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「いわゆる高等教育の無償化(続)」 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

前号に続き、高等教育の無償化について、
さらに注意点を説明する。
授業料減免と給付型奨学金の所得基準について、
年収270万円以下の世帯などとされているが、
実際には住民税非課税世帯が対象になる。
この場合、注意しなければならないことは、
課税所得は、世帯構成、障害者の有無、
各種保険料の支払い状況などにより異なることである。

これは、高校の修学支援金や奨学給付金の場合も同様である。
年収270万円以下は学生本人、親、親(無収入)、
中学生の兄弟姉妹の家族構成の場合である。
対象となる世帯年収の目安については、
日本学生支援機構のウェブサイトに
世帯構成別の例を掲載している。
また、「奨学金選択シミュレーション」を使って、
世帯構成を入力すれば、
対象となる年収を大まかに調べることも可能となっている。

なお、受給資格は高校3年生だけでなく、
卒業後2年までの者も含まれる。
また、前号でふれた
受給資格のある高等教育機関(確認大学等)の公表はずれ込み、
9月以降になる予定となった。
繰り返しになるが、確認大学等に進学しないと、
生徒に受給資格があっても
実際には受給できなくなる点には十分注意する必要がある。
高校には、こうした点を
生徒や保護者に十分説明することをお願いしたい。

▼前号はこちら
https://shinronavi.com/news/detail/833

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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