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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(5)採否通知さまざま(後編)~本人宛文書」筆者・小林英明

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前回※も触れたが、
(※ナビニュース11月21日掲載
高卒採用では「選考結果」を「学校経由」で本人に伝えるという規定があるので、
「通知文書」は学校に届く。
この「通知文書」であるが、学校宛(その多くは校長宛)の文書だけが届く場合と、
本人宛文書が添えられるか、別封筒に入って同封される場合がある。
また、まれな例だが本人宛文書だけが届いたこともあった。
ルール上は学校を経て結果が本人に伝わればよいのだから、
本人宛文書は必須ではないと言えるかもしれない。
しかし、内定後を考えると本人宛内定通知文書にはやはり意味がある。

私はセミナーにおいて、応募後の選考日程通知でも本人宛文書の同封を勧めている。
これは選考に向けて生徒のモチベーションアップにつなげられる、
と言う学校側の気持ちからである。
担当教員から受け取る学校宛文書のコピーよりも、自分の名前が書かれ、
「ご応募いただきありがとうございます」という挨拶から始まる文書は、
生徒に「自分が期待されている」という気持ちを持たせ、就職意欲を高める。
時には、「選考日まで体調に留意され……」や
「当日は充分に力を発揮されるよう……」などと、
生徒を気遣う表現に出会うこともあった。
これらも、生徒達の心理に影響を与えるだろう。

一方、内定通知書の場合、本人宛文書の存在は生徒だけでなく、
採用した企業にとっても意味がある。
学校宛ての通知書は事務連絡とも言えるが、「本人宛内定通知書」は、
企業から生徒への「あなたを社員として迎えたい」という意思表示である。
何人もの生徒に内定通知書を渡したが、
社印が押された自分宛の文書を受け取るのと、
校長宛文書のコピーを「証拠」として受け取るのとでは
生徒の「感激の度合い」に違いが感じられた。
これが企業への帰属意識や愛社精神につながることもあるだろう。

さて、ここまでは「内定通知書」のことであるが、
選考である以上、結果が「不採用」の場合もある。
本人宛不採用通知書が届くことも当然あったが、
実を言うと生徒に手渡すことができなかったものが何通かあった。
不採用の結果を伝えたところ泣き出してしまい、
不採用のダメ押しのようでとても持ち帰らせる状況ではなかった生徒。
「そんなもの持っていても意味ありません」と言って、受け取りを拒否した生徒。
「それは持ち帰らなくてはいけないのですか」と消極的な拒否をした生徒。

このような場合、私は「無理に受け取れとは言えないからね」と言って、
進路指導室預かりとし、該当生徒の就活記録と共に保管した。
それが正しい対応だったと言い切る自信はない。
しかし、その時の生徒の心情や
早く気持ちを切り替えて次の就活に向かわなければならない状況を考えると、
そのようにしておいてよかったと思っている。
とは言うものの「この悔しさを忘れないために」と、
不採用通知を持ち帰った生徒もいたのだから、
やはり本人宛文書は採否にかかわらず作成してほしいと思う。

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与
キャリア教育支援協議会 顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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