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系統解説 ◆ 工学系統(1/2)

機械工学

機械のメカニズムを学び実際に設計・開発

●何を学ぶ?
機械の開発・設計・製作・運転に関して研究。例えば、工業製品を作るための機械や装置の設計・開発、新幹線などの輸送機器、人工心臓などの医療機器、ロボットの設計・開発などをするための知識や技術を学ぶ。

科目としては、材料力学、機械力学、流体力学、熱力学、制御工学などを中心に学び、それらの知識を用いて、機械設計や機械で起こる現象の測定、機械の操作などの実習も行う。

●主な学部・学科
工学部、理工学部などに、機械工学科、機械システム工学科などとして設置。ロボットなどに特化した学科やコースもある。

●学びの内容・特色
機械を構成する材料の応力・強度・変形などを研究するための「材料力学」、機械の動作原理や機械の運動によって生じる現象を扱う「機械力学」、機械に対する空気や油・水などの流体(気体と液体の総称。外力に対して容易に形を変える性質を持つもの)について学ぶ「流体力学」、熱との関係を考えるための「熱力学」、機械などの動作を意のままに操作するための理論や技術体系などを扱う「制御工学」など、さまざまな分野を学んでいく。

●目指せる職種・活躍フィールド例
エンジニア、研究・開発職、メーカー、中学校・高等学校教諭、工業高等学校教諭、官公庁職員 など

自動車工学

自動車に関する知識・技術を修得

●何を学ぶ?
機械工学をベースに、自動車の構造、エンジン、デザインなど自動車全般の知識や技術を学ぶ。

実習車を使って自動車への理解を深めるとともに、整備方法などさまざまな技術も修得。実習を重ね、自動車を設計・開発・整備する力を身につけていく。

●主な学部・学科
工学部、理工学部の機械工学科に設置されている自動車工学関連コースや、自動車システム開発工学科などで学べる。

●学びの内容・特色
自動車に関わる材料や動力、電気・電子の知識、理論などをはじめ車体の仕組みや自動車整備に関する法規、機械工学系の科目を受講する。自動車会社の整備部門、整備工場などで、車の整備・調整・点検などの業務に携わるには、自動車整備士の国家資格が求められる。

国土交通省が認定した養成所を卒業すると、一級・二級自動車整備士の受験資格が与えられ、かつ受験にあたり実技試験が免除となる。整備実習では、エンジン・シャシ(シャーシー、車体を支える台枠)・電装などの整備や検査・測定作業などに必要な技術を身につける。

●目指せる職種・活躍フィールド例
自動車メーカー、自動車整備士、自動車エンジニア、研究・開発職 など

電気・電子工学

日々の生活を支える電気・電子について研究

●何を学ぶ?
電気工学では、電気や磁気現象を動力・熱・光・通信などのエネルギー源として利用する理論と応用を研究。その範囲は、通信・電力・制御・情報処理など時にわたる。

電気工学は、情報伝達や電子制御など、電子の運動による現象やその応用を研究する学問で、半導体・磁性体・光エレクトロニクスを用いる科学技術の基礎研究などを行う。いずれの分野も、発電、電力輸送、電力システム、コンピュータ、家電製品、情報通信など、生活と密接に関わっている。

●主な学部・学科
工学部や理工学部の電気電子工学科、電気工学科、電子工学科などで学べる。また、コンピュータシステムなどに特化したコースを備えている学科もある。

●学びの内容・特色
基礎科目としては、電気回路、電子回路、電気電子計測、電気磁気学、半導体工学などがある。電気磁気学とは、電気的・磁気的現象全般について研究する学問。目に見えない電気や磁気によって起こる現象を、いろいろな形で解明していく。

なお、半導体とは、電気をよく通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のこと。情報の記憶、数値計算や論理演算などの知的な情報処理機能を持っており、電子機器や装置の頭脳として中心的役割を果たしている。

●目指せる職種・活躍フィールド例
電気・電子メーカー、システムエンジニア、放送・通信会社、電力会社 など

情報工学

IT社会に不可欠なコンピュータについて学ぶ

●何を学ぶ?
情報工学とは「情報」に主眼を置いた工学。具体的には、コンピュータの理論や利用法などについて学び、実際にハードウェアやソフトウェア開発などを目指す。

人工知能、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、IoT(Internet of Things)などの進化や実用化など、より高度なIT社会やネットワークシステムの実現に貢献する役割を担う学問である。

