大学、短大、専門学校進学 役立つコンテンツ 実践編

高校生のための進路サイト

系統解説 ◆ 人文科学系統

文学

作品に表現された作者の想いや時代背景などを考察

●何を学ぶ?
「日本文学」を学ぶ学科では、日本のいろいろな時代の物語、短歌、詩、小説などの文学作品を通じて、そこに込められた作者の意図や当時の時代背景、人間の本質などを読み取っていく講義がベースとなる。その対象は、古典から近現代作品まで幅広い。

作品の内容・作者にスポットを当てたものから、文学史を学ぶもの、言語学の視点から研究するもの、文化史、民族性と絡めて学ぶものなど、学びの方法も多様。

「外国文学」では、文字通り外国の作品・作者を扱うが、英米文学、ドイツ文学、フランス文学、中国文学などを研究対象とする学科が多い。

それらの作品を学ぶ際には語学の修得が不可欠であり、その国の表現方法を知ることで、さらに作品の奥深さを探求することができる。

●主な学部・学科
文学部のほか、人文学部などで学べるケースもある。

各学部は、日本文学科、英米文学科・英文学科、フランス文学科、ドイツ文学科、中国文学科などに分かれる。

●学びの内容・特色
一口に「文学」と言っても学ぶ内容は学校によりさまざま。また学年によって学ぶ内容が変わることも多い。

「古典文学を学びたい」「フランスの○○の時代のことを研究したい」など、学びたいものがはっきりしている場合は、前もって希望の学校のカリキュラムをチェックしておこう。

●目指せる職種・活躍フィールド例
作家、翻訳家、記者、ライター、編集者、図書館司書、司書、学芸員 など

語学

各国の言語を学び、コミュニケーション力をアップ

●何を学ぶ?
英語、フランス語、ドイツ語、中国語などをはじめとする諸外国語を学び、「聞く・話す・読む・書く」といった語学力を高めるとともに、それら言語の背景にある歴史や文化・民俗などを理解する。また、国際理解を深めるためのコミュニケーション力アップもはかる。

大学により、文化的視点を重視する学び、文法や語法など言語自体を学ぶもの、ビジネスにおける実践力養成を中心とする学びなど、その内容は異なる。

また、日本語学科では、世界の言語の一つとして、学問的に日本語にアプローチし、改めて日本社会や文化への理解を深めたり、外国に向けて日本の文化・習慣を伝える力などを養成したりする。

●主な学部・学科
外国語学部のほか、人文学部、文学部、国際コミュニケーション学部などで学べる場合も多い。

日本語を学ぶ場合は、日本語日本文化学科といったように、文化と関わりを持たせている学科が多くある。

●学びの内容・特色
英語、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語などに加え、ロシア語、ポルトガル語、インドネシア語、タイ語といった、高校までの授業ではなかなか触れることのない言語を学修できるカリキュラムを備えている大学もある。

また、大学によっては、一つの学科・コースで複数の言語を勉強できる場合もある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
通訳、通訳案内業、翻訳家、旅行業務取扱管理者、ツアーコンダクター、日本語教師 など

文化学

衣食住からメディアまであらゆる文化活動がテーマ

●何を学ぶ?
人間が営んできた「文化」を、さまざまな角度から研究していく学問。

対象となるのは、衣服・食生活・住居・神話・冠婚葬祭・言い伝え・こどもの遊び・言語文化・芸術・思想・宗教など多岐にわたる。近年はメディアやマルチメディアといった分野にスポットを当てたコースもある。

また、研究する地域も、日本文化について学ぶ場合、外国文化について学ぶ場合、それぞれの地域文化を比較する場合など、さまざまである。

●主な学部・学科
人文学部などで学べることが多い。また、文学部のなかで「文化」をメインにしたコースとして設けられている場合も数多くある。

ほかに、外国語学部や国際系の学部などにも専攻やコースなどが設置されているケースがある。

●学びの内容・特色
文化学は、扱う範囲があらゆる分野にわたっている。

そのため、同じような名称の学部・学科でも大学によって学びの内容が異なり、同じ分野であっても、指導教員によってそれぞれ専門とする分野が異なっているので、事前に何を学ぶのか、受験しようと思っている学科・コースのカリキュラムを確認する必要がある。

