アニマルセラピーを学習できる専門学校を卒業したとして、ちゃんとしたアニマルセラピストになれる保証はありますか?
このご相談に対する解答は、あなたが「ちゃんとしたアニマルセラピスト」をどのようなものだと考えているのか、によって異なってくると思います。
今の日本においては「アニマルセラピー」の仕事だけを専門に行い、生計を立てていくことはたいへん難しいこととなっています。また、アニマルセラピーの認知度・理解度ともに低く、「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」と「動物介在活動(Animal Assisted Activity)」が混同されているという現状もあります。
本来の「アニマルセラピー」の意味するところは、あくまでも医療行為としての「動物介在療法(AAT)」のことだと思います。それは、動物とのふれあい活動である「動物介在活動(AAA)」とは一線を画すものです。
「動物介在療法(AAT)」を施す職業を目指すのであれば、対象となる患者さんの主治医が治療計画を立て、アニマルセラピストとともに活動に参加しなくてはいけません。もしくはアニマルセラピスト自身が医師の免許をもっていることが必要となるでしょう。
たとえば、患者さんが病気で腕を動かすのに制限がある場合、「動物にどんどん手でふれてください」とすすめるのは、治療にとって逆効果である場合もあります。また、動物が苦手な患者さんにとっては、動物にふれあうこと自体がストレスになったり、危険であったりする場合もあります。
そのようなことを医療的に判断するのが医師の役目となるのです。
もちろん、ふれあい活動である「動物介在活動(AAA)」によって医療効果が認められる場合もありますが、前もってそれを意図して行った活動だとは言えません。
厳密に医療行為を行う「ちゃんとしたアニマルセラピスト」を目指すのであれば、医師の協力を得るか、医師の免許を持った上で活動することが必要となってくるでしょう。
また、ふれあい活動である「動物介在活動(AAA)」は、ボランティアで行われることが多いと思います。そのため、こちらの活動から生活していけるだけの収入を得ることは難しいと思われます。
もし、専門学校卒業後の状況に関して不安であれば、専門学校に直接問い合せて、卒業生の就職状況を教えてもらってはいかがでしょうか。
就職率や求人件数だけでなく、卒業生がどんな仕事をしているか、給料はどのくらいかということまでしっかりと聞いてみると良いと思いますよ。(すずき)
2008年05月更新