。

【お名前】
竹谷内 啓介(たけやち けいすけ)

【経歴】
2002年
オーストラリアRMIT大学
カイロプラクティック学科卒業

2011年
東京カイロプラクティック 院長

2013年
日本カイロプラクターズ協会(JAC)会長

2016年
世界カイロプラクティック連合(WFC) 役員

カイロプラクターという職業について教えてください。

カイロプラクターとはカイロプラクティック治療の専門家です。

カイロプラクティックは背骨を中心とした身体の構造と機能に注目した医療(ヘルスケア)です。

背骨や手足の周辺部位を調整して、姿勢の改善、機能改善、痛みの軽減、そして身体の自然治癒力を高める自然療法です。

カイロプラクティック発祥国のアメリカをはじめ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどでは独立した医療(ヘルスケア)の職業として認められています。

こうした国々ではカイロプラクティックの専門大学で履修後、国家資格を取得してカイロプラクターとなります。

腰痛や首の痛みなどの悩みを持つ人がカイロプラクターの治療を受けています。

高齢化社会やスポーツの分野で注目されている職業です。

※参考1
厚生労働省
「統合医療」情報発信サイト
http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/04.html

一般的なカイロプラクターの1日の業務の流れを教えてください。

【個人開業もしくは就職しているカイロプラクターの場合】

09:00~10:00
オフィスの準備(清掃や治療テーブルの点検、カルテの確認など)

10:00~13:00
カイロプラクティックの臨床(治療)

13:00~14:00
休憩(お昼休み)

14:00~19:00
カイロプラクティックの臨床(治療テーブルの調整や清掃、カルテの準備)

※各オフィスによって開院・閉院時間・休憩時間は変わります。

類似する「あん摩マッサージ指圧師」や「柔道整復師」との違いを教えてください。

あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師はカイロプラクターと同じく医業類似行為に分類されています。

あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師になるには3年以上の教育を履修して国家資格を取得しなければなりませんが、カイロプラクターは法律がなく国家資格ではありません。

カイロプラクターは、筋肉や骨に係わる様々な症状を持つ患者に対し、薬物・外科を使わずに骨格の歪み、特に背骨の異常を手技によって調整して神経生理機能の回復を図り、症状の改善及び健康を増進させます。

背骨を手技で調整する治療法は、カイロプラクティックの特徴です。

※参考2
厚生労働省
ハローワークインターネットサービス
医療・保健・福祉の職業
https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_dictionary_field_07.html

※参考3
厚生労働省
医業類似行為に対する取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html

貴協会ではカイロプラクターの資格制度の設置について取り組んでいますが、どのような問題点があるとお考えでしょうか。

現在の日本ではカイロプラクティックに関する法律が全くありません。

当会(日本カイロプラクターズ協会)所属のカイロプラクターは、すべて国際水準のカイロプラクティック専門大学の卒業生もしくはそれに準じた教育課程を修了した卒業生です。

全国の消費者センターにはカイロプラクティック・整体によって健康被害に遭ったという報告が増えています。

健康被害が起こる主な理由としては、資格制度が設置されていないために誰もが自由にカイロプラクターを自称できることがあげられます。

海外であれば4年以上かけてカイロプラクティックの専門大学で学ぶ知識を日本では数日から数ヶ月間、長くても1年間の養成所で教えているため、施術にともなう事故が増えて当然です。

国際認証を受けた4年制以上の専門大学で学ぶのが世界の常識で、日本では国際認証校の東京カレッジオブカイロプラクティックがその基準を満たしています。

消費者庁や国民生活センターから自主規制を設けて欲しいとの要請があり、当会では安全性と広告に関するガイドラインを作りました。

こうした自主規制の取り組みを国(厚生労働省)に報告して、将来的に国家資格を作るため地道に活動しています。

※参考4
独立行政法人国民生活センター
手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html

※参考5
消費者庁
法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_release_170526_0002.pdf

