社会の構造や傾向・特徴を調査・解明
●何を学ぶ?
人間が集まってできている「社会」や「組織」を対象として、その特性や傾向、現象、問題などをさまざまな角度から分析・研究していく学問。
家庭・教育・労働・福祉・風俗・環境・マスコミ・社会問題など、社会に存在するありとあらゆる分野・現象が研究テーマとなる。
対象領域は幅広いが、最終的には家族社会学、環境社会学、教育社会学、経営社会学、国際社会学など、特定の分野に絞って学ぶケースも多い。
●主な学部・学科
社会学部、あるいは人文学部、文学部の人文社会学科などで学ぶことができる。
そのほかにも、現代社会学科、人間社会学科、社会システム学科など、「社会」と名のつく学科で学べることが多い。
●学びの内容・特色
社会学は比較的新しい学問であり、また実際に私たちが生きている「社会」を対象とするということもあって、身近なテーマや新しいテーマを扱うことも多い。
近年では、インターネットや携帯電話などのメディアを対象とした領域、また少子高齢化など、生活に身近な問題、「オタク」などサブカルチャー論的な話題なども分析・研究の対象となっている。
現地調査やWEB上での調査を行うこともあるが、それらを体系的に分析するため統計学などのも学ぶ。
●目指せる職種・活躍フィールド例
国家公務員、地方公務員、情報・通信、マスコミ など
地域社会を多角的な視点から活性化する
●何を学ぶ?
現在、日本の多くの地域は、人口減少、少子高齢化、経済の衰退などにより、大きな転換点に立っている。
地域創生学は、そうした状況に対応し、地域資源の活用、新規産業の創出、人的ネットワークの構築などをテーマとして、地域の活性化を考えて行く学問。
地域を魅力ある場所にして、そこで育った若者が地域で働くこと、それを未来につなげて地域社会を持続・発展させていくことを目指している。
●主な学部・学科
社会学部や地域創生学部で学べる。
他にも、政治・経済の視点から考察・研究する地域政策学部や地域経営学部、国際的かつ地域に根差した視野を持つグローカルな人材を育成する国際地域学部などがある。
文学部や教養学部、あるいは観光系の学部で学科・コースを設置している場合もある。
●学びの内容・特色
現代社会及び地域社会が抱える諸問題について深く知ると同時に、さまざまな学問的視点から分析・研究をする。
キャンパスのある地域を中心に、フィールドワークを行うことが多く、実際に地域の企業やコミュニティと協働して、地域おこしに取り組むこともある。
コーディネーターやマネジメント、企業家として、地域社会で活躍するための知識・技能も身につける。
●目指せる職種・活躍フィールド例
地方公務員、コーディネーター、起業家 など
観光業全般の知識・技能を身につける
●何を学ぶ?
観光という視点から、日本や世界各国の文化や社会について学ぶとともに、観光産業の知識や技能・マネジメント力などを身につけていく。
学ぶ内容は、観光業の経営、観光業による地域の発展などについての研究に加え、実際にテーマパークやホテルなどに足を運んで実践力を身につける実習なども行われる。
また、総合・国内旅行業務取扱管理者などの資格取得に向けたカリキュラムを採用している大学もある。
観光に関するどの分野を学びたいかによって大学選択は異なってくるので、各大学のカリキュラムで、学ぶ内容を事前に確認しておくことが大切。
●主な学部・学科
観光学部、観光文化学部などに加え、国際学部、経済学部、商学部などに観光系の学科を設置している大学もある。
また近年は「心のこもったおもてなし」を意味する「ホスピタリティ」を学部・学科名に入れている大学も増えている。
●学びの内容・特色
観光の現場に行って研究・体験をするフィールドワークは、町おこしイベントからテーマパーク・空港での研修まで、学科・コースによりさまざまな形態がある。
また、海外を対象とした観光コースの場合、語学関連のカリキュラムに力を入れていることも多い。諸外国の歴史や文化も必要な知識だ。
●目指せる職種・活躍フィールド例
旅行業務取扱管理者、ツアープランナー、ホテルスタッフ、通訳案内業 など
情報の特性・在り方・活用について学ぶ
●何を学ぶ?
