系統解説 ◆ 家政・生活科学系統

家政・生活科学

衣・食・住における生活環境を分析

●何を学ぶ?
家政学では、日常の衣食住、家計など、家庭生活を対象とし、そこで営まれる人間の諸活動を分析・研究する。

生活科学は、家庭生活上はもちろん、社会全体を対象として、さまざまな観点から生活を分析・研究する学問。

どちらも学びの領域が非常に幅広くなるが、1年次の間は対象領域をまんべんなく学び、2年次以降に各専攻や専門コースに分かれることが多い。


●主な学部・学科
家政学部、生活科学部の家政学科、生活科学科、生活環境学科、ライフデザイン学科などで学べる。


●学びの内容・特色
生活に関するさまざまな領域が対象となるため、学ぶ範囲は多岐にわたる。

家庭科教員・栄養士などの免許が取得できる大学、インテリアや洋裁などの技能を身につけることができる大学など、各大学それぞれに特色があるが、「栄養」「被服」「住居」「児童」の4分野を学びの柱としている大学が多い。

学び方についても、家政学全般にわたって学ぶ学科、家政学を構成する食物学・被服学・住居学・児童学などの1つあるいは2つに重点を置く学科など、さまざまである。

このように、専門的に学ぶことができる分野や、取得可能な資格・免許についても各大学で異なるケースがあるため、事前に確認しておくことが求められる。


●目指せる職種・活躍フィールド例
インテリアコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、消費生活アドバイザー、中学校・高等学校家庭科教諭 など

食物学・栄養学

栄養や食生活に関する知識などを学ぶ

●何を学ぶ?
生命の維持や心身の健康を保つために、食べ物をテーマに多方面から研究をする分野。

食物、栄養と食生活に関する科学的知識に加え、運動と栄養の関係、人体の基本的な構造・機能、疾病予防・治療、児童・高齢者に対する栄養指導などについて学ぶ。

全体の講義に対して実験・実習が占める割合も多い。


●主な学部・学科
家政学部、生活科学部、栄養学部、健康科学部などの栄養学科、食物栄養学科、健康栄養学科、管理栄養学科などで学べる。


●学びの内容・特色
食物学・栄養学を学ぶ学科は、栄養士または管理栄養士の資格取得を目指すカリキュラムを備えている場合が大半。

栄養士は、栄養学に基づいて、栄養バランスの取れたメニューの作成や調理方法の改善をする食生活のアドバイザー。

栄養士の資格は厚生労働大臣から栄養士養成施設として指定認可された学校を卒業することで取得できる。

また、管理栄養士は、栄養指導のための企画や傷病者に対する療養のために必要な栄養指導、大規模給食施設における管理業務や労務管理などを行う。

管理栄養士養成施設の認定を受けている学校を卒業、あるいは栄養士養成施設を卒業後に実務経験を積んだのち、国家試験に合格することで資格を取得することができる。


●目指せる職種・活躍フィールド例
栄養士、管理栄養士、栄養教諭、食品開発コーディネーター など

被服学

衣服の材料・文化史・製作理論や技術について学ぶ

●何を学ぶ?
衣服に関して、多面的な角度から分析・研究をしていく。

衣服のデザイン・製作やその材料となる繊維に関する知識を修得したり、衣服の保管や手入れ、生産・消費・流通などの側面、服飾の歴史について学ぶなど、多種多様な学びの領域がある。

学ぶコースによって、それぞれ内容に違いはあるが、衣服の基本的素材である繊維や生地の性質を研究する実験、洗浄・染色に関する実験、またオリジナルの服のデザインや製作など、実習を多く取り入れている分野でもある。


●主な学部・学科
家政学部、服飾学部、造形学部、芸術学部などの服飾学科、被服学科、ファッション関連の学科・コースで学ぶことができる。


●学びの内容・特色
主な学びとしては、被服材料学、被服意匠学、被服生理学、被服構成学などがある。

被服材料学は、衣服の材料となる繊維の特性、構造、製造方法などについて学ぶ学問。

被服意匠学では、色彩学、服装文化史について学ぶ。

被服生理学は、着心地、肌触りなど、人間にとって快適な衣服はどういうものかを分析していく。

被服構成学は、衣服製作の理論、そして実際の製作技術について学ぶ。

一口に被服学といっても、さまざまな分野があるので、そのなかでもどの分野に力を入れている学科やコースなのか調べておくことが大切。


●目指せる職種・活躍フィールド例
ファッションデザイナー、ファッションアドバイザー、スタイリスト、パタンナー、マーチャンダイザー など

住居学

生活面から「住」について考える

●何を学ぶ?
住む人の立場から快適な住空間を総合的に考察し、創造するための技術などを学ぶ。

設計・構造など建築に関わる視点というよりも、住空間、生活スタイルといった生活環境面から、「住」について学んでいく点が特徴。

間取りや家具の配置、採光や風通しなどの自然環境との共存に加え、家族間や近隣住民との良好な関係構築に向けたルール作りなど、社会的な要素も研究対象となる。


●主な学部・学科
家政学部、生活科学部の建築・デザイン学科、環境デザイン学科、住居学科などで学ぶことができる。


●学びの内容・特色
住空間計画・デザイン系、住文化系などの分野があり、デザインの実技では、設計製図やデッサンなどを学ぶ。

生活者の視点に立ち、住居と生活の関係について学ぶ「住生活学」、住空間の機能面・インテリアデザインなどについて学ぶ「住居意匠学」、工学的な面から住宅について学ぶ「住居機構学」などに分類されるが、住居生活系か工学・建築系かによって学ぶ内容が異なるので、前もってカリキュラムなどを確認する必要がある。

住居学関連の資格には、一・二級建築士、インテリアプランナー、インテリアコーディネーターなど専門資格が多数あるので、資格取得を目指すことも可能。


●目指せる職種・活躍フィールド例
建築・設計事務所、インテリアコーディネーター、福祉住環境コーディネーター など

児童学・保育学

子どもたちの健全な成長を支援する

●何を学ぶ?
子どもの健全な発達・成長や、そうした時期における保育のあり方を、教育学、心理学、保健・体育学など、さまざまな角度から捉えていく。

また、保育士や幼稚園教諭の資格・免許が取得できる学科では、規定のカリキュラムのもと、必要な技能や知識を修得していく。


●主な学部・学科
保育学科、児童学科、初等教育学科、あるいは「子ども」と名のつく学部・学科で学べることが多い。

教育学部に設置された、専門のコースや専修で学べる場合もある。

ただし、保育士や幼稚園教諭の資格・免許が取得可能かどうかは学校によって異なるので、必ず事前に確認をしておくこと。


●学びの内容・特色
児童の心身の発達について学ぶ児童心理学や発達心理学、絵本や玩具など子どものための遊びなどを分析する児童文化学をはじめ、児童教育学、児童保健学、児童福祉学などを学んでいく。

また、保育士や幼稚園教諭を目指すに当たっては、実際に保育園や幼稚園で実習を行う。

実際の子どもの行動や心理を体感しながら、子どもとのふれあい方を学び、保育・幼稚園現場を理解していく。

近年では発達心理学や臨床心理学、教育社会学といった学問との統合的な学びも展開されており、新たな学問としても発展している。


●目指せる職種・活躍フィールド例
保育士、幼稚園教諭、教育関連企業 など

(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

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