修士号と博士号の違いとは?期間・目的・修了要件・就職の違い

修士と博士は、学ぶ深さも、修了までの道のりも、進路も異なりますが、基本的には「学士 → 修士 → 博士」と段階的に進んでいくステップです。この記事では、それぞれの段階で何が変わるのか(目的、修了要件、学び方、就職など)をご説明し、将来像から逆算して学部・大学選びに生かせるように、今見るべきポイントと次の行動まで具体的にまとめます。

【この記事でわかること】

学士 → 修士 → 博士と進むときの進み方

自分は「どの段階まで」学びを進めたいか考えるヒント

就職や将来のキャリアにどう影響するのか

学位取得後の違いを知りたい
大学院卒と大学卒の違いとは

大学院について詳しく知りたい
大学編入・大学院入学|進路ナビ

修士と博士の違いとは?

大学を卒業した後に、大学院に行くことを考えている方もいるでしょう。大学院には「修士課程」と「博士課程」があり、どこまで進学するかによって「どこまで学べるか」が変わります。それぞれの“ゴール”や役割についてご紹介します。

修士課程は「専門家になるための道」

大学の4年間で学んだ学問をもとに大学院に進みます。修士課程は、大学院で「今より一歩深く専門分野を学びたい」「専門知識を生かして働きたい」と考えている人向けのステップです。

たとえば、工学や経済学などの修士課程では、大学で学んだ基礎を、より実践的に使えるレベルまで引き上げます。
「将来、研究者を目指す人の準備期間」でもあり、「会社などで高度な専門職として働きたい人のための証明」としての意味も持っています。

博士課程は「新しい発見を生み出す人になる道」

修士課程を終えた後の、博士課程は、修士課程を修了してさらに「まだ誰も知らないことを明らかにしたい」「自分の研究で世界に貢献したい」と考えている人のための道です。

修士課程が「深く理解して使う力」をつける場所だとすれば、博士課程は「新しい問いを立てて、自分で答えを見つける力」が必要です。
そのため、博士号を持っていることで、“知を生み出せる人”として、国内外で高く評価されるのです。

学位の意味と社会での扱われ方

修士号は「専門職としての力」を社会に証明できる資格。

博士号は「独り立ちした研究者」の証で、大学や研究機関で働くために欠かせません。

似ているようで、進む道もゴールも異なります。

学校に通う期間と進み方

「どれくらい通うの?」「どうやって進級するの?」を解説します。

進学の基本ルートと年数

大学に入ってからの標準的な流れは、

・学部(4年)→修士課程(2年)→博士課程(3年)

となります。学部卒業から修士まで6年、博士まで進めば合計9年です。

修士・博士課程を前期・後期に分けるパターン

日本の大学院では「区分制博士課程」といって、2年の“前期”で修士号、3年の“後期”で博士号を目指す進み方が一般的です。

就職市場でよく「院卒」と呼ばれるのは、この前期(修士)課程を終えた人たち。 博士課程に進むには、まず修士号を取っておく必要があります。

修士課程では、おおむね30単位前後の講義や演習を受け、さらに自分でテーマを決めて“修士論文”を書きます。

修士論文は「新発見」がなくても大丈夫。「すでにある研究を調べて、自分なりの結論をまとめる」ことが重視されます。 計画的に学びを深めて、論理的にまとめる力が評価されます。

参考:文部科学省「修士課程・博士課程の関係について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2010/02/16/1288658_2.pdf

博士課程の修了条件は?

博士課程になると、一気にレベルが上がります。

・必要な単位の取得(演習や実験中心)
・“世界でも認められる”査読付き論文の発表
・自分の研究をまとめた博士論文の提出
・公聴会(ディフェンス)で発表し、厳しい質問に答える

「自分の研究が本当に価値があるのか?」を、他の研究者にも認めてもらう必要があるので、計画通りに卒業できない人もいます。

博士課程修了には、単位の習得に加えて、今まで誰もやったことのないことを論文に書くなど研究に新しい成果を出すことや、書いた論文を審査に出して合格する必要があります。

満期退学という選択肢も

博士課程では「単位を取り終えても、論文提出が間に合わなかった」というケースもよくあります。

この場合は「博士後期課程 単位取得後退学」となり、大学教員の公募などで“博士号取得者に準ずる”扱いになることも。

「大学院卒と大学卒の違い」についてもっと知りたい人は、
「大学院卒と大学卒の違いとは」 も参考にできます。

研究の進め方の違い(先生に教わるか・自立するか)

毎日の学び方や研究スタイルも、大きく変わります。

修士課程は“じっくり学んで、基本を身につける”時期

1年目は、大学の延長のような感じで、講義や演習、先生からの指導が中心です。

・新しい知識をどんどん吸収する
・研究テーマを決めて、過去の論文やデータを調べる
・実験や調査の進め方を、先生や先輩から学ぶ

着実に知識とスキルを積み上げるイメージです。

博士課程は“自分で道を切りひらく”時期

博士課程に進むと、「授業」というものがほとんどなくなり、自分の研究が生活の中心に。90%以上が自分の研究に時間が充てられます。

・“まだ答えのない問い”を自分で見つけて進める
・指導教員と対等な立場で議論し、研究を発展させる

「誰かに教わる」のではなく、自分で調べ、自分で進めていく主体性が問われます。

先生との距離感や日常の違い

修士では、学生として教員の指示を受ける場面が多いのに対して、博士では自分のペースや方法を自分で決めて進める必要があります。

将来、博士課程まで進むかどうかを考えるときには、この違いが自分に合いそうか、自分の性格や学び方をイメージしてみましょう。

「M1」「D1」って何?名前の書き方や呼び方

大学院には独特の“呼び方”や“学位の表し方”があります。

「M1」「D1」って何?

