栄養士を目指したきっかけは料理上手な母や祖母
私の場合、「栄養士」を目指す特別なきっかけがあったわけではありませんが、母や祖母の影響はとても大きかったなと思います。わが家では、食事といえば手作り料理が当たり前。外食はたまにしかしませんでした。私自身、母や祖母の手料理が大好きでしたし、食べることが好きになったのも、母が料理をする姿を見て育ったことが関係していると思います。進学する際に栄養分野を選んだのは、これからの人生で役立つことが多いのではという思い、また、栄養士の資格を持っていることで、ライフステージが変わっても自分のためになると考えて決めました。
卒業してすぐは保育園や飲食店のアルバイトに
短大時代は、授業を真面目に受け、栄養の勉強をする一方で、高校時代から続けていたバンド活動にも力を注いでいました。卒業後は、バンド活動を続けながら、実習でお世話になった保育園に1年間勤務。このとき、保育園で大量調理を経験したことは、社員食堂の仕事をするうえでも非常に役立っています。その後は、レストランやコーヒーショップなど、飲食関係の職場でのアルバイトを続けていました。
ようやく栄養の世界に
バンドとアルバイトを両立した生活で3年間が過ぎたのですが、次第に、両方とも中途半端な状態になっていきました。そんな折、バンド仲間が言った「ずっとこうやっていても稼げるわけじゃないし……」というひと言は、私の気持ちを言い当てていました。まさに「目が覚めた」瞬間でもありました。そこで、好きなことをやるのもいいけど、せっかく資格を持っているのだからそれを生かそうと思い、栄養士として働くことを決意。もともと、自宅に体組成計があったこともあって、その名前をよく知っていたタニタの求人を見つけ、幸いにも採用していただくことになりました。
「気になったこと」に向き合ったことが大きな結果に
入社後、社員食堂で働き出すと、すぐに驚くべき変化が起こりました。実は私は、アルバイト時代のまかない食などで、学生時代より5kgも太っていました。ところが、社員食堂で昼食を摂る生活スタイルになってからみるみる体重が減り、元の体重に戻っていったのです。ただ、社員の中には「味が薄い」「食べ応えがない」などの理由で社員食堂を敬遠している方もいました。そこで私は、自分の体で証明した健康的な食事をひとりでも多くの社員の方に食べていただきたい一心で、2人のスタッフと更にレシピの改良に取りかかりました。肉の皮などの高カロリーの部分を取り、調理法でさらに油分を減らす一方で、満腹感を出すために野菜を大きめにカットしたり、味噌汁に牛乳を入れることでコクを出すなどさまざまな工夫を取り入れました。すると、徐々に社員の利用者が増えてきました。今は「タニタの社員食堂のレシピ」として注目をいただいていますが、自分の体重が減ったこと、低カロリーでもおいしく作ること、社員食堂への不満など「気になったこと」一つひとつに向き合った結果だと思っています。
いろいろな知識を吸収する姿勢が大切
栄養のことはもちろん気を配りますが、常に「おいしく料理を作るにはどうしたらいいか」も考えています。「おいしかったよ」と言われるとやはりうれしい!これからもおいしく作り、胸を張って料理を提供していきたいです。今後は、栄養士としてさらに自信を持って仕事ができるよう、いろいろな知識を身につけたいと思います。高校生のみなさんも、いろいろな情報を知識として蓄えることをおすすめします。教養は無駄にはなりません。いつか絶対役に立つと思って、何でも吸収する姿勢が一番大切ですよ。
INFORMATION
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『続・体脂肪計タニタの社員食堂ーもっとおいしい500kcalのまんぷく定食ー』
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掲載日:2012-05-01