●主な学部・学科
工学部や理工学部の、情報工学科・情報システム工学科・情報メディア学科など、情報関連の学科で学べる。大学によっては、さらに細分化したコースを設けているところもある。

●学びの内容・特色
プログラミング言語、オペレーティング・システムなどの基本ソフトウェアなどのほか、確率・統計、数値解析、情報数理、計算機数学などの理論を学ぶ。カリキュラムは、エンジニアの養成を目的として組まれており、基本情報技術者、応用情報技術者など情報関連の資格の取得も目指していく。

また、大学によっては、教職課程を履修することで、数学(中学・高等学校)、技術(中学)、情報(高等学校)、工業(高等学校)の教員免許を取得することもできる。

●目指せる職種・活躍フィールド例
システムエンジニア、ソフトウェア開発会社、IT関連企業、放送・通信会社、中学校・高等学校教諭 など

建築学、土木工学

家や道路などの建築・建設技術を探究

●何を学ぶ?
建築学では、建築一般についての理論と技術を修得していく。建築設計に従事する設計者・研究者および施工を担当する建築技術者養成を目指し、建築史、建築計画学、設計製図、建築材料学、構造力学などを学ぶ。

土木工学では、道路・鉄道・河川・橋梁(きょうりょう)・港湾など、土石・木材・鉄材などを用いる建設や、国土計画・都市開発に関する技術や理論の修得を目指し、土木材料学、構造力学、土質力学、土木施工学などの科目を学んでいく。

●主な学部・学科
工学部、理工学部の建築学科、土木工学科などで学べる。また、都市環境関連の学科にコースが設けられている場合もある。

●学びの内容・特色
建築計画学は、設計の理論と使用者側からの建物の評価などを扱う。設計製図は、実際に建築物を作るための設計図を作図する演習科目。また、建築材料学・土木材料学では、構造材料の性質などを学ぶ。

構造力学では、建築物・橋など構造物の変形および応力(物体に外力が加わる際、その物体内部に生じる力)状態を研究し、その安全度などを算定。土質力学では、地盤の強さなど土の力学的性質、透水性などについて学んでいく。

●目指せる職種・活躍フィールド例
建築士、インテリアデザイナー、土木技術者、建築設備士、測量士 など

原子力工学

原子力エネルギーの工業利用などを研究

●何を学ぶ?
原子力エネルギーの工業利用や、放射線の医療利用などに関わる研究をする学問。例えば、核分裂・核融合やそれに伴うエネルギーの発生について、また原子炉に関する研究・開発、核燃料の利用、放射線の利用などを学ぶ。

原子力エネルギーについては、その可能性について研究が進められてきたが、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、原子力発電の安全性が改めて問われるようになった。そうした安全性の検証のためにも、原子力工学は不可欠であると言える。地球環境問題にも深く関わる学問であり、さらにガン治療や医療診断における利用に向けた研究など、今後の社会にとって重要な学問の一つである。

●主な学部・学科
工学部の原子力工学科、原子力安全工学科、エネルギー科学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
物理・化学系の基礎科目の履修などを経たのち、核分裂・核融合などの核反応、原子炉の開発、ウランやプルトニウムなどの核燃料、また核分裂の際などに出る放射線利用など、それぞれの専門分野について学んでいく。

学内での学びに加えて、原子力関連の研究機関に出向いて研究を行う場合もある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
原子力発電所・研究所、電気・電子メーカー、環境コンサルタント、官公庁職員 など

資源工学

地球上の資源や環境保全について学ぶ

●何を学ぶ?
鉱物、石油、石炭、天然ガスをはじめ、地球上にあるさまざまな資源の探索・採掘や、それに伴う環境保全の問題、さらには資源リサイクルなどの研究をする。

●主な学部・学科
工学部・海洋学部などの資源関連、環境関連の学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
学科によって、学ぶ範囲はさまざまである。扱う資源に関して言えば、石油・石炭などのエネルギー資源、海洋・海底の鉱物・エネルギー資源、金属・非金属の鉱物資源などがある。また、環境保全・資源リサイクルの問題については、自然災害対策、海洋汚染、廃棄物の再資源化・リサイクル、地層処分、汚染環境の修復などのテーマがある。

