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新型コロナウィルスと学生支援(3) 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

コラム

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前号でお知らせした
第1次補正予算の予備費約530億円を用いた
「学生支援緊急給付金」(学生一人20万円(住民税非課税世帯)、
10万円(それ以外の世帯))について、
6月5日に文部科学省から、
各高等教育機関に通知が出された。

それによると、各高等教育機関は、
文部科学省から提示された推薦枠(給付金総額)にもとづき、
6月19日までに日本学生支援機構に
第1次推薦者リストを提出する。
推薦の要件は次のとおりである。

年収約380万円以下の世帯
家庭からの多額の仕送りを受けていないこと
原則として自宅外で生活をしていること
生活費・学費に占めるアルバイト収入の割合が高いこと
家庭(両親のいずれか)の収入減少等により、家庭からの追加的支援が期待できないこと
コロナ感染症の影響でアルバイト収入が大幅に減少していること
第1種奨学金を限度額まで利用していること

これだけでも相当複雑で、
要件を満たさないと諦めてしまう学生もみうけられる。
ただし、「経済的理由により、
大学等での修学の継続が困難であると大学等が必要性を認める者」
という別の要件があり、
高等教育機関の裁量に任されている。
このため、
上記の要件を満たさなくても、
とにかく申請するという学生や
申請を勧める高等教育機関も多い。
結果として、推薦枠以上に申請者が多くなった大学もみられる。

なお、文部科学省では、第1次推薦に続き、
第2次推薦も行うとしており、
第1次推薦で漏れた者でもチャンスはある。
該当者は、各高等教育機関からの学生への通知に注意してほしい。

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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