編入学試験に取り組む学生の受験指導・相談に長きにわたって携わり、数多くの合格者を送り出してきた中央ゼミナールの宍戸ふじ江さんに、編入学試験合格のポイントをお聞きしました。
大学新聞社 2011年7月20日発行「編入学ガイド」より
編入学の対象となるのは、大学卒業(見込)者、短大卒業(見込)者、一定の単位を修得(見込可)した大学在学者、「専門士」の資格がとれる専門学校の修了(見込)者です。10 年前までは8割が短大生でしたが、今は大学生が一番多いですね。
ただし、学校によって、大学卒業(見込)者のみが対象だったり、看護・栄養系の学科などでは、出身学科が限定される場合などもあります。また、編入学試験を行う大学でも、すべての学部・学科で実施しているわけではない上、年度で募集学部・学科が異なることもあります。
「語学(主に英語)」、「専門科目」または「小論文」、「面接」が主な試験内容です。ただし、学校で傾向が異なるため、過去問題のチェックは欠かせません。また、出願時に提出する「志望理由書」も大切な要素となります。
このうち、「専門科目」は、もともと自分の興味のある分野が対象なので取り組みやすく、さらに受験勉強が大学入学後にも活きるので、その点は編入学試験の大きなメリットといえるでしょう。
英語の出題パターンは大きく3 つのタイプに分かれます。
「大学院型」「長文総合型」ともに、長文読解が主になります。また「大学院型」では専門単語、例えば法学系なら法学・政治学関連の単語、経済系なら経済関連の単語を知っておくことも必要です。長文読解は、ただ訳すのではなく、日本語としてきちんと意味の通る文章になっているかどうか、またキーワードとなる言葉を正しくとらえているかが大事になります。
また、最近ではTOEIC、TOEFL のスコア提出を必要とする大学も増えていますでので、注意しましょう。
専門科目の試験内容は分野によって異なりますが、多くの場合、論述問題が出題されます(理系の学科では計算問題も出題されます)。論述問題では、「理論分野」と「時事分野」があり、両方あるいはどちらか一方が出題されます。例えば、経営学科の場合、理論分野では、「○○の経営理論について述べよ」という問題が、時事分野では、ここ数年話題になっている「企業の社会的責任に関する意見を述べなさい」といった問題が出されたりします。
理論分野は、それぞれの分野における基本書を読んでおくことが大事です。分量のある本が多いですが、300 ページの本でも1 日10 ページずつ読んでいけば1 ヶ月で読むことができます。これを3 回繰り返せばだいぶ内容が理解できるようになります。基本書は2 冊ぐらいは用意しておき、ある程度理解したら、今度はその2 冊を項目ごとにノートにまとめていく練習をしていきましょう。
時事分野については、新聞記事、また「現代用語の基礎知識」、「日本の論点」などの年度発行の時事問題解説書に目を通しておきます。学校によっては、かなり最近のニュースをテーマとして挙げることもあります。
論述は、「序論」「本論」「結論」という3 段で構成していくのが一般的です。
志望理由書を書くにあたっては、下記の4 つを明確にしておきましょう。
これらのことを書く際は、その学校・学科におけるカリキュラム、特にゼミナール・演習などを具体的に把握しておくことが大切です。そのためにも、大学のホームページや大学案内・学部案内にしっかりと目を通しておきましょう。オープンキャンパスに足を運ぶことも大学を知る方法の一つです。①において、異系統学科からの編入の場合は、自分がその学科に関心を持った個人的体験なども動機になります。③では、ブランドや偏差値ではなく、「勉強したいこと」に絡めた内容を書くようにしましょう。また、①から④について、矛盾がない内容にしておくことも大切です。面接では、志望理由書で書いた内容について聞かれますが、その分野の関連書を数冊読んでおいたり、最近関心のあるニュースなども交えて話したりすると、よりよいでしょう。