医師
医療の専門知識・技術で、人々の健康や生命を守る
医師には、患者を治療する臨床医と、病気を研究する研究医の2つのタイプがあり、多くは臨床医となって、医療チームの責任者として患者の治療にあたる。技量だけでなく、人間性とコミュニケーション能力が問われる仕事である。生命を守る仕事だけに、大学で6年間学び国家試験に合格しても、研修や臨床経験が必要なので、一人前になるまでの道のりはかなり長い。
歯科医師
歯と歯ぐきの健康と治療に携わる
虫歯の治療や抜歯、歯周病の治療、義歯やブリッジによる補綴(ほてつ)のほか、虫歯を予防するために教育機関で検診をしたり、歯並びをきれいにするための矯正を行うこともある。多くの歯科医師は、それらのほぼすべてを一手に引き受けて行っているが、最近は「矯正歯科」や「審美歯科」として専門的な治療だけを行う医師も増えている。
薬剤師
薬を扱い、人々の健康維持と病気治療に貢献する
医師の処方により薬を調剤するのが主な仕事。医師に協力し患者の症状やアレルギー歴などを考慮して、副作用がないようにしなければならない。薬剤師資格を生かし、薬局やドラッグストアで市販薬に対してアドバイスをする仕事もあり、調剤の仕事同様、患者への服薬指導をする重要な役割を担う。また、製薬会社で医薬品の研究開発・製造などにたずさわる人もいる。
看護師
医師と患者をさまざまな面からサポートする
医師の指示により診療や手術におけるサポート、入院患者に対する検温・検査・投薬・報告などを、医療スタッフと連携して行う。業務の幅は広く、入院患者を担当する場合は夜勤もあるので、体力的にはかなりハード。ただし慢性的に人手不足なので、資格取得後の就職はスムーズ。最近は男性の看護師も増えている。
保健師
地域の人々の健康と衛生管理を指導する
保健所や学校、市区町村の役所などで、健康診断の計画を立てたり、育児相談や生活習慣病対策、障害者や高齢者などの家庭を個別訪問して相談に応じたりする。医師や看護師、介護福祉士などのスペシャリストと連携・協力することもあり、仕事の範囲は実に幅広い。保健師になるには国家資格を取得し、行政機関や学校、民間企業などに就職する。
臨床検査技師
病気の早期発見や診断をサポートする
医師の指示に従い、機器や超音波を用いて身体の状態の検査(生理学的検査)をするために、脳波や心電図などをとったり、血液や胃液、粘膜、尿、便といった検体を身体から取り出して検査(検体検査)を行ったりする。医師は、これらの検査結果によって、病気の診断や治療方針について判断を下すので、責任は重大。つねに細心の注意が必要だ。
診療放射線技師
医療用放射線機器を操作・管理する
放射線を発生させる装置の取り扱いや安全管理などを担う専門的な医療技術者。医師や歯科医師の指示により、骨やその周囲の組織の異常、病巣を映す画像撮影、ラジオアイソトープ診断のための検査、がんや肉腫細胞をなくすための放射線照射や放射線管理などを行う。近年では、放射線を使用しないMRI(核磁気共鳴画像)を扱うなど業務範囲が広がっている。
臨床工学技士
医学と工学の知識・技術を持つ専門家
医師の指示を受けて、「生命維持管理装置」と呼ばれる人工透析装置、人工呼吸装置などの機器を操作し、異常や故障のないように保守・管理を行う。手術に立ち会う、重症患者の治療をする集中治療室の装置を扱うなど、生命に直結した場面での仕事も多く、絶対にミスは許されない。確かな技術と安全への強い意識が求められる。
歯科衛生士
歯科医師をサポートし、治療をスムーズにする
歯科医師の診療をさまざまな側面からサポートする、いわば歯科における看護師的な存在。具体的には予診、器具の消毒、治療に使用する材料の準備や後片付け、患者の口腔内の清掃や薬物の塗布、治療器具の受け渡し、歯石の除去、歯磨き指導などを行う。治療の前後には、患者と会話することが多く、緊張感をほぐす気配りが求められる。
歯科技工士
歯の治療のための義歯や装具を製作する
歯科医師の指示に従い、入れ歯や差し歯、歯冠、ブリッジ、歯列矯正のための装具などを作る。個々人によって異なる歯の微妙な凹凸やかみ合わせに合わせた装置をつくるには、手先の器用さと確かな技術が必要。美容の面から歯を治療・矯正する人も増えており、治療のためだけではない、よりレベルの高い技術や美的感覚も必要とされる。
