3月9日に文部科学省が
「令和7年度 教育委員会における 学校の働き方改革のための「見える化」調査」
(令和6年4月~令和7年3月)を公表した。これに関連して翌10日の朝日新聞に
「教員の働き方改善は道半ば」という記事が掲載された。冒頭部分を引用すると
「公立中学校で、2024年度に時間外勤務が月45時間以下の教員は60.5%にとどまった。
小学校は77.8%、高校は72.6%だった。いずれも前年度より改善したが、
国がめざす『月45時間以下100%』はなお遠い」と述べられていた。
前年度比は小学校が2.4%増、中学校が2.9%増、高校が0.8%増となっている。
なお、時間外勤務は正確には時間外在校時間である。
統計分布を確認すると20時超~45時以下に集中している。
1日10時間~12時間ほど在校している教員が多数であることが分かる。
民間企業(事業規模30人以上)の「残業」の月平均は11.5時間、
地方公務員は11.7時間であり、教員の労働時間が突出している。
文部科学省は、次に「月30時間以下」を目指すとしている。
しかし、事務的な仕事は効率化できても、
効率化できないところも多々ある特殊な仕事でもある。
先生方の“持ち帰り”が多くなることを、私は教員経験者として危惧している。
改善には社会の理解が必要である。
日本は長時間労働の国というイメージがあるが、
2024年OECD統計による年間労働時間の国際比較では、
日本は世界主要45国中年1,617時間で30位となっており、
韓国や米国、カナダ、イタリアは日本の上位にある。
最も労働時間の短い国はドイツであり、
年間労働時間は日本より286時間短い1,331時間であった。
ドイツでは法規制が日本より厳しく、1日の労働時間は原則8時間以内とされ、
2時間まで延長できるが、6か月間の平均で1日8時間以内にする必要がある。
労働時間は短いが労働生産性を比較すると、日本の約1.5~1.6倍となっている。
日本の労働人口の7割弱ほどであるが、GDPは世界第3位、日本の上位にある。
この生産性の高さは、職業訓練の充実や個人のスキルアップへの意識の高さも背景にある。
さらに、時間に対する厳格な考えがあり、
「効率性」を重視する文化が息づいていると考察される。
また、仕事に対する考え方が「生活の糧を得る手段」であり、
仕事のために「個人の生活を犠牲にしない」
という強い意識に基づいているとの指摘もある。
つまり、ワーク・ライフ・バランスが徹底しているのである。
日本も諸外国の実情を勘案し、「働き方改革」に乗り出したが、
まだ道半ばである。ところが、人出不足が常態化している業界から、
労働時間規制の緩和要望が出されている。
人口構造が、高齢化に傾いているわが国にとって、
働く者の健康で文化的な生活が送れる働き方、
適切な労働時間の模索は、まだまだ続くと思われる。
4月、新入社員が誕生した。その昔は、社会の厳しさを先輩社員から伝授されていたが、
今の若者には、仕事の面白さを伝えて欲しい。ぜひ、労働時間内にやさしく……。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う
