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系統解説 ◆ 芸術系統(1/2)

美術

絵画・彫刻などの作品を創作し美や真理を追究

●何を学ぶ?
絵画・彫刻系の学科・コースでは、美術史や素材などの理論やデッサン技法、彫刻・塑造(粘土などで彫刻の原型を造ること)技術などを学んだり、実際に創作をしながら、技術や感性を磨いていく。

書道関連の学科・コースでは、書道史・書学、書の技術・技法などを学び、「書」への理解を深めていく。

華道関連の学科・コースでは、いけばなの歴史や技法を学び、実習で各自の作品を制作していく。


●主な学部・学科
美術学部や造形学部、芸術学部の美術学科、造形学科などで学ぶことができる。

これらの学科は、日本画、洋画または油画、版画、彫刻など、各コースに分かれていることが多い。

書道は、文学・文化系学部などに学科・コースが設置されている。


●学びの内容・特色
絵画系の学科は、一般的には日本画、洋画(油画)、版画といったコースに分かれる。

各コースでは、デッサンなどの基礎練習、用具使用の訓練、古典模写などを行い、課題作品・自由制作の創作などを行う。

また美術史、美の本質や美的現象などについて考察する美学、色彩学なども学んでいく。

彫刻系の学科では、はじめにデッサンを学び、やがて石膏像や静物などを順次創作し、石膏、木彫、石彫などそれぞれの材料や制作技術について学んでいく。美術の教員免許を取得するカリキュラムを設置している大学も多い。


●目指せる職種・活躍フィールド例
画家、彫刻家、書道家、華道師範、学芸員、中学・高等学校美術教諭 など

デザイン学

印刷物・製品・空間を美しくプロデュース

●何を学ぶ?
デザインの領域は多岐におよぶが、大別するとビジュアル(視覚)系、プロダクト(生産)系、スペース(環境・空間)系の3系統に分類される。

ビジュアル系には、写真、イラスト、CGなどを用いた印刷による表現を領域とするグラフィックデザインやエディトリアルデザイン、CGやビデオなどの映像媒体の表現を追究する映像デザインなどがある。

プロダクト系では、自動車や家具、家庭用電化製品、日用品といった生活用品から工業製品までを網羅し、使いやすさとデザイン性を追究すると同時に、社会的ニーズを察知する能力を身につける。

スペース系の領域には、自然環境や生活環境などを考える環境デザイン、商業施設や文化施設の空間を演出するディスプレイデザインなどがある。


●主な学部・学科
芸術学部、造形学部、工学部、美術学部などのデザイン学科、情報デザイン学科、デザイン工芸学科などで学ぶことができる。


●学びの内容・特色
ジャンルによって素材や技法は異なるが、まずは全てにおいての基本となるデッサン力を磨くための学習を行っていく。

その後、それぞれの専門分野における作品制作に加えて、デザイン理論や、分野に関係する知識(例えば、グラフィックデザインの場合は印刷技術など)についても学習する。


●目指せる職種・活躍フィールド例
グラフィックデザイナー、工業デザイナー、空間デザイナー、企業のデザイン部門、デザイン事務所 など

工芸

金属工芸・陶芸・染織などの技法を学び作品を制作

●何を学ぶ?
木材・金属・陶器などで、工芸品を創作する分野。

作品の種類は幅広く、身近なものでは日常的に使う小物やアクセサリーにはじまり、大きいものでは家具などの道具類に至るまで多岐にわたる。

素材についての知識、金属工芸・陶芸・染織・漆工(うるし細工)などに関する基礎知識や技法を学び、各自それぞれの作品を制作していく。

学部・学科によって、ガラス工芸を扱ったり、鋳金(溶かした金属を鋳型に流し込む)、鍛金(金属を打ち延ばして立体的に形づくる)などの工房があったりとそれぞれオリジナルの特色がある。

美術・デザインとは互いに類似した学問ではあるが、工芸品は芸術作品であると同時に、実用品でもあるところが特徴的だ。


●主な学部・学科
美術学部・芸術学部の工芸科、工芸学科、デザイン関連の学科などで学ぶことができる。


●学びの内容・特色
基礎的な科目を学んだ後で、土・木・金属・繊維・ガラスなど、それぞれ専門とするコースに分かれ、理論・材料知識の学習と実習で、自身の腕やセンスを磨いていく。

中には、ジュエリーやテキスタイル(生地・織物)、インダストリアルデザインを学ぶことができるコースもある。

また、教職課程を学んで、中学校教諭(美術)、高等学校教諭(美術・工芸)の免許を取得できる大学もある。


●目指せる職種・活躍フィールド例
工芸作家、伝統工芸士、中学校美術教諭、高等学校美術・工芸教諭 など

まんが・アニメーション

キャラクターやストーリー創作の方法と技術を学ぶ

●何を学ぶ?
まんが・イラスト・アニメの作画や動画作成の技法などについて、講義、実習、演習などを通して学んでいく。

実習では、ペンや毛筆による作画、コンピュータを使っての画像作成など、実際に自分の作品を制作しながら技術を身につけていく。

また、作品全体を魅力的に仕上げるストーリー構成力も併せて学んでいく。


●主な学部・学科
大学の芸術学部、美術学部、造形学部のデザイン学科や短期大学の美術学科などのまんが、イラストレーション、アニメーション関連のコースで学ぶことができる。