現代社会において、情報の取り扱いについては、十分な注意や配慮が必要とされている。
情報は、人間が活動するあらゆる事象において中心的な役割を果たしており、情報学には文系・理系両面からのアプローチが存在する。
理系においては、コンピュータのハードウェア、ソフトウェアに関する知識・技術を主にして学ぶが、文系では理系の基礎的な知識を網羅しつつ、情報技術を用いたコミュニケーションという側面から学んでいく。
●主な学部・学科
文系における情報学は、情報学部、情報社会学部、総合情報学部、情報コミュニケーション学部などで学ぶことができる。
理系では、情報学部、情報工学部などで学ぶ。
●学びの内容・特色
情報学は、分地融合で学ぶことが多く、文理どちらに重きが置かれるかは、各大学・学部・学科によって異なる。
文系の学びでは、情報社会において、人が検索・収集・表現・蓄積し、流通させる情報の役割や処理・活用について考える。
具体的には、組織やビジネスでの情報コミュニケーションの在り方や、マネジメント戦略、マスコミ論・マルチメディア論を含むメディア情報、ITやコンピュータに関わる情報の活用などについて、研究する。
●目指せる職種・活躍フィールド例
情報・通信、広告・宣伝、マスコミ など
メディアの特性や映像技術などについて学ぶ
●何を学ぶ?
大きく分けて、各メディアの特性や問題点・社会的影響などについての研究を中心とする場合と、映像制作やIT技術などについて学ぶ場合の2つがある。
メディア研究を中心とする学科では、新聞・雑誌・テレビ・広告、さらにはインターネットなどの媒体について、その特徴・機能や社会に与える影響について分析・研究する。
映像制作技術などを学ぶ学科では、技術の修得に必要な理論の学修や、実際の機材などを使っての実習などを行う。
学部・学科によって、学ぶ内容が大きく異なるとともに、特に技術を中心に学ぶ学科では、さらに細かくコース分けされていることもある。
●主な学部・学科
メディア学部や情報学部、社会学部、人文学部のコミュニケーションやメディア関連の学科などで学ぶことができる。
●学びの内容・特色
メディア研究中心の学科では、放送論、新聞論、出版論、広告論などの概論を経て、その後自分の専門分野を決めて、演習などでさらに深く学んでいくことが多い。
IT・映像技術関連の学科では、理論も含めてまず基礎技術の修得を行い、その上でテーマに沿った作品の制作、さらにより高度な作品づくりへと移行していく。また、2つの分野を合わせて学ぶケースもある。
●目指せる職種・活躍フィールド例
情報・通信、広告・宣伝、マスコミ など
福祉関連の資格取得に必要な知識・技能などを修得
●何を学ぶ?
高齢者や、身体的・精神的に障害を抱える人など、社会的な支援を必要とする人々への援助のあり方、さらに政策や制度面の問題などについて学ぶ。
実習や、理論・法律・社会制度などの学びを通して、誰もが人間らしく快適に生活できる社会の実現について考えていく。
なお、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士など福祉関連の国家資格を受験するには、養成課程として指定されている学校で規定の科目を修了する必要がある。
社会福祉関連の学部・学科の多くには資格取得に必要なカリキュラムが設置されているが、学校によって対象となる資格が異なるので、入学前に必ず詳細を確かめておくことが必要。
→ 「社会福祉士の資格」について
→ 「介護福祉士の資格」について
→ 「精神保健福祉士の資格」について
●主な学部・学科
福祉学部、社会福祉学部、人間福祉学部、医療福祉学部などで学ぶことができる。
●学びの内容・特色
実習では、学校が提携している老人ホーム、老人保健施設、デイサービスセンターなどで、食事や入浴の援助、動作に対するケアなどの経験を積む。
また、学校における講義でも、車椅子体験実習や姿勢変換など、自ら障害を体験するといったカリキュラムも組まれている。
理論・制度面では、社会福祉論、地域福祉論、障害福祉論、社会福祉政策、社会福祉思想といった講義を受講する。
●目指せる職種・活躍フィールド例
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士 など
→ 「系統解説 ◆ 社会科学系統(1)」を見る
(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)