「国家」・「地方」の違いから、受験・採用までの概要をつかみ、採用試験(高校卒業程度)の結果を見ていきます。
公務員は、勤務する機関の違いによって「国家公務員」と「地方公務員」に大別されます。
また、国家公務員と地方公務員の職はそれぞれ「特別職」「一般職」に分けられます。特別職は、選挙によって就任する職や、職務の性質から特別の取り扱いが必要な職などを指します。一般職は、特別職以外の職員で、公務員の大半を占めています。
国家公務員の場合は、各省庁およびその出先機関が勤務先となり、全国各地に配属される可能性があります。地方公務員の場合は、各地方自治体に勤務し、さまざまな職務に携わる傾向があります。
国家公務員試験は、平成23年度まで『Ⅰ種・Ⅱ種(大卒程度)』『Ⅲ種(高卒程度)』などに区分されていました。平成24年度からは試験体系が変更となり、『総合職試験』(大学院卒者試験と大卒程度試験)、『一般職試験』(大卒程度試験と高卒程度試験)、『専門職試験』(大卒程度・高卒程度に分かれる)などに区分されています。
公務員試験に合格すると、採用候補者名簿に記載され、各官庁等による面接試験などを経て、正式に採用が決定します。
国家公務員は人事院、地方公務員は都道府県の人事委員会や、市区町村役場の人事課が試験の公告を行います。官報、新聞、ウェブサイト、ポスター等で公告されると同時に受験要項が発表されるため、早めに取り寄せるようにしておくと良いでしょう。
下にある「人事院地方事務局(所)採用・試験担当課一覧」を参照してください。
◆人事院地方事務局(所)採用・試験担当課一覧◆
〈北海道〉
【所在地】〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目
【電話番号】011-241-1248
【管轄区域】北海道
〈東北〉
【所在地】〒980-0014 仙台市青葉区本町3-2-23
【電話番号】022-221-2022
【管轄区域】青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
〈関東〉
【所在地】〒330-9712 さいたま市中央区新都心1-1
【電話番号】048-740-2006~8
【管轄区域】茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、新潟、長野
〈中部〉
【所在地】〒460-0001 名古屋市中区三の丸2-5-1
【電話番号】052-961-6838
【管轄区域】岐阜、静岡、愛知、三重、富山、石川、福井
〈近畿〉
【所在地】〒553-8513 大阪市福島区福島1-1-60
【電話番号】06-4796-2191
【管轄区域】滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
〈中国〉
【所在地】〒730-0012 広島市中区上八丁堀6-30
【電話番号】082-228-1183
【管轄区域】鳥取、島根、岡山、広島、山口
〈四国〉
【所在地】〒760-0068 高松市松島町1-17-33
【電話番号】087-831-4765
【管轄区域】徳島、香川、愛媛、高知
〈九州〉
【所在地】〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-11-1
【電話番号】092-431-7733
【管轄区域】福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
〈沖縄〉
【所在地】〒900-0022 那覇市樋川1-15-15
【電話番号】098-834-8400
【管轄区域】沖縄
①教養試験、専門試験、作文試験、人物試験(面接)など、さまざまな試験が課されます。早めに受験対策に取りかかり、効率良く着実に勉強を進めることが大切です。
②「高卒程度」の場合、試験範囲は高校までの学習内容ですが、公務員試験独特の「一般知能」が約半分を占めるため、これに関する勉強が別に必要になります。
③「合格」=「採用」ではありません。合格から採用までの期間は短く、また採用候補者名簿の有効期間は限られています。採用もれにならないよう、早めに内定に向けての働きかけを行うことが重要です。
〈国家公務員一般職〉
【最終合格者数】2,690人
【倍率】5.2
【試験日】第1次試験 平成29年9月3日
各府省に採用後、一般的な行政事務・技術的業務などに従事する。採用自体は、日本をいくつかに区分したエリアごとに分けて行われる。
〈税務職員〉
【最終合格者数】1,469人
【倍率】5.8
【試験日】第1次試験 平成29年9月3日
「税務大学校」の地方研修所(全寮制)で約1年間、各税法、簿記会計学、法学、商法などの専門知識や技能を身につけるための研修を受けた後、税務署などで国税の調査・徴収などの事務に従事する。
〈皇宮護衛官〉
【最終合格者数】12人
【倍率】43.3
【試験日】第1次試験 平成29年9月24日
警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属する警察庁職員のこと。一定期間、「皇宮警察学校」で訓練を受けた後、天皇皇后両陛下・皇族各殿下の護衛と皇居・御所などの警備に従事する。
〈入国警備官〉
【最終合格者数】79人
【倍率】27.8
【試験日】第1次試験 平成29年9月24日
全国の地方入国管理局・同支局・同出張所、各入国者収容所入国管理センターで、不法入国者・不法滞在者などの調査、摘発、収容、護送、送還、被収容者の処遇、施設警備などの業務に従事する。
〈刑務官〉
【最終合格者数】992人
【倍率】5.3
【試験日】第1次試験 平成29年9月17日
主に少年刑務所や刑務所、拘置所に配属され、被収容者に対し、日常生活の指導や職業訓練指導、また悩みごとに対する指導を行うことで受刑者の更生を図るほか、各施設内の保安警備の業務にも従事する。
〈航空保安大学校学生〉
【最終合格者数】102人
【倍率】6.5
【試験日】第1次試験 平成29年9月24日
卒業後、全国各地の空港などで、航空通信、航空情報の提供および運航管理、航空保安無線施設の運用保守などの業務に従事する
〈気象大学校学生〉
【最終合格者数】44人
【倍率】9.2
【試験日】第1次試験 平成29年10月28日・10月29日
卒業後、気象庁や全国各地の気象台などで、気象、地震・火山、海洋等の観測、調査、予報、研究、防災などの業務に従事する
〈海上保安大学校学生〉
【最終合格者数】81人
【倍率】7.2
【試験日】第1次試験 平成29年10月28日・10月29日
本科および専攻科修了を経て、巡視船などに初級幹部職員として乗組み、海難救助、海上犯罪の取締りなどの業務に従事する
〈海上保安学校学生(特別)〉
船舶運航、システム課程850人
【最終合格者数】
【倍率】7.7
【試験日】第1次試験 平成29年5月14日
卒業後、海難救助、海上犯罪の取締りなどのほか、船舶の運航・整備、機関の運転・整備、経理・補給・庶務・調理の業務に従事する
〈海上保安学校学生〉
【最終合格者数】
船舶運航システム課程…400人
航空課程…14人
情報システム課程…68人
管制課程…31人
海洋科学課程…19人
【倍率】
船舶運航システム課程…8.4
航空課程…12.8
情報システム課程…2.7
管制課程…3.1
海洋科学課程…4.4
【試験日】第1次試験 平成29年9月24日
卒業後は各課程の学びを活かし、海難救助、海上犯罪の取締りのほか、船舶の運航・整備、機関の運転・整備、経理・補給・庶務・調理、通信機器の運用管理、航路標識の管理運営、航行管制、海洋観測、測量、海図の作成などの業務に従事する
(資料:ライセンスアカデミー『がんばれ!青森県の高校生 2019』/平成30年4月25日発行)