私は子どもを対象とした心理学に興味があるのですが、先生に心理系の仕事について訊ねてみたところ、大学院まで行かないと心理系の仕事への就職は難しいと言われました。これは本当のことなのでしょうか。
先生は大学院まで行かないと就職が難しいとおっしゃっているとのことですが、それは「臨床心理士」になる場合、という意味だと思います。臨床心理士は、心理カウンセリングの専門家で、小中高等学校や児童相談所、教育相談所等でプロのカウンセラーとして働きます。この資格試験を受けるためには、指定の大学院を卒業することが条件になっています。
ですが、大学で心理系の勉強をしたことを生かせる仕事は他にもたくさんあります。たとえば「児童福祉司」という資格があります。児童福祉司は都道府県などで設置している児童相談所で、子どもの非行や障害などのさまざまな相談に応じ、援助をしていく仕事をします。受験資格を得るには、大学を卒業した後、実際に1年以上仕事をしなければならないのですが、大学院に進学する必要はありません。
臨床心理士や児童福祉司の資格を目指すのもひとつの道ですが、心理学の勉強をしていく中で、「自分は仕事をしていく上で心理学をどのように生かしたいのか?」というふうに考えていっても良いと思います。たとえば「人の心を考えることができる」幼稚園や保育園の先生を目指してみても良いでしょうし、スーパーの販売員として、「どのように野菜を置いたらおいしく見えるか」といったことを心理学的に考えて陳列をしてみても良いでしょう(これは実際に行われていることが多いです)。カウンセラー以外の仕事の中でも、心理学を用いている仕事はたくさんあります。(依田)
2005年11月更新