系統解説 ◆ 工学系統(2/2)

生物工学

生物の仕組みを食品や医療の分野に活用

●何を学ぶ?
さまざまな生物の仕組みや機能を分子や細胞、遺伝子などのレベルで解明し、それらの成果を医療、産業、環境問題などに応用する知識・技術を学ぶ。バイオテクノロジーあるいはバイオニクスとも言われる。

遺伝子の組み換え、細胞融合などによる発酵・新品種育成・環境浄化への利用、医療分野における新しい治療法への活用など、その応用範囲は幅広い。iPS細胞やクローン技術の研究も網羅している。

●主な学部・学科
理学部・理工学部・工学部・農学部の生命工学科、生命化学科、生物工学科などで学べる。また、バイオサイエンス学科、応用バイオ学科といった学科でも学ぶことができる。

●学びの内容・特色
生物の仕組みや働きを、実験・実習などを通して、分析・研究。基礎的な知識を学び、その後、応用、個別のテーマの研究と進んでいく。主な学びの分野としては、遺伝子工学、細胞工学、分子生物学などがある。
遺伝子工学は、遺伝子を有効に利用して人類に役立たせることを目的とした学問。
細胞工学は、生物の細胞や組織を人為的に操作して細胞の仕組みを解明したり、有用な物質や新品種を作り出す技術。
分子生物学は、生命現象を分子のレベルで理解しようとする学問で、特に核酸・タンパク質などの構造・機能について化学反応を通じて明らかにしていく。

●目指せる職種・活躍フィールド例
食品会社、製薬会社、再生医療技術者、バイオ技術者、官公庁職員 など

航空・宇宙工学

飛行機・ロケットなどの構造・設計を学ぶ

●何を学ぶ?
航空工学では、航空機などの構造やシステムについて学び、より高性能な機体の設計・開発を目指す。各パーツごとの製作・加工、空気力学、構造力学、推進工学、設計製図などについて学ぶほか、安全な飛行に必要な機体の整備技術も身につける。

宇宙工学は、ロケットや人工衛星などの設計・打ち上げ・誘導制御などを扱う分野。多方面の科学・技術が用いられ、航空工学で学ぶような講義に加え、ロケット工学、人工衛星工学、航空宇宙技術に関する科目なども学んでいく。

●主な学部・学科
工学部、理工学部の航空宇宙工学科、航空宇宙学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
カリキュラムには、空気力学などを学ぶために、風洞(人工的に空気の流れを加減できるようにしたトンネル型の実験装置)やエンジン模型などを用いた実験や整備実習などが多く取り入れられている。

空気力学とは、空気の流れと、その中で運動する物体との間の力学的相互作用を研究する学問のこと。エアロダイナミクスとも呼ばれる。

●目指せる職種・活躍フィールド例
航空機メーカー、航空会社、技術・研究・開発職 など

船舶工学、海洋工学、商船学

海洋研究および船舶の設計技術・操縦方法を修得

●何を学ぶ?
船舶工学とは、船舶の設計や建造に関する理論・技術を研究する学問。造船学とも言われる。

海洋工学では、海洋資源の開発や海洋における自然エネルギーの利用などを、商船学では船舶の操縦法や安全管理などを学ぶ。

●主な学部・学科
工学部の船舶・海洋システム関連の学科、海洋工学部、海洋学部などで学べる。

●学びの内容・特色
船舶の設計・建設を学ぶ学科・コースでは、船舶に関する流体力学・構造力学・材料力学、船舶運動論、船舶設計製図などを学ぶ。また、実際にカヌー、ソーラーボートなどを設計・製作し、走行実験などを行う実習を通して、造船技術の修得を目指す。

海洋環境について学ぶ学科・コースでは、海洋環境工学、海洋開発工学などを学び、地球環境問題への解決策を探る。

船舶操縦の技能修得を目指す学科・コースでは、航海学、機関学、物流システムなどに関する講義を学ぶ。具体的には、実際に乗船しての船舶実習、航海計器学、航海システム論、航海気象学、航海英語、安全運航論などの科目を履修。一級小型船舶操縦士、第一級海上特殊無線技士、3級海技士(航海)などの免許取得を目指す。

●目指せる職種・活躍フィールド例
造船業、鉄鋼業、機械メーカー、官公庁職員、技術・研究・開発職 など

経営・管理工学

経営や生産管理を科学的に分析

●何を学ぶ?
企業をはじめとする組織の経営や生産管理システムなどについて、工学的な手法を用いてデータ解析やシミュレーションを行い、経営の問題点・改善点や環境について考える学問。

生産管理、設備計画、工程管理、品質管理などを効率的にしていくことを目標に、経営情報学、経済性工学、システム工学、情報工学、数理工学、生産工学といった分野の専門科目を学ぶ。

●主な学部・学科
工学部、理工学部の経営工学科、経営システム工学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
それぞれの学科・コースにおいて、さまざまな角度からの研究が行われるが、その目的は企業の経営・管理技術について工学的な立場から研究し、より効率的な経営・生産管理を目指すこと。

経営学などとはまた違った角度からの分析・研究であり、実験や実習も多い。なお、経営工学でよく用いられる「マネジメント」という言葉は、人・賃金・時間などを効率的に用い、企業を維持・発展させることを意味する。

●目指せる職種・活躍フィールド例
ソフトウェア開発会社、電気・電子メーカー、システムアナリスト、経営コンサルタント など

画像工学・光工学・医用工学

画像技術や医療機器開発などの技能を修得

●何を学ぶ?
画像工学・光工学では、携帯電話のカメラなど日々進化する画像技術や、光を用いた通信・画像処理など、コンピュータの発達にも大きな影響を与える知識・技術について学ぶ。

また、医用工学では医学と工学を同時に学び医療機器の開発・操作の技能を修得する。

●主な学部・学科
画像工学・光工学は工学部の画像科学科、光応用工学科、光メカトロニクス学科などで、医用工学は工学部の医用生体工学科や医療福祉工学部などで学ぶことができる。

工学部の画像科学科、光応用工学科、光メカトロニクス学科、また医療福祉工学部などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
画像・光工学系の学科では、数学・物理・化学などの基礎科目や色彩学、写真工学、デザイン工学、信号処理論、センサ工学など、画像の記録・処理・伝送などに関係するさまざまな専門科目を学ぶ。

医用工学系の学科では、医療技術、健康福祉、テクノロジー関連の科目などを中心に履修する。臨床工学技士の国家試験受験資格を取得する科目を選択できる学校もある。

画像工学、光工学、医用工学のいずれも、さらに細分化したコースなどを設けている大学があるので、カリキュラムを詳しくチェックする必要がある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
電気・電子メーカー、医療機器メーカー、システムエンジニア、ソフトウェア開発会社、IT関連企業、臨床工学技士 など

(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

TOP