仕事内容
今は医者や看護師さんのマンガを描いていますので、まずは医者や看護師さんに話を聞きます。ワードにテキストで自分がおもしろいと思ったことをまとめて1冊の概要を書きます。編集者と、この話では何が言いたいかなどを明確にし、ネーム(下書きの下書き)にします。
ネームを編集者と編集長に確認してもらい、オッケーをもらったらアナログでペン入れをします。ペン入れが終わったらスキャンしてパソコン上でマンガのソフトでスクリーントーンを貼り、納品します(コピックで色付けをする場合もあります。) あとはゲラ(仮の印刷)をチェックして間違いがないか、色がきれいに印刷されているか確認して校了です。 ちなみに体力的に一番疲れるのはペン入れです。
※人によって進め方はバラバラかと思います。
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仕事に就いたきっかけ
小さい頃から絵を描くのが好きでした。母がマンガが大好きで、家に大量に1970年代くらいのマンガがあり、小さい時から読んでいたのが影響しているかもしれません。
小学生の頃は、友達から聞いたり自分が体験した怖い幽霊話をマンガで描いていたり、嫌いな先生をマンガにしたり、日本史の授業で先生が話す歴史上の人物の裏話をその場でマンガにしたりしていました。おもしろい人や現象を見つけたら思わずマンガにしたくなる性質がありました。
大学はマンガの授業(評論ですが)があるところを選びました。マンガの表現の歴史などがおもしろく、漠然とマンガが描けたらなあとは思っていました。
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良いところ、大変なところ
良いところ・・・
自分が思った通りに表情を描けた時が一番うれしいです。描いている時、人物と同じ表情で描いていたりします。
取材相手や編集者など、色々なおもしろい素敵な方に出会えるのも楽しいです。
読んでいただいた方から感想をいただくのも、とてもやる気になります。中学生の方から「医者になろうと思う」という葉書をいただいたことがあり、すごくうれしかったです。
大変なところ・・・
私の場合、基本ひとりなので、(アシスタントはいません)自分を自分で調整するのが大変かもしれません。進んだと思えるように作業の順番を考えたり、締め切り前などで引きこもりが続き1週間ほぼ人と話していないような状態になると、発狂しそうになるので(笑)、気分転換で一瞬散歩をしたりトンカツを食べて喝を入れたりします。
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仕事でのこぼれ話
『離島で研修医やってきました』という本を描くために島の病院に取材に行った時に、その病院の院長先生(マンガにも出てきます)が、私と同年代の女医さんをたまたま紹介してくれて、その方がとても面白い方で女医さんというものに興味を持ち、『まどか26歳、研修医やってます!』という本を描くきっかけのひとつになりました。人のご縁を感じました。
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仕事人から読者へ
未来の確約がない不安定な仕事で、私自身もどうなるか分からない感じの中でやってはおりますが、マンガを描くようになって、前より深く考えるようになり、楽しくなりました。
好奇心旺盛で、人間に興味がある人は向いているのかもしれません。
なぜこのマンガや映画や本やゲームを自分はおもしろいと思うのか、ただ漠然と楽しむのではなく、起承転結はどうなっているかなど構造に注目して自分なりにおもしろい理由を分析するくせをつけておくと、いざ自分が作る時に大変役に立つのかと思います。
INFORMATION
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『あたふた研修医やってます』
水谷緑著
株式会社KADOKAWAより発売中
「アンタまだ医者じゃないから!」
その一言ではじまった試練の日々。お医者さんのタマゴたち汗と涙と笑いの2年間!
緊急招集で階段を駆け上がったり、朝カンファレンスで指導医に怒られたり。のんびり研修医の慌ただしい日常コミックエッセイ!
Amazon書籍紹介ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/4040663527
掲載日:2015-10-13