〈トピックス〉大学・短期大学のいまを知る

大学の現状

★高校新卒者の半数が進学。「大学生」に相応しい学力の担保に多様なプログラム

平成30年度の高校卒業者の大学(学部)への進学率は49.6%(文部科学省「平成30年度学校基本調査の結果速報」)。

高校卒業者の約半数が大学教育を受けるという状況になっています。

少子化により高校生が減少傾向にあるのに対して、現在大学数は782校(文部科学省「平成30年度学校基本調査の結果速報」)。

大学入学希望者は、大学を選ばなければ進学が可能な「大学全入」と呼ばれる状況です。

そのため大学間の学生獲得競争は過熱気味で、各大学では入学性確保のために入試を多様化し、受験機会を拡大。その結果、「入れる大学」は増えていると言えます。

しかし、厳しい選抜を経ないで進学した学生の学力不足が課題として挙げられており、多くの大学では入学前後に学力を補強する各種プログラムを導入するなどの対策を講じています。


★産業界から寄せられる人材育成への期待
会社が社員募集の中心を大学新規卒業者とする中で、近年、学生の資格取得などの就職対策に力を入れる大学が多くなっています。

また、産業界からは「社会人基礎力(社会人として基本的に身につけておくべき基礎的な能力や姿勢)」の養成などを求める声が強まっており、主体性や実行力、コミュニケーション能力などの養成に期待が寄せられています。


★キーワードは「国際」「保健医療」「健康」「スポーツ」「人間」
大学の学部・学科は、20世紀末には高度情報化やグローバル化に対応した教育を行う「国際」「情報」の名称がついたものや、社会の急速な変化に対応するための学際領域の教育を行うもの、総合的な教養を身につけた人材を育成するための「総合」の名のついたものが多く新設されました。

最近は、日本社会の課題である少子高齢化に取り組む医療・福祉・看護などの知識と技術等を教育する「保健医療」「健康」「スポーツ」などが目立つ一方、「国際」や「情報」などの学部・学科も複数分野を横断する形で誕生しています。

短期大学の現状

★時代と共に生まれ変わる短期大学
短期大学の本科の学生数のピークは、平成5年の52万2,618人。

以来、平成29年度まで学生数は減少しており、平成30年度の本科の学生数は11万9,035人で、史上最多となった平成5年の約4分の1となっています。

こうした学生の減少傾向を受けて、各短期大学は、すでに述べたように、4年制大学へ移行したり、専攻科の設置や4年制大学編入学を推進するなど時代と共に新しく生まれ変わろうとしています。

約8割の学校が、ゼミや卒業論文指導で20人以下の「少人数教育」を実施していることに象徴されるように、短期大学の特長の一つはアットホームであること。

さらに、「より身近な場所で、短期間に、より低コストで学ぶ」というメリットがあります。

それらの良さはそのままに、新しい短期大学のイメージを創り出すこと、個々の学校の多様性や個性化をより実現していくことが、現在の短期大学の目標となっています。


★国際的に通用する短期大学士の学位
短期大学の卒業生には、以前「準学士」の称号が授与されていましたが、平成18年3月の卒業者から「短期大学士」の学位が与えられるようになりました。

海外に留学する際に、留学先の規定で「学士」の学位がないと受け入れてもらえないといった国もあり、短期大学卒業者の留学は難しかったのですが、国際化が進む中、国際社会でも通用する「短期大学士」の学位創設は、短期大学卒業後の可能性を広げるものとなりました。


★教育系の人気が高く、家政・人文・社会と続く
短期大学において、入学者が最も多い人気の分野は、幼稚園教諭や保育士を目指す「教育」分野で、次いで「家政」「人文」「社会」と続きます。

「教育」や「家政」の人気が高い要因には、女性に対する社会的ニーズが高い職業の資格、具体的には、幼稚園教諭や保育士、栄養士といった有力な国家資格が2年間の修業年限で取れるという時間的・経済的なメリットに加えて、年齢的に若いうちから就職できる魅力が人気の要因となっています。

また、近年は人文でも外国文化の理解やコミュニケーション能力を養う語学をベースとした学科やコース等が増加。

特に、即戦力となるための実学が身につく語学系の人気が高くなっています。


(資料:ライセンスアカデミー『アプローチマガジンダイジェスト 2019』/平成30年10月12日発行)

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