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いわゆる高等教育の無償化(続2) 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

今回の学生支援制度には、
注意しなければならない点がいくつもある。
その一つが、打ち切りの可能性だ。
たとえば、支援の対象になったとしても、
成績下位4分の1以下が連続した場合、
途中で打ち切るとされている。
現行の給付型奨学金でも、成績による要件はあるが、
これは学生への支援として税金を使う以上、
必要な単位を取得し卒業することを
最終的な条件としているためである。

しかし、新制度の下位4分の1という条件は、
本人だけで決定できない相対的なものだ。
具体的な数値が挙げられているが、
根拠は示されていない。
支援の対象となる学生は低所得層であるため、
アルバイトなどを必要とする場合が多いと想定され、
この要件を満たせない恐れがある。
こうした学生は支援が打ち切られれば、
授業料などを納入できず、
中退や除籍になる可能性がきわめて高い。
そのような事態になれば学生支援制度としては本末転倒である。

これに対して、
「斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置」を
設けるとしているが、
大学等により裁量があることは、
曖昧であることを意味する。
こうした例外を設けるのであれば、
なぜ「4分の1」と明確に設定したかが問われる。
この点について、例外の扱いなどについて、
文部科学省から明確なアナウンスはなされていないようだ。
関係者の不安、懸念に答える必要があろう。

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https://shinronavi.com/news/detail/834

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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