系統解説 ◆ 理学系統

数学

数・量・図形など空間の概念を学ぶ

●何を学ぶ?
数値や図形における構造などを分析し、理論・公式・関数などを導き出す。科学・技術の発展に不可欠な学問。数学的知識を学ぶことで、分析・考察・解決といった思考体系も身につけていく。大学で学ぶ数学は、純粋数学と応用数学に大別される。

純粋数学では、代数学、幾何学、解析学を学び、その後、ガロア理論、多様体論、微分方程式論など、高度化・専門化していく。

応用数学は、他分野の学問や産業技術への展開に役立つ数学理論を研究する学問。数値解析、統計、コンピュータなどの情報に関わる理論などがある。

●主な学部・学科
理学部、理工学部の数学科、数理科学科などで学べる。情報系の学部・学科に設置されていたり、応用数学に特化した学科を備えている大学もある。

●学びの内容・特色
全体的な傾向として、はじめは代数・幾何・解析といった基礎的科目を学ぶ。

代数学は、数の代わりに文字を用い、計算の法則・方程式の解法などを主に研究する学問。

幾何学は、図形および図形の占める空間の性質について研究する学問で、解析幾何学・微分幾何学・位相幾何学など多様な内容・方法がある。

解析学とは、微分積分学とそれから発展した数学の総称で、微分積分学・微分方程式論・積分方程式論・実関数論・複素関数論などがある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、システムエンジニア、プログラマ、アクチュアリー、中学校・高等学校数学教諭 など

物理学

素粒子から宇宙まであらゆる自然現象の法則を解明

●何を学ぶ?
物質の構造・性質を明らかにし、そこに存在する自然現象の普遍的な法則を研究する分野。
対象となる範囲は幅広く、素粒子・原子・量子といったミクロの世界から、宇宙の発生や構造にまでわたり、基礎を学んだ後、それぞれ専門の分野について研究をしていく。

●主な学部・学科
理学部や理工学部の物理学科、工学部の数理工学科などで学べる。

●学びの内容・特色
古典力学、量子力学、電磁気学、熱力学、統計力学、物理数学などを学ぶ。

古典力学とは、量子力学などが現れる以前の、ニュートンの運動の法則を根本原理とする力学。

量子力学とは、素粒子・原子・分子などの物理現象を扱う理論体系。

電磁気学は、電気的・磁気的現象全般について研究する学問。

熱力学は、熱と力学的仕事との関係から出発して、熱現象の根本法則を扱う学問。

また、統計力学は、素粒子・原子・分子などの微視的運動を確率論的に取り扱うことによって、巨視的な物質の性質や法則を導き出す学問である。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、中学校・高等学校理科教諭、官公庁職員 など

化学

原子・分子の構造や化学反応について研究

●何を学ぶ?
原子や分子レベルで、物質の構造や性質、変化のメカニズムを研究したり、化学合成や触媒反応などで新しい物質や材料を作ったりするための研究をする。

その対象や研究の方向により、無機化学・有機化学・物理化学・分析化学・高分子化学・生(物)化学・核化学などに分けられる。

化学は、ほかのすべての自然科学や工学などの中央に位置して、その成果により各分野を結びつける役割を果たすことから、セントラルサイエンスとも呼ばれている。

●主な学部・学科
理学部や理工学部の化学科、理学科などで学べる。

●学びの内容・特色
無機化学は、炭素を含まない化合物や、簡単な炭素化合物の酸化物などの無機化合物を研究対象とする分野。

一方、有機化学は、炭素を含む化合物(二酸化炭素や金属の炭酸塩など少数の例外を除く)である有機化合物を研究対象とする分野。

物理化学は、物理学の理論や実験方法などによって、物質の構造や化学的性質・変化などを解明する分野。

分析化学では、物質を分析する技術や理論などを研究する。生(物)化学は、生物の生命現象を化学的方法を用いて研究する学問。

核化学は、原子核の核種が持つ性質を、化学的な見地から研究する学問である。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、製薬会社、化粧品会社、中学校・高等学校理科教諭 など