少数ではあるが、中にはマンガ学部を設置している大学もある。


●学びの内容・特色
人々が見たいと思うイラストやアニメ、読みたいと思うまんがを描くためには、魅力的なキャラクターが大切。

そのために、各学科・コースでは、多くの人に興味をもってもらえるキャラクターの創作方法や画力の向上などを、理論・実習を通じて学んでいく。

さらに、まんが家には、絵と文字で独自の世界観を表現する能力だけでなく、読者を惹きつけるためのストーリー構成力、展開力も求められ、それらの向上を目指すカリキュラムなども設けられている。

また、コンピュータによる画像作成技術も必要となってくるためやCGや3Dグラフィックなどの作成技法についても詳しく学んでいく。


●目指せる職種・活躍フィールド例
まんが家、アニメーター、イラストレーター など

CG・Webデザイン

コンピュータによる画像やWeb制作のプロを目指す

●何を学ぶ?
コンピュータシステムの基礎理論や操作技術をもとに、CGやWebデザインなどデジタルコンテンツの制作や表現方法などについて学び、それらに必要な知識・理論の修得を目指していく。

クリエーターとしての創造力・表現力を磨くため、デッサンなどの基礎実習も行っていく。


●主な学部・学科
芸術学部、造形学部、美術学部やメディア関連の学部に学科、コースが設置されていることが多い。

メディアデザイン学科、情報デザイン学科、情報メディア学科など、名称はさまざまである。


●学びの内容・特色
デジタルコンテンツの芸術性とプログラミングの技術を総合的に学んでいく。

以下は、学びの流れの一例。

1年次:デジタルデータの処理や加工技術の基礎、コンピュータリテラシー、プログラミングの基礎などを学ぶ。

2年次:専門知識を獲得していくための中級・応用的なプログラミング知識や技術を学ぶ。またデザイン技術も高めていく。

3年次:各個人の興味や適性に合った研究テーマを絞り込んでいく。また、実技と講義を通して、知識を統合していく。

4年次:学びの集大成として、卒業研究や卒業制作に取り組む。


●目指せる職種・活躍フィールド例
CGクリエイター、Webデザイナー、IT関連企業 など

写真

カメラの技法や理論を学びオリジナル作品をつくる

●何を学ぶ?
写真撮影の知識や技術、歴史や芸術論など、写真に関する理論と実践の両面を学ぶ。

学部・学科によって、学ぶ内容に違いはあるが、ベースとしては、ネガフィルム・ポジフィルムを使用した写真やデジタル写真の撮影技法や機器の扱い、暗室での現像作業、コンピュータを使った画像加工・編集、広告・報道・印刷・出版へ応用する知識・技術などを学ぶ。

専攻は、アートとしての写真、コマーシャルフォト、報道写真などに分かれ、それぞれの分野に応じて学び、作品を撮影・創作していく。


●主な学部・学科
芸術学部や造形学部の写真学科、写真コースなどで学べる。

また、デザイン関連の学科や映像系の学科に、専攻や選択科目が設置されている場合もある。


●学びの内容・特色
全体的な流れとしては、はじめに撮影に関する基礎科目を履修、さらに画像加工や編集についても学んでいき、その後、専門・応用的な内容へと進んでいく。

講義や実習では、撮影技術の向上や知識の修得などに加え、写真によってメッセージを表現すること、オリジナリティのある作品を制作することなどを追究していく。

また、写真を効果的に機能させることを目的とした、写真の編集・展示法など、写真を見せる技法についても学びを深めていく。


●目指せる職種・活躍フィールド例

写真家、広告カメラマン、報道カメラマン、スポーツカメラマン など

建築・インテリアデザイン

コンセプトを意識した空間づくりを追究

●何を学ぶ?
住空間や商業施設、都市などにおける建築、家具、空間などのデザインを扱う。

建築についての知識・技術を学ぶが、工学的な面よりデザイン面に重点を置いて学ぶのが特徴。

単にデザイン的に美しいというだけでなく、生活者や利用者の利便性や快適性、そしてそれぞれの空間のコンセプトに合わせたデザインを追求していく。

建築やデザインの理論を学び、設計や製図の演習・実技を通して、実践力を養っていく。


●主な学部・学科
美術学部、芸術学部、造形学部などのデザイン科やデザイン学科、建築学科、空間造形学科などに建築デザイン、環境デザイン、インテリアデザインのコースとして設けられていることが多い。

その他、家政系の学部で扱っている大学もある。


●学びの内容・特色
構造、材料、生産、施工などの建築の基礎知識、住宅などのプライベートスペース、商業施設などのパブリックスペースにおける色彩、照明、家具の配置、売場演出の方法、さらには都市計画や環境問題などにおける視点を学ぶなど、扱う範囲は幅広い。

