「集中講義 高校生の経営学」を5名様にプレゼント!

Profile

洞口治夫:1991年3月、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。1991年4月、法政大学経営学部専任講師。1993年4月、法政大学経営学部助教授。1994年8月、ハーバード大学経済学部客員研究員(-1996年8月、アメリカ政府フルブライト奨学金受給)。1999年4月、法政大学経営学部教授(現在に至る)。2013年4月、放送大学教養学部客員教授(現在に至る)。

小池祐二:法政大学大学院社会科学研究科経済学専攻修士課程修了。同イノベーション・マネジメント研究科イノベーション・マネジメント専攻修了。経済学修士。MBA(経営管理専門職)。現在,法政大学第二中・高等学校教諭,法政大学大学院イノベーション・マネジメント総合研究所特任研究員。

書籍発行までの経緯について

洞口:法政大学には、法政中高校、法政二中高、法政国際高校(旧・法政女子高)という付属校があり、法政二中高との「高大連携プロジェクト」において法政大学経営学部に進路を決定した高校三年生に向けて、三学期に、経営学部の教員やゼミの大学生との交流の時間が設けられています。そこでは、大学生がグループ研究を高校生の前で発表したり、高校生が経営学や会計学の模擬授業を受けたりしています。そのような試みを本にまとめてはどうか、というお話を出版社から頂き、編者として法政二中高の小池祐二先生をお迎えし、小池先生と知己のある付属校の先生方に執筆を依頼したのが本書です。

小池:洞口先生からお話をいただき、高校生が経営学を理解しやすいように、高校の教科学習の中から経営学や企業経営と関係の深い分野や内容を選びました。また、法政大学の付属校から、それらにふさわしい先生方を選び、執筆のお手伝いをお願いしました。経営学に限らず、一つの学問分野とその周りには、幅広く隣接する、あるいは関連を持つ学問分野が存在します。また、社会生活の中では幅広い教養と思考力が必要とされます。そのため、多くの教科の観点から経営学を考えていただき執筆していただきました。また、高校生が親しみを持てるよう、部活や音楽など、高校生の日頃の生活に密着した「ネタ」も交えてストーリーを組み立てるようにしてみました。

どんな内容の書籍でしょうか?

洞口:私立文系と呼ばれる学部には、法学部や文学部のように学部での教育内容を推測しやすい学部と、経済学部・経営学部・商学部・社会学部などのように類似した学問内容ではないか、と思える学部が存在します。経済学部・経営学部・商学部・社会学部では、何を学ぶことができるのか、について解説しています。とりわけ、経営学部で学ぶ内容とは、どのようなものなのか、をわかりやすく説明しています。「経営学とは組織を運営するための科学である」という立場から解説し、読み易さを重視して「集中講義」の形にして短い章としてまとめています。国語、英語、数学、日本史、世界史、地理、現代社会といった高校で学ぶ科目が、大学4年間の学びとどうつながるかについても、やさしく解説しています。

小池:経営学や経営学部、企業経営は、他の学問や学部に比べて、高校生にはイメージしにくいものだと思います。この本は、日頃の高校生の勉強や部活、生活の中から、経営学の中心となる部分が理解できるように作ってあります。また、具体的な企業や街づくりの実例からも、経営学や経営学的なものの見方・考え方が理解できるようになっています。この本に書かれてある事柄をヒントに、身の回りの経営(マネジメント)を意識してみてください。

どんな学生に読んでほしいですか?

洞口:企業による新製品の開発は、私たちの生活を豊かにしてくれます。レコードが発明されて商品化される前までは、私たちは音楽を手軽に楽しむことはできませんでした。レコードからCD、そしてインターネットによる音楽配信ビジネスが生まれたことによって、手軽に音楽を楽しむことができます。郵便配達からe-mailやLineへの発達、徒歩や馬による移動から、鉄道、電車、自動車、航空機、ヘリコプターによる移動など、企業活動が私たちにもたらしてくれた恩恵は数えきれません。社会における貧困問題の解決をしようと考えたときに、税金を支出した貧困解決プログラムを運営しようとすれば、その税金の出所を確保する必要があるでしょう。企業活動によって得られた利益の一部に課税し、その税金から財政支出が行われるのですから、利益を獲得できる健全な企業経営がなければなりません。

小池:大学進学を考えるときに、どの学部や学科を選択するかは、高校生にとって最大の悩みだと思います。漫然と時を過ごしたり、後悔を持ちながら大学生活を過ごしたりすることは、大変にもったいないことです。学部選びや学科選びに、おおいに悩んでいる高校生の皆さんに、この本を読んでもらい、自分の進路について確信と自信を持って大学に進学してほしいと考えています。

洞口:私立大学の4年間で支払う授業料は400万円を超えます。どの学部を選択するかで、その400万円の価値が大きく異なるのです。もしも、41歳から60歳まで毎年年収が500万円である人と、その間の年収が毎年1500万円である人がいるとすれば、両者の差は2億円になります。充実した大学生活をすごし、経営学という実学を学び、会社という組織に貢献すれば、多くの人が生涯年収の差である2億円を獲得することでしょう。400万円の投資に対する将来のリターンに大きな差が生まれるわけです。大学教育には、そうしたパワーがあるのです。楽しく学んで、大きな差が生まれるのが大学教育です。楽しく学ぶためには、自分の好きな学問領域を見つけるのが一番です。

受験を控えた高校生へのメッセージ

小池:どの学部に進学し、どのような分野の勉強をするのか。その選択は自分の人生設計、キャリア形成の第一歩です。入れる大学・学部ではなく、入りたい大学・学部を、しっかり考えて受験に向かってください。そのために、広く、大学とはどのようなもので、世の中にはどのような学問分野があるのか、たくさんの情報を得てほしいと思います。この本は、皆さんのお役に立てるはずです。

洞口:世の中でよく目にする「正しい学部選び」という表現は、正しくありません。学部選びをするのは高校生自身であり、その基準は主観的なものです。つまり、自分が好きな学問を選択するべきなのです。食べたことのない食べ物、飲んだことのない飲み物の味を知ることはできません。知らないモノについて好き嫌いを判定することもできません。本書は、経営学をまったく知らない高校生のために、楽しく「経営学」の試食をする場を提供しています。試食して、「おいしい」と感じたら、さらに深く学べばよく、「なにかが違う」と感じたら、他の学部を選択すれば良いでしょう。

偏差値と受験日程の並び方だけで、受験学部を決めてしまうのはバカげています。高校の進路指導の先生や、自分の父親・母親も、「経営学」については良く知らないかもしれません。しかし、「経営学部」を選択するか、しないかは、高校生が自らの意志で決めなければなりません。本書は、その選択のためのガイドブックです。

小池:受験も、まずは体調管理からです。ハードな勉強をすることはもちろんですが、休息も忘れずに受験を乗り切って、希望に満ちた大学生活へのスタートをきってください。

TOP