それらを学ぶ上でのベースとして海洋学や地質学、電磁気学など、広範囲の学問をカバーする必要もあり、実際に現地に行くフィールドワークなども実施される。なお、新しいエネルギーとして注目されている天然ガスに、地中深いところから採取される「シェールガス」と呼ばれるものがある。また、日本の海底資源として「メタンハイドレート」も注目されている。そうした新しい資源の採掘や開発、利用などの研究は今後さらに必要とされることから、資源工学は重要な役割を担う学問の一つと言えよう。

●目指せる職種・活躍フィールド例
電力・ガス会社、技術・研究・開発職、官公庁職員 など

材料工学

新素材の開発に向けて材料を研究

●何を学ぶ?
各種金属、プラスチック、セラミックスなど、さまざまな材料の性質や構造について学び、新しい素材の開発や加工手段の研究をしていく学問。

金属材料、プラスチックなどの有機材料、セラミックスに代表される無機材料、またその複合体などについて、それらがどのように構成され、どのような特性を持つかなどを学び、生活に役立つ素材の開発などを目指す。

●主な学部・学科
工学部の材料工学科、マテリアル工学科、機能材料工学科、材料科学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
基礎科目として数学・物理学・化学などを学んだ後、テーマに合わせて専門科目を学んでいく。講義は、材料の種類によって分けられていることが多い。学びの特性上、実験・実習が多く、コンピュータを使ってのシミュレーションや分析なども行う。

主な講義には、材料力学、電気化学、無機化学、有機化学、有機機能化学、有機合成化学、高分子合成学、分析化学、半導体材料学、金属材料学、セラミックス材料学、高分子物性学、機器分析学、金属加工学、材料プロセス化学、高分子加工学、複合材料学、リサイクル工学、化学工学などがある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
電気・電子メーカー、鉄鋼業、技術・研究・開発職 など

応用物理学

物理学の理論を工業技術に応用

●何を学ぶ?
物理学の応用を目的とした学問。数学と物理の原理や理論をもとにして、工業技術への応用を研究するため、産業との関わりが大きい。その領域は、素粒子物理学、物性物理学、宇宙物理学といった広い学問分野へと展開されている。

また、現代社会のニーズに対応する新しいエレクトロニクス、バイオサイエンス・テクノロジー、AI(人工知能)をはじめとする最先端の分野を切り拓いている。

●主な学部・学科
主に、工学部の物理工学科、理学部の応用物理学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
研究成果を工業技術などへ応用する学問であるが、その基となる物理の基礎的な理論を学ぶことは欠かせない。また、数学、化学、さらには電子工学などの工業技術の基礎となる分野も学んでいく。

基礎分野の学びを経て、半導体・超伝導・金属などの性質を研究する「物性物理」系、情報理論や計測制御理論などに基づく「情報制御」系、電子素子物理や電気回路について研究する「計測・エレクトロニクス」系など、それぞれの専門分野を学んでいくのが一般的な流れである。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、中学校・高等学校理科教諭、官公庁職員 など

応用化学

化学の理論を産業や生活に応用

●何を学ぶ?
物質を構成する分子や原子、イオン、電子などの働きを制御して、新しい素材を開発するなど、化学の理論や実験から得られた結果を応用して、産業や生活に役立つものを創り出す研究をする学問。

有機化学、無機化学、物理化学、化学工業、分析化学、高分子化学などの分野に大きく分かれている。

●主な学部・学科
工学部や理工学部の応用化学科、工業化学科などで学べる。また、生命環境化学科、環境化学科といった工学部の環境系の学科で学ぶこともできる。

●学びの内容・特色
無機化学、有機化学、物理化学、分析化学など、化学系の基礎科目、また物理や数学系の基礎科目などを学んだのち、各専門分野に分かれて研究・開発を行う。

素材や材料、製品について学ぶほか、そうしたものを作り出す製造プロセスに焦点を当てて研究・開発を行う分野もある。また最近では、生物化学などバイオテクノロジーに大きく関わるような研究も増えている。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、中学校・高等学校理科教諭、官公庁職員 など

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(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

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