系統解説 ◆ 社会科学系統(1)

法学

社会生活のルールを規定する法律を学ぶ

●何を学ぶ?
社会の秩序を守るために制定されているさまざまな法律について学ぶ。憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の「六法」が基本となる。

民法とは個人間の財産上・身分上の関係などについて規定した法律。

刑法は、犯罪とそれに対する刑罰を規定した法律。

商法は、企業およびその活動などについて規定した法律の総称。

また、民事訴訟法は私人間の生活関係に関する紛争解決、刑事訴訟法は犯罪の認定と刑罰を科するための裁判手続きについて定めた法律である。

そのほかにも、国家間のルールを定めた国際法や、労働法、行政法などがあり、それぞれの分野で定められている法律について、その解釈、仕組み、運用方法などを学んでいく。

●主な学部・学科
法学部のほか、経済学部などで法関連の学科がある大学もある。

●学びの内容・特色
弁護士・裁判官・検察官になるためには、非常に難関であると言われている「司法試験」に合格することが必要。

司法試験を受けるには、大学を卒業後「法科大学院」という専門職大学院に入学するか、司法試験予備試験に合格する必要がある。

法科大学院では、法曹界で仕事をするに際しての、さらなる高度な専門教育を受け、司法試験合格を目指す。

●目指せる職種・活躍フィールド例
弁護士、裁判官、検察官、司法書士、行政書士、裁判所事務官、社会保険労務士 など

政治学

政治・政策を研究し、あるべき理想を追究

●何を学ぶ?
政治現象全体、またはその本質について分析・研究していく学問。

具体的な制度や政策を分析・研究するなど、政治に関する知識を幅広く学んでいき、過去・現在の政治体制・政策などを学ぶとともに、将来的な展望やどのような理想に近づけていくべきかについても研究していく。

また、政治はほかの分野とも密接に関連しているので、法学、経済学、社会学などの科目を学ぶことも多い。

●主な学部・学科
政治経済学部、総合政策学部、法学部の政治学科などで学べる。

また国際系の学部の中で、国際政治に関連した学科が設置されている場合もある。

●学びの内容・特色
政治が形づくられていく仕組み、政策がどのように決められていくかといったことに加え、それぞれの国や地方自治体、あるいは時代ごとの政治体制を比較していくなど、政治学の分析・研究には実に多様なアプローチの仕方がある。

中には実際に選挙の現場に出向くなど、より実践に基づいたフィールドワークを行っている大学もある。

ともすると縁遠く感じがちな政治だが、私たちの日常生活に密接に関わっているものであり、その政策の仕組みなどを知ることは、より良い社会を作るための秩序構築やその実現を考える契機にもなる。

●目指せる職種・活躍フィールド例
国家公務員、地方公務員、ジャーナリスト、政治家、国会議員政策担当秘書 など

経済学

モノや金、サービスの流れの仕組みを学ぶ

●何を学ぶ?
個人や家庭、企業さらには国、世界全体のモノやサービス、お金の流れなどに関する経済システムの構造を学ぶ。

家計・企業など個々の経済行動やそれらがお互いに関係し合う市場メカニズムの働きを分析する「ミクロ経済学」や、国民所得や国全体としての投資・消費・輸出入といった集計を用いて、失業率・インフレなど経済全体に関わる問題を分析する「マクロ経済学」が代表的な学びの分野。

ほかに、経済数量の間に理論的に想定される関係式を、実際の統計データにより統計学的に検証したり、その計算結果を用いて将来の予測や経済政策の効果の分析を行ったりする「計量経済学」、世界や日本の経済の歴史を学ぶ「経済史」、国や公共団体の財政の仕組みや政策などを学ぶ「財政学」、現代のグローバルな経済を扱う「国際経済学」などがある。

●主な学部・学科
経済学部や経済学科で学ぶのが一般的。国際経済、産業経済、金融などに特化した学科・コースもある。

●学びの内容・特色
設置数の多い経済学科では、経済そのものが多岐にわたるため、学ぶ内容も専攻やコースの違いによりさまざまな講座がある。

大学によっても学びの内容は異なっている。金融・財政・財務などのファイナンス研究を行うファイナンス学科、金融学科など、経済学の内容に特化した学科も多い。

●目指せる職種・活躍フィールド例
公認会計士、税理士、証券アナリスト、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士 など

経営学

企業や組織の経営・管理について研究

●何を学ぶ?
企業や組織(行政機関や病院、NGOやNPOなど)の経営について学ぶ学問。

人事、労務管理、生産管理、商品開発、販売戦略、広報など、企業活動の原理や構造を研究し、それらを合理的に運営・管理する方法を探っていく。

具体的には、経営学総論・経営学各論・経営戦略論・経営組織論・経営経済学・人的資源管理論・経営管理論・経営史・技術戦略論・生産管理などといった科目を学んでいく。

●主な学部・学科
経営学部や経済学部の経営学科、経営情報学部などで学べる。

また、国際経営、産業経営、会計などの学科・コースに分かれている大学も多い。

●学びの内容・特色
経営戦略論とは、企業がいかに利益を上げていくかを追求する学問である。

経営組織論は、企業を経営していくに当たって組織をどうまとめていくかについて、人的資源管理論は、企業などが従業員をどのように管理するかなどについて学ぶ。

また、経営史では、企業や企業の経営活動の歴史について学び、日本経営史・外国経営史の全体、あるいは時代ごとに分けて学んだりする。

なお、近年では国際経営学を中心に学ぶ学部・学科も増えており、そうした大学では外国語の講義に力を入れていることも多い。

●目指せる職種・活躍フィールド例
公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁理士、証券アナリスト、不動産鑑定士 など

商学・会計学

商取引や流通の仕組みを分析・研究

●何を学ぶ?
商学は、経済学と経営学の橋渡し的な役割を担いながら、その中間領域を学ぶ学問。

商品の売買や流通などの商取引の仕組みを分析・解明したり、消費動向を調査するマーケティングや、商品開発、流通・販売の仕組みなど、商取引に関わる生産者、流通・販売業者の活動やメカニズムについて研究する。

会計学は、社会や企業の経済活動の状況を計数によって示す学問で、それらを組織の経営管理や成長、収益アップにつなげていく。

グローバル社会においては、国際経済に対応する広い視野も必要とされる。

●主な学部・学科
商学部や、経済関連学部の商学科、会計学科などで学べる。会計、流通、金融、マーケティングなど、各学科・コースに分かれている大学もある。

●学びの内容・特色
商学一般について全体的に学ぶ商学総論、商業の歴史を学ぶ商学史、販売市場についての研究をするマーケティング論、商品の品質を扱う商品論などがある。

また、個人や企業などの経済活動状況を一定の計算方法で記録し情報化する「会計」も学びの範囲にある。

会計の分野では、会計学や、企業の経営活動を記録・計算・整理して経営成績と財政状態を明らかにする技能である「簿記」などを中心に学んでいく。

●目指せる職種・活躍フィールド例
公認会計士、税理士、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士 など

「系統解説 ◆ 社会科学系統(2)」を見る

(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

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