視能訓練士
目に関わる検査や視力回復訓練などを行う
視機能検査と矯正訓練を行う専門の医療技術者。眼科医師の指示による視力、視野、屈折、調節、色覚、眼圧、眼球運動などの検査を行う。また、斜視や弱視の視機能回復の矯正訓練や治療計画の立案、学校や職場での集団検診、視力が低下した高齢者などに対するリハビリ指導などの仕事をするほか、各種光学機器を用いて視能矯正訓練を施すこともある。
言語聴覚士
言語能力回復に力を注ぐプロフェッショナル
「話す」「聴く」だけではなく、発声・発音、認知など、言語コミュニケーションに障害を抱えた人の機能回復をめざして指導・訓練を行う。言語障害の原因は、失語症や吃音、聴覚障害、蓋裂、喉のガン、脳性マヒなどさまざま。対象も、乳幼児から高齢者まであらゆる年代にわたるため、一人ひとりの障害の状態を見極め、心理面も含めてサポートをしなければならない。
理学療法士
基本的な身体動作の回復を目指して指導
医師の指示を受け、病気やケガで身体に障害を抱える人が、主に「起きる」「立つ」「歩く」といった基本的な動作を回復し、身体機能全般が向上するよう、各種療法を使ってサポートを行うスペシャリスト。その手段には、運動療法、水中療法、温熱療法、電気・光線療法、マッサージなどがあり、個々の症状により、医療スタッフと相談しながら計画を立てていく。
作業療法士
実生活・実社会で自立するための機能回復を目指す
心身に障害を抱える人を対象に、リハビリテーションを行う。目指すのは、応用動作能力・社会的適応能力を高めて、社会復帰を促すこと。そのために、日常生活の動作訓練、手芸・陶芸・園芸・絵画などの創作活動や、音楽・ゲーム・スポーツを利用した機能回復など、より実生活に近い動作の訓練によるサポートを行っていく。
義肢装具士
身体機能を補助する装具を製作する
病気や事故で、手足の一部または全部をなくした人のために、医師の処方により義手や義足をつくり、身体に合うよう調整する仕事。仕事は採寸・採型、製作、適合調整、装着指導、保守管理の流れで行うが、最近は分業化が進み、製作は技術者が担当することも多い。また、義肢だけではなく、車椅子や杖などの補装具の製作を手がけることもある。
救急救命士
的確かつスピーディーな救急医療を担う
傷病者を救急車で病院に運ぶ間、医師の指示のもと、心臓マッサージ、輸液点滴、気道の確保、あるいは人工呼吸による呼吸管理などの救急救命処置を行う。一刻を争う生命の危機に直面することも多く、冷静沈着な行動、的確な判断力、幅広い医療知識が必要とされる。有資格者の多くが、消防関係者である。人命を救う重要な仕事としてますます期待が高まっている。
柔道整復師
手術をしないで骨折・捻挫を処置する
柔道整復は、「ほねつぎ」として柔道とともに発達してきた治療法。柔道整復師は、打撲、捻挫、脱臼、骨折した部分、あるいは肩こりや腰痛に対して処置を行うが、医師とは違いメスを使用しない無血療法で、応急処置や補助的な治療を行う。近年では、スポーツトレーナーなどの分野でも用いられるようになり、国際的にも活躍フィールドは広がっている。
はり師/きゅう師
ツボを刺激して身体全体の免疫力・治癒力を高める
東洋医学の伝統的な療法を行う施術者。はり師は、症状や病気に対応する一定部位(ツボ)に“金属針”で刺激を与える療法を行う。きゅう師は火をつけた“もぐさ”をツボに接触させ、温熱により人体に作用させる。それらの効果は、目の疲れや肩こりの解消はもとより、内臓疾患の改善にも有効とされ、最近は西洋医療の分野でも注目されている。
あん摩マッサージ指圧師
指、手、腕を使って、コリや苦痛を和らげる
疾病の治療や心身のリラクゼーションを目的として、東洋医学の考えに基づき、身体の部位を「おす」「ひく」「もむ」「なでる」「さする」などして血行をよくし、“コリ”をほぐして、患部の痛みを和らげる施術者。骨の異常を矯正することもある。最近は老若男女を問わず、心身をリラックスさせることのできるマッサージへのニーズが高まっている。