入試の種類 ◆ 推薦入学試験

勉強や高校生活で出した成果を評価する入試

大学入試の主要な入試方法の一つが「推薦入学試験」です。

大学の推薦入試は実施率98.9%で、ほぼすべての大学が実施しています(平成29年度)。
ただし、国・公立は、私立に比べて推薦入試の募集人員自体が少なく設定されています。
そのため入学者全体に占める推薦入学者割合は、国立12.2%、公立24.4%、私立40.5%と、国・公・私立の別で異なっています。

推薦入試は、原則として、高校の学校長からの推薦に基づき、書類審査や面接、小論文などで合否が決まります。
形式は「指定校推薦」と「公募制推薦」に大別されます。

「指定校推薦」は、公立大と私立大のみで行われており、大学が指定する特定の高校の在校生に限って出願できます。
推薦枠は一高校につき1~2名程度と少なく、成績基準は高い傾向にあります。

「公募制推薦」は、大学が定めた出願条件を満たしていれば、どの高校からでも出願できます。
私立大では、他大学との併願を認めている場合もあります。

推薦入試で最も重要視されるのは、評定平均値や出欠状況、特別活動等が記入された調査書ですが、特に「評定平均値」が合格のカギを握ります。
国・公立の場合は4.0以上、私立の場合は3.0~4.0程度を出願条件とする大学が多く見受けられます。

出願開始日は、原則として11月1日以降と定められているため、選考試験自体は11月の上旬から中旬に集中するのが一般的です。
従って、合格発表は11月中旬から下旬、入学手続は12月中と、年内にスケジュールを終えるケースがほとんどです。
なお、国・公立の場合、大学入試センター試験を課す場合と課さない場合があり、それにより入試日程は大きく異なります。

短期大学においては、すべての短期大学が推薦入試を実施しており、平成29年度入試においては全入学者の59.6%が推薦入学者となっています。

最も多いのは「書類審査」+「面接」+「小論文」

■選考ポイント

〈書類審査〉
重要なのは全体の評定平均値と成績の伸び具合

「全体の評定平均値」は高校1年からトータルした成績の平均。また、成績の伸び具合は、上向きであることが望ましい。どちらも高校3年1学期は特に大切。また出欠、特別活動、取得資格、学習や行動の特徴などの要素も評価対象となる。

〈面接〉
印象深い受け答えで自分らしさをアピール

きちんと挨拶ができるか、質問を理解して的確な受け答えをしているかなどを中心に、受験者の全体像を評価。質問・応答を通して、学校の教育理念や学部・学科についての理解度や学問に対する意欲、また人間性などがはかられる。

〈小論文〉
自分の考えや意見を文字にして明確に伝える

小論文によって学校が評価するのは、総合学力のレベル。出題の意図を理解し、論理的に自分の考えや意見を組み立てることが重要となる。過去問題にチャレンジし、社会の動きやニュースに対する自分の考えを深めておくことが望ましい。


■ 基礎学力を重視する推薦入試の場合

〈理工系で増加傾向の口頭試問〉
【書類審査 + 面接 + 口頭試問】
「口頭試問」とは、学科や専攻に関する基礎知識があるかどうかを評価するための方法。その場で問題が出され、その場で答えなければならない。解答の正否より、解答するまでのプロセスがチェックされる。

〈学力重視の学校に多い〉
【書類審査 + 面接 + 学科試験】
(大学入試センター試験利用入試も含む)

【書類審査 + 面接 + 小論文 + 学科試験】
学科試験は、教科書の内容からの基本的な出題が多い。

※その他、体育・芸術・教育系学部・学科・専攻等の推薦入試では、実技試験が課される場合が多い。

特別(ユニーク)推薦

得意分野の実績を評価する推薦入試の一つで、出願条件に合えば誰でも受験できます。

・スポーツ推薦
全国大会や県大会における上位入賞実績を評価。「全国大会ベスト8進出」「都道府県大会ベスト4以上」など、考える以上に高い競技成績が求められる。対象となる競技種目は大学により異なる。

・文化活動推薦
音楽・美術・演劇など、文化・芸術分野において、全国または都道府県レベルで入賞した実績を評価。大学により分野や種目の指定がある。

・社会活動推薦
地域環境美化、高齢者や障害者介助などの奉仕・ボランティア、および社会活動等において、模範的な取り組みや中心的な役割を果たした実績を評価。

・課外活動推薦
生徒会役員や部活動で、優れた活動に携わった実績を評価。入学後は、関連する当該活動団体等に参画し、積極的に活動を継続すると共に、勉学にも精励できることが期待されている。

・特定科目(教科)推薦
志望学部・学科において学ぶ内容に関連する高校時代の学習成績を評価する。例えば、「『数学』と『理科』の評定平均値がともに4.0以上」「外国語関連教科を8単位以上修得し、その評定平均値が3.8以上」など。

・有資格者推薦
実用英語検定、TOEIC、TOEFL、簿記検定、応用情報技術者試験など、志望学部・学科の学びに直接関わる一定ランク以上の資格取得や検定合格実績を評価。

・自己推薦
学校長推薦の必要がなく、自分の得意なことや珍しい経験をアピールする。例えば、
①特定資格・検定の取得・合格実績
②社会的な課題に対する強い関心や問題意識
③海外生活・異文化体験
などがこれに該当する。

※上記のほか、「一芸一能推薦」「専門高校枠推薦」「同窓生・子弟推薦」などもある。
※「名称・形式」および「内容」は代表的なものの一例

(資料:ライセンスアカデミー『大学・短大 進路のてびき2019 東日本版』/平成30年5月26日発行)

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