私が就きたい職業は役者です。ただの憧れではなく、真剣に目指しています。 そのために、とある大学の芸術系の学科に進学しました。ですが、大学の勉強内容・勉強スタイルが合わず、中退すべきかどうかで悩んでいます。 大学では、芸術の歴史や理論を学びますが、私はそれらには興味がありませんし、自分の個性や感性を守るため、むしろ芸術関連の知識を入れたくないと思っています。もちろん、自分とは違う意見を見聞きすることも大事だとは思いますが、大学の授業で学ぶ時間は無駄だと思います。 また、大教室での座学というスタイルも合いません。もっと少人数の授業で、生徒と先生が対等に近い立場に立って、興味のある内容について議論をし、授業を止めて質問ができたりするようなところが私の性に合っているのだと思います。 そこで、今通っている大学を中退し、より自分に合った学習ができる場所へ移りたいのですが、どこがよいのか分かりません。私の希望に合う大学を教えてもらえないでしょうか。
あなたが希望する学習スタイルですが、近いものとしては、理系であれば研究室、文系であればゼミになると思います。
ただし、研究室やゼミに入れるのは、一般的には大学3年生からで、早いところでも2年生くらいからになると思われます。1年生の段階でゼミでの学び方を習うゼミといったものが用意されていることもありますが、内容的には学び方のレクチャー中心で専門的なものではないようです。
どの大学でも、1~2年生の内は座学中心で教養教育や専門教育につなげる基礎固めを行っていくのが一般的であり、研究室やゼミでの活動が入ってくる3~4年生になっても座学の講義自体は続きますので、それらを避けることはできません。
好きなタイプの授業だけを受けることはできませんので、そこはそういうものだと納得して受け入れていくしかないでしょう。
それを考えると、貴重な時間や費用をかけて別の大学に移る必要はないと思います。
他人の影響を受けたくないから、芸術に関する知識を入れたくないとのことですが、それは間違いだと言えます。
私は元々デザイナーであるため、自分自身のオリジナリティを大切にしたいというあなたの気持ちは分かりますが、それと同時に、確固とした理論と技術の裏打ちがないと、プロとして通用しないということも知っています。
これについては演劇も同様のようで、プロの俳優であれば当然知っているべき理論(スタニスラフスキー理論とか)、身につけておくべき技術などが存在しています。それら抜きで俳優を目指しても、遠回りをするばかりで、むしろ成功から遠ざかることになってしまうでしょう。
分かりやすい例でいえば、お菓子作りの経験がない人が、いきなりシュークリームベースのオリジナルデザートを作ろうとするようなものです。
材料の種類や量、調理手順、焼き時間や温度などのレシピを知らずに挑戦したとしても、シュー皮をふくらますこともできないでしょう。
オリジナルデザートを作りたいのであれば、まずは基本通りの手順でシュークリームを作れるようにならなければならないのです。
演劇もそれと同様です。
まずは基本的な理論を身につけ、他の候補生と同じステージに立てるようになってからでなければ、自分なりのオリジナリティを加えていくことなどはできないのです。
付け加えるならば、本当に魅力的な個性を持っている人であれば、理論や技術をいかに学んだとしても、それでオリジナリティが失われることはないはずです。
ですので、本気で演劇をやりたい、自分には役者としての才能がある、と考えているのであれば、積極的に大学の講義を受け、さまざまな本(台本、脚本含む)を読み、映画や舞台を見て、役者としての基礎力を高めていくべきです。
高く跳ぶためには、その前に、膝を曲げ、腰を落として力を貯める必要があります。
大学での学びもそれと同じようなものです。決して無駄なものではないはずですので、自分には合わないと全否定するのではなく、価値のある部分を見つけて取り込んでいくようにしてみましょう。
2018年02月更新