現在、国内でカイロプラクティックに関する法律はありませんが、カイロプラクターというのは誰でもなれるのでしょうか。

患者の健康を扱う職業のため、施術の安全には十分に配慮すべきです。

法律がないため、きちんとした教育を受けなくてもカイロプラクターとして就職することは可能ですが、多くは就職しても上手くいきません。

そのためには4年間4,200時間以上の基礎医学を含めたWHO基準のカイロプラクティック教育を学ぶことをお勧めします。

医療系の資格を取得していたとしても、カイロプラクティック専門教育は就職するうえでの必須条件です。

最近、WHO標準のカイロプラクターを登録する目的で日本カイロプラクティック登録機構が設立されました。

この機構は、アメリカの国家試験を一部利用した登録試験を行い、合格したすべてのWHO基準のカイロプラクターを登録して国(厚生労働省)に名簿を提出しています。

※参考6
世界保健機関
カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン 
http://www.jac-chiro.org/whojpnguide.pdf
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/guide/medical/jirei-06001.html

※参考7
独立行政法人中小企業基盤整備機構
カイロプラクティックサロン(整体院含む)J-Net 21
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/guide/medical/jirei-06001.html

カイロプラクターにはどんな人が向いていますか。

世界中の人とコミュニケーションを取るのが好き、人を助ける仕事に興味がある、薬に頼らない自然療法を詳しく知りたい人などは向いています。

医療系の分野ですが、薬や外科手術で病気を治すことを目的とする西洋医学とは異なり、東洋医学に近い自然治癒力を最大限に生かして健康を手助けするカイロプラクティックの考えに共感する人がお勧めです。

また定期的に学会やセミナーなどで新しい情報収集が必要なため、向上心も必要です。

国際的な職業として確立されていることから、学会などで海外のカイロプラクターと出会う機会が沢山あります。

高校卒業後にカイロプラクターの資格を取得するには、どのようなルートがありますか。

安全で適切な治療を心がけるという観点から国際基準のカイロプラクターを目指すことをお勧めします。

国際基準のカイロプラクターになるためには、2つのルートがあります。

1)日本で国際認証を取得したカイロプラクティック教育機関(東京カレッジオブカイロプラクティック)に入学する。(4年制全日教育)

卒業時にはアメリカの国家試験を一部利用している卒業試験を受験する。

医師や医業類似行為の資格を取得してから入学する者もいる。

2)海外留学を目指すのであれば、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの英語圏で国際認証を取得したカイロプラクティック専門大学に入学する。(4~5年制全日教育)

卒業後に現地の国家資格を取得することができる。

入学前に単位取得が義務付けられている専門大学もある。

※参考8
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会
世界のカイロプラクティック教育機関
http://www.jac-chiro.org/university.html

これからカイロプラクターを目指す生徒に一言お願いします。

カイロプラクターを目指すきっかけは人それぞれだと思います。

親族がカイロプラクターである、自分自身が患者として治療の恩恵を受けた、スポーツ分野やリハビリテーション医療への興味、海外の資格を取得して活躍したいなど。

アメリカやオーストラリアなど海外のカイロプラクティック大学では男女比がほぼ同じであり、女性のカイロプラクターも様々な場で活躍しています。

国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)、そして多くのスポーツ団体がカイロプラクティックを公式に支持しているため、プロやアマのスポーツ選手に帯同して仕事をするカイロプラクターもいます。

実際にアメリカでは多くのオリンピック代表チームにカイロプラクターが帯同しています。海外ではミュージシャンやエンターテイナーなどのバックサポートとしてツアーに同行するカイロプラクターもいます。

高校時代からできるだけ人の話を注意深く聞いて、正確に自分の意見を相手に伝える技術を磨いてください。

コミュニケーション力を高めることは、将来患者さんを診る際に大いに役立ちます。

【ご回答者】
■竹谷内啓介さん
■一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会
http://www.jac-chiro.org/

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