大学院生の学年は「M1=修士1年」「M2=修士2年」「D1=博士1年」と略して呼ばれます。

自己紹介や研究室での会話でもよく使われます。
「先輩のM2から研究室の雰囲気を聞く」など、身近な表現になっています。

学位の表し方

名刺などで書く場合は

・修士:「修士(工学)」や「Master of Engineering」
・博士:「博士(理学)」や「Doctor of Science」など

博士号を持つ人は、海外では「Dr.」と呼ばれることも多いです。

就職や将来のキャリアはどう違う?

「修士卒と博士卒、どんな仕事に就けるの?」を具体的に紹介します。

修士卒の就職パターン

理系では「修士卒」が新卒採用の主流になっている企業もたくさんあります。

たとえばメーカーの研究や開発、設計部門では、専門性の高さが評価されて修士卒の採用が中心になることもあります。

文系でも、データ分析やロジカルな思考が必要な職種では、修士号を持つ人が強みを発揮しています。

博士卒のキャリアの広がり

博士号を取った人は、大学の先生や研究機関で働くイメージが強いですが、最近は企業での活躍も目立っています。

AIやバイオ分野、最先端の技術を扱う企業では、博士の知識とスキルがとても重宝されています。

世界の大手企業では「博士号があることが幹部候補の条件」になっていることもあります。

初任給や生涯年収のちがい

修士卒の初任給は学部卒より数万円高め、博士卒になるとさらに高くなるケースも。

ただし、博士課程の間は「学生」なので、社会人より働く期間が短くなり、そのぶんの収入差が生まれる場合もあります。

「どんな働き方をしたいのか」将来像から考えて進路を選ぶことが大切です。

入試と準備すること

大学院に進むには、どんな準備が必要かもまとめます。

修士課程に進むには?

修士課程では、「入学してすぐに専門分野の講義・研究」が始まります。

そのため、「大学でどの分野を深めたいか」「どんなテーマに興味があるか」を学生のうちから意識しておくと、スムーズにスタートできます。

博士課程に進むには?

博士課程へは、修士号が必要です。

・研究テーマを深めていく
・学会発表や論文執筆にチャレンジする
・指導教員と相談して、進学後のイメージを具体化する

「どんな研究者になりたいか」「本気で研究に向き合えるか」自分と向き合って考えてみましょう。

お金とサポート制度(学費や奨学金)

学費や生活費、どんなサポートが受けられるのかもチェック!

国立大学の学費はどれくらい?

国立大学の授業料は、年間およそ54万円。入学料は約28万円です。

近年は一部で値上げの動きもあり、東京大学や一橋大学などでは授業料が年間64万円ほどになっています。 2年間通うと、学費だけで100万円を超えることもあります。

参考:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm

私立大学の学費イメージ

分野や学校によって幅がありますが、修士課程は初年度で120〜150万円ほど。 博士課程になると、修士よりも少し安く設定されていることが多いです。

「博士の学費が安いのは、経済的な負担を減らすため」と考えておくと分かりやすいです。

参考:文部科学省「令和5年度 私立大学大学院入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
https://www.mext.go.jp/content/20231226-mxt_sigakujo-000033159_2.pdf

奨学金や授業料免除も充実

奨学金には、返済が必要なもの(貸与)と返さなくていいもの(給付)があり、成績や研究実績によって返還が免除される制度もあります。

東京大学などでは、年収600万円以下の家庭の修士課程学生向けに「授業料全額免除」の制度も導入。 また、アルバイトの時間制限緩和など、学びやすい環境づくりも進んでいます。

「学費や奨学金」についてさらに知りたい人は
『学費』について – 奨学金の基礎知識 もおすすめです。

将来の目標から考える:修士・博士課程の選び方

高校生の段階では、修士で終えるか、博士まで進むかを今すぐ決める必要はありませんが、 「どこまで学びを深めたいか」をイメージしておくと、学部・大学選びのヒントになります。

修士課程が向いている人

・20代半ばから社会に出て働きたい
・学費の負担をなるべく減らしたい
・研究者になるかはまだ決めていないけど、専門性は高めたい

大学を卒業したあと、まずは修士課程まで進んでから社会に出るイメージに近いのがこのパターンです。

博士課程が向いている人

・新しい発見をすること自体が楽しい!
・研究職や大学の先生、海外でも働きたい
・学費や生活費のやりくりも含めて、自分の道を切り開きたい

修士課程で身につけた力を土台に、さらに学びを深めたい人が選ぶことが多いステップです。

大学や学部選びのポイント

大学や学部選びも、将来像から逆算して考えましょう。

研究テーマやサポート体制を調べよう

・どんな先生がどんな研究をしているか
・どんな設備があって、どんなサポートがあるか
・卒業生がどんな進路に進んでいるか

学費や奨学金についても、オープンキャンパスや大学の事務室で確認しておくのが安心です。

「オープンキャンパスですべき質問はコレ!」 も参考になります。

修士と博士の違いを知って進路選びを進めよう

最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。

・修士課程は「専門的な力を身につけて、職業人として社会で活躍したい人」が多く進む段階
・博士課程は「まだ世の中にない知識を発見して、研究者としてチャレンジしたい人」が、修士の先のステップとして進む段階

自分のやりたいことや大切にしたい価値観をもとに、将来どの段階まで学びを続けたいか考えてみてください。

高校生のうちは、「まずどの学部で何を学ぶか」を決めるだけでも十分です。 「あとから修士・博士に進む道もある」と知っておくだけでも安心できます。

迷ったら、資料請求やオープンキャンパスに参加して、実際の雰囲気を見てみるのが一番の近道です。

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