また、外国文化を学ぶ場合は、ヨーロッパ・アメリカ・中国を対象とした学科・コースが多い。

●目指せる職種・活躍フィールド例
国家公務員、地方公務員、ジャーナリスト、学芸員、司書 など

史学、地理学

歴史・地理から人間の歩みや生活について考察する

●何を学ぶ?
史学系の学科・コースでは、歴史上起こった出来事や、社会全体の流れなどについて史料を読んで研究する。

学ぶ内容は、一般的に日本史・東洋史・西洋史に分けられるが、政治史、社会史、文化史などのテーマによって、また扱う時代よりそれぞれ学ぶ内容が大きく異なってくる。

いずれの場合でも、史学は単に歴史上の事実を検証するのではなく、学ぶ者一人ひとりが歴史観を形成し、現代社会をその観点から分析・考察する力を身につけることを目指している。

地理学には、自然地理(地形・気候・土壌など)、人文地理(産業・文化・人口などの人間活動や各地域の特色など)、地誌(ある特定の地域の自然地理・人文地理など)といった分野がある。

遺跡や遺物などを研究して、そこから過去の人々の生活などを掘り下げる考古学を学ぶ学科もある。

●主な学部・学科
文学部、人文学部の史学科や歴史学科、地理学科などで学べる。

●学びの内容・特色
史学系では、通史などを学んだ後に、最終的には時代ごとの専攻分野を決めて、それについて研究するケースが多い。

また、地理学では、実際に現場へ行って調査・研究をするなど、野外でのフィールドワークを行うこともある。

経済学の立場から各地域の特色を研究する経済地理学といった分野もある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
学芸員、司書、測量士、中学校・高等学校社会教諭 など

哲学・宗教学

「人間とは何か?」 その本質に迫る

●何を学ぶ?
哲学とは、「人間とは何か?」「自分とは何か?」といった人生の根本原理を追究する学問。

真理、美、正義、神、存在、時間、知識、本質、同一性、理性、因果、意識、自他といった比較的抽象度が高い事柄について論じる。

ギリシャなどを起源とする西洋哲学、インド・中国などを起源とする東洋哲学などに分類される。

哲学的要素を内包する宗教学は、宗教現象を客観的に研究して、宗教の本質や構造などに迫ることを目的とする学問。

宗教自体の研究に加え、宗教が社会に与える影響などについても学ぶ。神学系、仏教学系、神道学系などがある。

●主な学部・学科
哲学は、文学部の哲学科や人文学科などで学ぶ場合が多い。

哲学は美学と深く関わることから、美術系の学部で学べることもある。

宗教学は、神学部、仏教学部などに加え、人文学部系に設置されているケースもある。

●学びの内容・特色
哲学の授業は、古代ギリシャ哲学などの古典からスタートすることが多い。

また、人間存在との関わりが深い芸術の本質や歴史を考える「美学」という学問を学ぶ講義もある。

なお、哲学や宗教学では歴史的な資料を扱うが、その解読のために、ギリシャ語やラテン語、ドイツ語など外国語の修得も求められることがある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
哲学者、宗教家、中学校・高等学校社会教諭、神父、牧師、住職、宮司 など

心理学

社会や人との関わりで生じる「心の動き」を探求

●何を学ぶ?
人間の理性と感情、それらによって引き起こされる行動について科学的に分析・検証する。

発達段階や社会・集団・ほかの人との関わりの中での心の動きを解明したり、個々が抱える心理的な問題の解決方法の研究などがテーマとなる。

精神が発達する際の傾向・法則を研究する「発達心理学」、人間の社会的意識や行動を社会環境や条件との関連で分析し理論化していく「社会心理学」、個人の問題や集団適応についての問題を、心理学的知識や技術によって解決を図ることを目指す「臨床心理学」をはじめ、多数の分野がある。

また、そうした心理学の研究には、統計や分析など理系の知識も用いられている。

●主な学部・学科
心理学部を設けている学校もあるが、人文学部、文学部、人間科学部などの学部に、心理学科や人文学科などとして設けているケースが多い。

また、社会心理、臨床心理、児童心理、福祉心理など、コースや専攻に分かれて学ぶ大学も多い。

●学びの内容・特色
発達心理学の中でも、乳幼児から児童期までの発達を研究するのが、児童心理学。

そうした一つの分野に特化したカリキュラムを組んでいる大学もある。

また、福祉サービス利用者やその家族などの福祉に関する相談や助言・指導などについて学ぶ福祉心理系のカリキュラムを中心とした学科もある。

●目指せる職種・活躍フィールド例
臨床心理士、産業カウンセラー、児童養護施設職員 など

(資料:ライセンスアカデミー『学べることから見つける大学探しBOOK 2019』/平成30年6月15日発行)

TOP