生物学

生命体や生命現象を研究する

●何を学ぶ?
生命体のメカニズムやその生命現象について研究。

生命とは何か、生物が生きて活動するためにはどのようなしくみが働いているのかを解明する学問。遺伝子や細胞内の分子といったミクロの視点から、生態系全体に関わる大きな視点まで、扱う範囲は幅広い。

系統分類学、進化学、生態学、発生学、生理学、細胞生物学、分子生物学、遺伝学、ゲノム生物学などの分類があり、これらの基礎知識を学んだあと、専門科目を学んでいくことが多い。

●主な学部・学科
理学部や理工学部系の生物学科、生物科学科などで学べる。また、生命理学科、生命科学科などの学科でも学ぶことができる。

●学びの内容・特色
系統分類学、進化学、生態学は、現在に至る生物の変遷を研究する学問。

発生学や生理学では多細胞生物である動物・植物の生命現象を、細胞生物学と分子生物学は細胞や分子における生命現象を学ぶ。

遺伝学は遺伝子レベルにおける分析を中心に、ゲノム生物学は生物が持つDNAにある遺伝情報について研究。

また、理学との学際分野として、数理生物学、生物物理学、生化学などがあるほか、工学との学際分野である遺伝子工学、農学と関わるクローン技術、医学との学際分野である遺伝子診断・治療など、生物学は多様な分野と結びついている。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、博物館・動物園・植物園・水族館職員、中学校・高等学校理科教諭 など

地学

地球の成り立ち・構成、自然現象を学ぶ

●何を学ぶ?
地球の生い立ちやその構成物質、自然現象を研究対象とした学問。

地質学・地球物理学・鉱物学・岩石学・気象学・海洋学・古生物学・地球環境学など、地球を構成する岩石や鉱物・地質などの研究から地震、地球温暖化、酸性雨などの自然現象の研究にいたるまで、幅広い学問を網羅している。

●主な学部・学科
理学部の地球科学科、地球惑星科学科、地質科学科などで学ぶことができる。

●学びの内容・特色
地質学では地殻の構造・性質・成因・歴史を、気象学では大気の状態やその中で起こるさまざまな現象を物理的・化学的に研究。

また、地球物理学の一分野である地震学では、地震とその原因、地震に関係する地学的諸現象、地震波による地球内部構造の研究などをしていく。

それらの問題を含め、地球環境学では自然災害、環境問題、温暖化、オゾンホールなどについて全地球規模の視点からとらえ研究する。

地学系の学びの特色としては、実際に現場を調査するフィールドワークを多く取り入れている点があげられる。

現場に実際に赴いての地質調査・研究や気象観測などを行い、机上の講義と並行して学んでいくことで、より研究を深めていく。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、官公庁職員、中学校・高等学校理科教諭 など

広域理学

理学の分野を幅広くトータルに学ぶ

●何を学ぶ?
数学・物理学・化学・生物学・地学といった理学と呼ばれる学問をトータルに学ぶことで、宇宙、生命環境、自然環境をはじめとするさまざまなテーマに対する新しい視点と問題解決方法をさぐる。

●主な学部・学科
理学部、理工学部、工学部などで学ぶ。理学科、基礎理学科などの学科があり、さらに専門分野としてコースが設定されている場合もある。また、環境系の学部などで学べる場合もある。

●学びの内容・特色
数学・物理学・化学など、理系の学問領域に関する幅広い知識を修得する。複数の理学領域について横断的にバランスよく学ぶため、幅広い範囲や分野にわたる講義を履修するのが特徴である。

ただし、大学によって学びのテーマやカリキュラムなど、重点が置かれているところが異なるため、大学を選ぶ際には講義内容をよくチェックする必要がある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
研究・開発職、官公庁職員、中学校・高等学校理科教諭 など

(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

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