また、年齢や障害などの有無にかかわらず、すべての人が使いやすい建物や製品をデザインする「ユニバーサルデザイン」などについても学んだり、「憩い」や「くつろぎ」など、人間の心理的な面からの研究も行っていく。


●目指せる職種・活躍フィールド例
インテリアデザイナー、インテリアコーディネーター、ディスプレイデザイナー など

音楽

楽器演奏・歌唱法・作曲・指揮などを学ぶ

●何を学ぶ?
楽器の演奏や歌唱の技術を身につけたり、指揮や作曲などについて学ぶ。

実技教育を中心とする大学が多いが、音楽理論や音楽史など、教養としての音楽に重点をおく学科・コースなどもある。

基本的には、「器楽」「声楽」「作曲」「指揮」「音楽学」といった専攻に分かれて学ぶ。


●主な学部・学科
音楽学部、芸術学部の音楽学科、器楽学科、声楽学科、演奏学科などで学ぶ。

また、各学科は、学ぶジャンルや楽器により、細かく分かれていることが多い。


●学びの内容・特色
器楽では、ピアノ・オルガンなどの鍵盤楽器、フルート・オーボエ・クラリネット・サクソフォーン・ホルン・トランペット・トロンボーン・チューバなどの管楽器・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ハープなどの弦楽器、ティンパニなどの打楽器について、それぞれ実技や理論を学ぶ。

演奏形態は独奏のほかにも、複数楽器による合奏を行う場合もある。

なお、学べる楽器の種類は大学によって違うので、必ず事前にチェックしておくこと。

中には、三味線、箏、尺八などの技法や雅楽・能楽などについて学ぶ「邦楽」のコースを設けている学科もある。

声楽では、独唱や重唱、オペラなどさまざまな形の講義があるほか、外国語の曲を歌うために、ドイツ語、イタリア語なども学んでいく。


●目指せる職種・活躍フィールド例
演奏家、声楽家、作曲家、作詞家、指揮者、中学校・高等学校音楽教諭 など

音響・映像

放送や映像に関する技術を学び自分の作品を制作

●何を学ぶ?
テレビ・ラジオの放送に関する理論や歴史などの概論から、専門的な制作技術や表現方法を実習を交えて学ぶ。

放送・音響・照明・映像などのコースに分かれて、基礎理論の修得や機材を使っての実習などを行う。

映像分野においては、映画やビデオ映像から、写真(静止映像)、CG、3Dグラフィック、アニメーションまで、表現に合わせて幅広い学びの分野がある。


●主な学部・学科
芸術学部、造形学部の放送学科、映像学科、また、メディアデザイン学科、メディア情報学科などメディア関連の学科で学ぶことができる。


●学びの内容・特色
放送関連の学科・コースでは、放送概論、マスコミュニケーション論、放送技術論など、放送に関する知識の修得に関する科目、また実習を通
して、テレビ・ラジオ番組制作、CM制作、中継技術などを学んでいく。

音響関連学科では、音響技術論、舞台芸術概論などの講義、コンピュータによる音楽制作やスタジオでの機材を使っての実習などを行う。

映像関連の学科では、映像概論、映像メディア論などで映像の理論や歴史などについて学んだり、実際にスタジオを使っての映像制作、コンピュータなどを使ってのCG・サウンド制作を通して、映像制作の技術を学んでいく。

また、脚本・シナリオなどに関する講義もある。


●目指せる職種・活躍フィールド例
テレビ局、ラジオ局、番組制作会社、映画会社、放送機器メーカー など

演劇・舞台

演劇論や演出・演技技術などについて学ぶ

●何を学ぶ?
演劇を構成する、劇作・演出・演技・装置・照明などに関する知識と技術の修得、演劇理論の研究、舞台公演等の企画・運営の知識習得などを目的とする。劇作家の意図を汲み取り、臨場感あふれる舞台表現を創造する学びがカギとなる。

映画、ミュージカル、舞踏など特定の分野に特化した学びも行われている。


●主な学部・学科
芸術学部の演劇学科、舞台芸術学科、パフォーミング・アーツ学科などにカリキュラムが設置されている。


●学びの内容・特色
講義・ゼミ形式の科目としては、演劇概論、演劇史、劇場論、演技論、演劇学演習などがあり、実際に観劇をするケースもある。

実習型の授業では、戯曲制作・演出・演技・発声・舞台作成・照明などの技術・技法などを学びつつ、実技を行う。

大学によっては、実際に舞台発表などを行っているところもある。

演劇に関して全般的に学んでいくコース、演技を中心に学ぶコース、演劇理論研究が中心のコースなど、それぞれ特色があるので、事前にどのようなカリキュラムがあるのか確認することが大切。

また、大学によっては日本舞踊を専門に学べる学科やコースを設置している場合もあり、着物(浴衣)の着方や日本舞踊の歴史・概説、基礎動作などについて学び深めていく講義もある。


●目指せる職種・活躍フィールド例
俳優、声優、振付師、舞踏家、ダンスインストラクター、舞台監督 など

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(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

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