※編注:本コラムは、2月中旬に執筆いただきました。
節分は、本来、季節の変わり目に生じやすい
不調や災いを祓い、新たな季節を迎えるための行事とされています。
こうした節目の時期は、生徒一人ひとりの状態をあらためて見つめなおし、
私たち教師がどのように関わることができるのかを考える機会でもあります。
前回(2026年2月12日掲載)は、
自我状態をP(親)・A(成人)・C(子ども)の3つに分けて捉えました。
本稿では、自我の機能をより具体的に理解するために、
PとCをさらに機能別に整理し、CP・NP・A・FC・ACの5つで捉える視点を紹介します。
P(親)は2つに分けて捉えることができます。
規範やルールを守らせようとするCP(批判的な親)と、
相手を気遣い、支えようとするNP(養育的な親)です。
例えば、授業中にスマートフォンを操作している生徒に対して、
「校則で禁止されているだろう」「何度も注意されないようにしよう」
と強く指摘する場面は、CPが前面に出た関わりと言えます。
秩序を保つうえで必要な機能ですが、
強く出すぎると生徒の反発や萎縮を招くことがあります。
一方、同じ場面で、「何か急ぎの用事があるのか」「困っていることがあるの?」
と声をかける関わりはNPです。
生徒は「理解してもらえた」と感じ、安心して気持ちを話しやすくなります。
A(成人)は、感情や評価を一度脇に置き、事実をもとに冷静に考える機能でした。
「授業中にスマートフォンを使っていたね。今は使用禁止だから、どうすれば守れる?」
と伝えると、生徒も冷静に状況を捉え、現実的な対応を考えやすくなります。
教師がAで関わることで、生徒のAも引き出されやすくなります。
さまざまな問題場面で、“今、ここ”を意識して用いたい自我状態です。
C(子ども)も2つに分けて捉えることができます。
FC(自由な子ども)とAC(順応した子ども)です。
FCは、好奇心や感情を素直に表す働きで、
「先生、その話もっと聞きたいです」「それ、面白いですね」
といった生き生きとした反応に表れます。
授業への意欲や部活動への積極的な参加姿勢は、このFCが支えています。
一方、ACは、周囲に合わせようとする心の働きです。
注意を受けたときに、「すみません」と必要以上にうつむいたり、
本当は分かっていなくても「大丈夫です」と答えたりする姿には、ACが表れています。
ACは集団生活に不可欠ですが、
強くなりすぎると無理を抱え込みやすくなる傾向があります。
教室の交流(やりとり)は、
教師と生徒、それぞれの自我機能が影響し合う中で形成されていきます。
教師のCPが生徒のACを強めたり、教師のNPが生徒のFCを引き出したり、
教師のAが生徒の自我状態をAに移行させたりと、機能同士は相互に作用しています。
「今、自分はどの機能で関わっているだろう」
「この生徒は、どの機能が前に出ているだろう」
と立ち止まって考えることが、関係を調整する大きなヒントになります。
私と共に交流分析を学んでいる先生は、次のように述べています。
「Aを使おうと意識することで、自分のCPが高い状況であることに気づくようになり、
度を越えて生徒を怒ったり、同僚の言動にイライラしたりすることが減りました。
そして、しっかりと指導することが必要であると判断した場面で、
CPを意識して使えるようになり、感情に左右されない指導を目指せるようになりました」。
生徒たちが進路や人間関係、学習への不安など、
さまざまな「心の揺らぎ」を抱えやすい時期です。
日々の教育実践の中で、Aを軸にして状況に応じて
CP・NP・FC・ACを柔軟に使い分ける視点が
生徒理解と関係づくりの一助となればうれしいです。
引用文献
イアン・スチュアート, ヴァン・ジョインズ(2022).
TA TODAY:最新・交流分析入門 第2版 実務教育出版
NPO法人日本交流分析協会(2019).交流分析士2級テキスト 非売品
【プロフィール】
会津大学文化研究センター 教授 兼 学生部長
2015年から現職。専門領域は「教育学」「教育カウンセリング心理学」
研究テーマは教育困難校における支援
