僕は将来、絵を描く仕事に就くために専門学校に行きたいと思っています。ですが、親は一般の大学を出た方が将来的に役立つと大学進学をすすめてきます。一般大学への進学が絵の仕事のどういう場面で役に立つか教えて下さい。
絵を描くにせよ、文章を書くにせよ、表現するということは、表現者の内面を表にさらす、ということになります。ですので、表現者が数多くの経験をし、自分の内面を充実させている方が良い作品ができやすくなる傾向があると思われます。
絵を描く、ということに関して、専門学校に進学するより一般大学に進学した方が有利な点があるとしたら、時間的に余裕のある大学の方が知識を深めたり、様々な経験をしたりしやすいということが挙げられるでしょう。
たとえば、宗教的なテイストを持ったイラストを描かなければならなくなったとき、大学時代に宗教関係の勉強をしたことがある絵描きであれば、画面上のモチーフや構図に様々な意味を込めた説得力のある絵を描くことができるかもしれません。同様に、歴史上の出来事を題材にしたイラストでは歴史の知識が、飲食店のイラストでは飲食店でバイトをした経験が活かせるかもしれません。
このように大学時代に学んだこと、経験したことを作品に活かすことができる場合も多いと思います。
それならば、専門学校でも様々な経験をすれば良いのでは、と思うかもしれませんが、専門学校では短い期間で大量の知識や技術を学ぶことになるため、授業と課題をこなすだけで精一杯となり、大学のように豊富な経験を積む時間的な余裕を持てないことが多いのです。
また、学校卒業後、絵関係の仕事に就けなかった場合でも、大学を卒業していれば就職先の幅が広くなるという利点もあります。
大学は専門学校とは違って特定の職業に直結するような技術や知識は学べないことが多い(美術大学や医術大学は別となります)ですが、その代わりに理論的な学問と幅広い教養や視野を身につけることができます。そのため、就職先も限定されず、様々な業界への就職を目指せることになります。
専門学校はその反対で、特定の業界への就職には強くなりますが、学校側が想定していない業界への就職にはほとんど役立ちません。
どちらの種類の学校を進学先として選ぶにせよ、まずは学校の雰囲気や学べる内容、就職実績などを良く調べてからのことになると思いますので、美術・デザイン系の各学校が開催しているオープンキャンパスや体験入学などを利用して、実際に両方の学校に行って、キャンパスの雰囲気や生徒の様子などを確認してみると良いと思います。
2008年08月更新