進路新聞バックナンバー

好きだなって思える気持ちを大切にして

南沢奈央さん

映画やテレビドラマ、バラエティ番組など、女優として多彩な表情を持つ南沢奈央さん。多忙な芸能活動の一方で、現役女子大生として大学に通いながら、学業と仕事の両立を果たしています。 勉強も仕事も全力で取り組んできた南沢奈央さんの進路ストーリーをご紹介します。

きっかけは舞台に感動して

小さいころから身体を動かすことが大好きで、小学校から高校まで運動部に所属していました。女優の仕事をするきっかけは、中学3年生の時のスカウト。でも、当時は高校受験が目前だったので断ったんです。それに人前に出ることに苦手意識もあったから、「まさか私が」って感じでした。高校に入学して落ち着いたころ、また声をかけてもらって、今は事務所の先輩となった黒木メイサさん主演の舞台「あずみ」に招待してもらったんです。そこで「こんなにステキなお仕事があるんだ」って感動しちゃって、私も挑戦してみようと決意しました。両親は、勉強と両立するのを条件に、社会経験にもなるからと後押ししてくれました。

仕事も部活動も勉強も

事務所に所属してすぐ、テレビドラマの出演が決まって、仕事と高校生活との両立が始まったんです。でも当時は仕事って感覚があまりなかったですね。部活動もやって、予備校にも通ってたし、本当に普通の高校生でした。 もともと好奇心旺盛なタイプで、世の中のいろんなことを知りたいっていう気持ちがあったので、勉強第一だったんです。だから、大学には絶対に行きたいって思ってました。女優になる前は、動物が好きだったから、獣医さんにも一時興味があったのですが、ドラマ「赤い糸」の主演を経験してから意識が変わりました。責任を持ってやらなきゃっていう自覚が生まれて、そのために本当に必要な勉強をしたいと考えるようになったんです。

学校選びは見学が決め手

大学選びは、女優の仕事に関連する映像関係の勉強ができるところを調べました。進学情報誌を読んだり、高校で先生にアドバイスしてもらったり…。でも一番相談したのは両親でした。今通っている大学は両親が卒業生ということもあって、昔から意識していて、憧れが強かったんです。だから自分の目で確かめようと決めて、高校3年生の夏に見学会に参加しました。見学会では、興味ある分野の勉強ができることを確認できたので、進学したいっていう気持ちがぐっと高まりましたね。

入試に向けて一直線

入試には、小論文と面接と英語があったんですけど、高校1年生から頑張ってきた自信があったので、焦ることはありませんでした。それでも、受験対策を始めた時期は、ちょうど「赤い糸」の撮影と重なっていたので、心身ともに大変でした。勉強する時間を確保するために朝一番に登校して、誰もいない教室で集中したり、受験生の弟とリビングで一緒に勉強したり。家族の応援があったからこそ、頑張ることができたんだと思います。合格は、ロケ現場で母からの電話で知って、「合格したよ」の声に、喜びと安堵で思わずその場で泣いちゃいました。

期待と不安の大学生活

大学入学前に舞台の仕事が入り、オリエンテーションに参加できなくて、初登校は5月になってからでした。そうしたら、周りにはすでにグループができちゃっていて、どうしようかと思いました。最初は、一人でご飯を食べたり、図書館に行って時間を潰したりしてたなぁ。毎日不安だったけど頑張って通っていると、いつも同じ授業の子が話しかけてくれて、少しずつ輪を広げていくことができたんです。 大学の勉強は高校と違って、興味がある授業を選択できますから、本当に面白いです。ドキュメンタリー制作の授業では、「自分のこれまで」を題材にした作品を作りました。授業には、仕事と関連する部分も少なくなくて、制作者側の視点で勉強できることが嬉しいです。後期は脚本に関する授業を履修予定で、元々小説が好きだったこともあって、今から楽しみです。

進路に悩む高校生へ

とにかく「好きだな」って思ったことには何でも挑戦して欲しいと思います。私は、女優の仕事も学校の勉強も大好きだったので、両立することが全然苦にならなかったんです。一度社会に出ると勉強する時間ってなかなか取れません。けれども勉強して身に付けた知識はどこかで必ず生きてきますから、絶対ムダにはならないんです。だから、好きだなって思えることを見つけて、そこから進路を選んでいけば間違いないんじゃないかな。

南沢奈央さん
南沢奈央(みなみさわ・なお)
1990年6月15日生まれ。20歳。立教大学在籍中。ドラマ×映画「赤い糸」の主演で注目を集める。現在は、日本テレビ系列「1億3千万人のエピソードバラエティコレってアリですか?」に出演するなど、活躍の場所を広げている。2010 年11月全国公開予定映画「行きずりの街」出演。

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