「神様なんてツマラナイ」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

最近の子供は、マッチに火をつけることができないんだとか。
そういえば、マッチって、今はもう見掛けなくなりましたからね。
私の世代には、必需品だったのですが。

マッチは、単に火を点ける道具としてだけではなく、
いろいろなゲームにも使いました。
その中で私が得意だったのは「7・5・3ゲーム」です。
これは「7・5・3本の束に分けたマッチ棒を二人で交互に取り合って、
最後の一本を取らされたほうが負け」というもので、
ルールは「一つの束からは一回に何本のマッチ棒を取ってもOK」
「ただし、束をまたいで取ることはできない」というシンプルなものです。
当時、私はよく飲み屋でこのゲームをしていたのですが、
「負け知らず」でした。理由は簡単、必勝法があるからです。
そこで、この拙文を読んでくださった方だけに、その必勝法を伝授します。
それは、(1)同じ本数の束を2つ作る、
(2)1本・2本・3本の束を作る、です。
簡単に説明すると、(1)2・2の束を作ると、
相手が1本を取れば私が2本取り、2本なら1本を取ると勝つからです。
それは3・3、4・4、5・5にも応用できるので、
同じ本数の束を2つ作ると勝ちが決まります。
(2)1・2・3からは相手がどう取ったところで、
私の手番で(1)の必勝形にすることが出来ます。
また、その発展型として1・4・5、2・4・6も勝ちバターンとなります。
逆に言うと、この形にできなければ「負ける手順がある」ということです。

実はこのゲーム、「先手必勝」なのです。
先手番で6・5・3とされると、後手は勝てないから。
ただ、飲み屋では、この法則を見抜く人なんていなかったので、
6・5・3の形にされてもいつの間にか逆転して、勝つことができていました。

最近、将棋が流行っています。藤井六冠は「将棋の神様と指したい」
なんてことを言っておられますが、本当に将棋の神様がいたらどうでしょう。
というのも、将棋は一手ごとに指せる場所は有限だから、
その全ての指し手を把握している神ならば、7・5・3ゲーム同様、
負けることがありません。でも、相手も同レベルの神だったら……。
どちらも間違えることはないので、先手後手が決まった瞬間
(将棋では振り駒で決まる)に勝敗が決まってしまうことでしょう。
だから、将棋を指す必要がないんです。あーあ、なんてツマラナイ神。

やはり、私はミスや失敗をする人間が好きです。
ミスをすることがあるから人生が面白いのです。
ただし、それは「ミスをして落ち込んでしまう」のではなく、
逆にそれを糧として頑張り、「奮起して捲土重来を期す人間が」です。
そんな人を素晴らしいと思うし、私はそんな強い生徒を育てたいと思っています。
だって、この世には神様なんていないので、自分が頑張るしかないのですから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam5/