志望大学の過年度の入試データを確認することは、自分の実力が最大限に活かせる入試を見つけることに直結します。もちろん、合格に向けた一つの具体的な目標にもなるでしょう。大学によって公表の方法や形態はさまざまですが、ここではまず、「合格最低点」「志望倍率」「実質倍率」など、基本的な項目を見てみましょう。
大学によっては、下表のような入試結果データを公表しているところがあります。このような「入試データ」を見つけたら、まずは「合格最低点」に注目してみましょう。学部や学科、入試方式によってバラツキはありますが、合格のボーダーラインはおよそ60%以上。満点を取らなくても合格できることが分かります。ボーダーラインを目安に勉強の組み立てを考えてみましょう。
受験の難易度を示す「倍率」には、「志願倍率」と「実質倍率」の2種類が用いられます。「志願倍率」は受験前に定員に対してどれだけの人が受験を考えているのかを示す数値。「実質倍率」は定員に対して実際にどれだけの人が合格したのかを表しています。「志願倍率」より「実質倍率」は低くなります。受験に際しては、受験校のそうした過去の数値を見比べて、どのような傾向があるのかを確かめてみましょう。
①「志願倍率」は「志願者数÷募集人員」で算出できる数値です。例えば、この表の経済学部(T日程)経済学科の志願倍率は839÷50で16.8倍となります。ただし、この中には併願者の数も含まれているため、数値の高さそのものに惑わされないことが大切です。
②入学定員よりも「合格者」を多く出している大学は多いです。国立大学は、ほぼ定員通りの合格者数を出すのが通例です。私立大学は従来、定員以上の合格者を出す傾向でしたが、現在は「定員の厳格化」により、各大学では合格者を絞り込む状況となっているので注意しましょう。
③この数値は「実質倍率」を示しています。「受験者÷合格者」で算出できます。この表の経済学部(センターC方式)経済学科を見ると、実質倍率は1.7倍。しかし、志願倍率は22.7倍と、実質倍率とは大きくかけ離れた数値になっています。
④合格のボーダーラインを知る上で重要なデータが「合格最低点」。おおむね60%の得点率が分かれ目になることが多いです。苦手科目があっても、ボーダーラインを超えれば合格となります。ボーダーラインを知って、どのように入試に向かうのか対策を立てましょう。
大学が公表している入試結果のデータにはさまざまなものがあります。例えば、志願者の男女別比率や現役・既卒者(浪人)別の志願者比率、また地域別の志願者比率を公表している大学もあります。このようなさまざまなデータが公表されていれば、ぜひ参考にしたいのが、「男女比率」と「現浪比率」です。
男女比率は学部・学科によって大きく違います。一般的に文系学部は女子比率が高く、理系は男子比率が高くなります。また、女子の進学が短大から大学へシフトしたことで、女子比率が高くなった大学や学部は、難易度が高くなる傾向があります。もし、過去のデータが入手できれば、女子比率の高低で難易度を推測することも可能です。また、現浪比率は他の大学と比較する際に有効です。合格者の現役比率が高ければ、現役生が取り組みやすい入試問題と言え、浪人生比率が高ければ浪人生が取り組みやすい出題内容と言えます。
■現浪比率・男女比率(D大学例)
■現浪別志願者・合格者比率(E大学例)