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いわゆる高等教育の無償化(続4) 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

9月20日に、
予定通り修学支援の機関要件を満たす確認大学等が
文部科学省から公表された。
大学短大、高専は申請した1,043校と57校が
すべて要件を満たし対象となった。
しかし、私立大学のうち31校は申請をしていない。

これに対して、専門学校は
全国の2,713校中1,696校しか申請しておらず、
1,688校が対象となった。
大学短大、高専のほとんどが対象となったのは、
低所得層の進学機会の拡大という点からは朗報だが、
専門学校の約1,000校が申請していないことが気にかかる。
社会人が多いとか規模が小さいというのが主な理由のようだ
(日本経済新聞9月21日)。
しかし、そういう専門学校に進学を希望する、
受給資格がある生徒もいるだろう。

今回の修学支援の対象となる低所得層では、
学力や修業年限の点で4年制大学はハードルが高い生徒も多い。
たとえ授業料が免除になり、
年額90万円の給付型奨学金を受給しても、
高卒で働けば得られる所得(放棄所得)を失うからだ。
高卒者の平均年収は約250万円だから、
2年間では500万円にもなる。

このため、
4年制大学より専門学校を希望する生徒は多い。
また、専門学校の約3分の1が対象とならなかったことで、
以前指摘した情報ギャップの問題が懸念される。
確認大学等に進学しないと、
生徒に受給資格があっても実際には受給できなくなる点には
十分注意する必要がある。
高校には、生徒や保護者に十分な説明をお願いしたい。
文部科学省では、
今後とも確認大学等を増やす方向で
専門学校に要件を満たすことを求めていくようだが、
特に小規模の専門学校などへの支援を期待したい。

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https://shinronavi.com/news/detail/844

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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