「AO入試」とは具体的にどのような入試なのか、基本的な特徴について見ていきましょう。また、ひと口に「AO入試」と言っても、その選考方法は学校や学部によってさまざまです。基本的には、面談などいくつかのプロセスを踏んで、その学校で学ぶことへの意欲や目的意識、人柄や個性などを評価していきます。
AO入試は、その学校で学びたいという学習意欲や学校への適性、またその人の個性や能力などを評価する入試です。
AO入試の「AO」とは、Admissions Office(アドミッションズ・オフィス)の略。各学校の入学選考事務局を指します。評価の基準となるのは、学校または学部・学科が提示する「アドミッションポリシー(受け入れ方針)」に基づいた「期待する人物像」。例えば「自立心を持ち、何事にも積極的に取り組む姿勢を持つ生徒」といった人物像が、AO入試の募集要項などに示されています。
従ってAO入試では、出願前のエントリー制度により面談・面接などを行い、自学の学生となる人物を評価することが多く、それがほかの入試とは大きく異なるポイントになっています。
以前はAO入試を実施する大学の数は毎年増加傾向にありましたが、平成22年頃から落ち着き、現在は横ばい傾向で推移しています。平成27年度は、534大学(私立464・国立47・公立23)・1,329学部、また短期大学においても、263短期大学(私立258・公立5)・483学科で実施されました。
私立大学では全体の80.0%、国立大学でも57.3%の大学がAO入試を導入しており、短期大学においても79.5%の短期大学がAO入試を導入しています。
一方、入学してきた学生の基礎学力不足などから、AO入試を取りやめる大学・ 短期大学もあり、AO入試を行う大学・短期大学でも学力を重視する傾向が強まっています。
さらに「専門学校版AO入試に関する実態調査」(東京都専修学校各種学校協会/平成20年度)によると、平成19年より東京都の専門学校ではAO入試の導入が加速しました。
主な選考パターンは、オープンキャンパスなどに参加して事前に面談を行うものと、エントリー後に試験が行われる場合の2つですが、事前に面談を行うパターンが大半を占めています。自分らしい生き方・働き方を求め、自らの意欲や適性とマッチした専門学校を選択する若者に入学してもらうために、これからますます専門学校でのAO入試導入は広がることが予想されます。
AO入試の募集人数は、若干名から50名以上、多いケースでは100名程度など、学校や学部・学科によりさまざまです。
平成27年度は、大学全体で100,380名の入学志願者がおり、うち合格者数は56,266名でした。また、国・公・私立別に競争率(志願者数÷合格者数)を見ると、国立大学3.6倍、公立大学3.1倍、私立大学1.7倍となっています。
AO入試が行われる時期は学校・学部によってさまざまですが、早いケースでは6月頃からエントリーの受付を行い、8月1日より出願の受付を開始。その後、いくつかの試験を経て志願者の基礎学力や適性、能力を評価し、8~10月に合格という流れになります。またⅠ期、Ⅱ期……と何回かに分けて募集を行う学校も多くあります。ただし、各回によって募集人数が違うこともあるため、事前に募集要項で確認しておきましょう。
ポピュラーな入試形式の一つに、「推薦入試」があります。大学入学者の3割以上がこのタイプに該当しますが、いまだに「AO入試」と混同する人が少なくないのが現状です。
AO入試と推薦入試―。確かにどことなく似通っている印象がありますが、この両者の最大の違いは、在籍する高校からの推薦が必要か不要かという点にあります。AO入試の場合、「自己推薦入試」というような呼ばれ方があるように、原則として高校推薦を必要としません。従って、誰でも受験できるのが大きな特徴です。
一方、推薦入試は高校推薦がなければ、多くは出願すらできません。しかし最近は、AO入試でも学力試験受験が必要な場合があり、その意味では、両者の境界線は、以前ほど濃くはないと言えるのかもしれません。