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いわゆる高等教育の「無償化」~予算 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

いわゆる高等教育の「無償化」~予算
(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

令和2年度予算案では、
高等教育の「無償化」に4800億円が計上された。
地方分を合わせても5274億円だ。
地方分は、都道府県が
専門学校の授業料減免の予算の2分の1を支出する。

それにしても、
「新しい経済政策パッケージ」の約8000億円、
その後の政府の説明の7600億円と言われた予算額に比べると、
ずいぶん減少している。
もっとも対象者の要件を細かく規定しながら、
その該当者数をきちんと予測していなかったのだから、
もともとが荒っぽい予算額であり、最初に金額ありきだった。
実際にどの程度の者が申請しているかは、
12月に日本学生支援機構から発表の予定だったが、
21日現在発表されていない。

懸案の既存の授業料減免については、
一部の報道によると、国立大学の在学生については、
53億円を計上し継続される(日本経済新聞電子版2019年12月20日など)。
存続が懸念されていた在学生の授業料減免が存続することは評価できよう。
しかし、財務省の提示している予算案や報道などを見ても、
私立大学などの授業料減免については、
同じような予算案があるかどうか不明だ。

また、当初の大盤振る舞いをするときから、
こうした既存の制度や増える事務負担に対して
サポート体制に対する予算措置は考慮されていない。
すでに、高校や大学では負担増や混乱が生じている。
これらについて、次回には、もう少し新しい情報を、
お伝えすることができると思う。

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https://shinronavi.com/news/detail/870

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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