地域創生学とは?将来どのように役立つのかを解説

地域の活性化や持続可能な社会の実現を目的とした学問が「地域創生学」です。将来、地元に貢献できる仕事に就きたいと考えている方も多いのではないのでしょうか?そんな人におすすめの学問です。「地域創生学ってなんだろう」「凄くおもしろそうな学問だけど、就職に役立つ学問なの?」こういった不安をもつ人に向けて、地域創生学とは何か?地域創生学を学ぶメリット、将来どのように役立つのか、どこで学ぶことができるのかを紹介します。

地域創生学は「地域が抱える課題を知り、解決するための政策を学ぶ学問」

地域創生学は「人・社会・環境」をテーマに、地域が抱える課題や実態を浮き彫りにし、解決のための政策やビジネスを学び、地域の発展を目指す分野です。大都市では人口が集中する一方、地方過疎化が進み地域の人のつながりが弱くなっていることでたくさんの問題が起きます。この問題を解決するために、地域創生学は地方創生の政策や制度、経済学をベースとした地域産業や企業活動の理解、社会学をベースとした地域社会の活動や構造、そして地域の歴史や文化の学習など、さまざまな観点から探求します。
地域創生学は座学だけでなく、実際に福祉の臨床現場や地域の学校へボランティア活動なども行います。教育実習のような短期間の実習とは違い、地域と「継続的」に関わりを持ちながら、地域の再生と創造を目指して取り組みます。例えば、地域の特産品を使って新しい食べ方を提案し、販売の方法までを考えることで、ただ課題解決のアイディアを出すだけでなく、実践して地域に貢献するところまで体験できます。実習を通して、地域特性の発掘力、調査・データ分析力、人間関係の形成力なども身につきます。また、地域創生学の野外活動の最大の魅力は、実習先がふるさとになることです。将来、学生が何らかの形で実習先で仕事をしたり、移住したりするケースもあります。学んで終わりという訳ではなく、卒業しても長く関わりを持てることが他の学問とは違う魅力の1つです。座学で得た知識を実践で行うことでより深い理解を得ることができ、将来に役立てるだけでなく、豊かな人生の選択肢を増やします。

地域創生学を学ぶために必要なカリキュラム4つ

まず前提として、地域創生学は学校によって学ぶカリキュラムの内容や名前が異なります。そのため、ここではあくまで一般的に学ぶ場合を想定して4つのカリキュラムをご紹介します。

地域デザイン

「地域創生」「地域デザイン」「地域ビジネス」など、地域や地方と書かれたカリキュラムは必須なことが多いです。例えば地域デザインの場合は、人×空間×しくみによって、より豊かな暮らしの実現を目的とします。デザインというと魅力的な広告やグラフィックをイメージするかもしれませんが、ここでのデザインは仕組みを作ったり、人やものをつなげたりする意味も含みます。

社会学

社会をさまざまな角度から分析し、社会の構造や仕組みを理解する学問です。問題解決力、多様性を理解する力などを身に付けることができます。地域住民のニーズや関心事を理解するために必要なスキルになります。

経済学

地域の企業を巻き込むためにも、データに基づく根拠のある説明が必要不可欠です。数字や経営に関しても知識を培うことができます。地域がもつ資源を最大限活用して、持続的な発展をするために必要な学問です。

地域実習(フィールドワーク)

地域実習は体験型学習で、地域の産業、伝統、文化を座学よりも深く知ることができます。現地観察、聞き取り調査などが挙げられます。地域実習を通して、課題解決力、リーダーシップ性などを培います。

地域創生学と関連性のある学問2つ

地域創生学と関連性のある学問として、マーケティング論と語学が挙げられます。

マーケティング論

ヒット商品を分析し、販売促進、マーケティングなどの手法を学びます。地域の産業、文化をPRする際にマーケティング手法を活用し他の地域との差別化を図ることができます。また、地域の特性や魅力を発信しその地域独自の価値を効果的にアピールできます。

語学

地域の良さを海外に向けてアピールできれば、国際交流により地域の活性化に繋がります。将来的に外国の方が訪れてくるようになれば経済的な発展も見込めるでしょう。

地域創生学で取得できる資格5つ

地域創生学を学ぶ中で取得できる資格を知っておくと、学校を卒業した後の選択肢も広がります。地域創生学を学ぶ中で取得できる資格は以下の通りです。

中学校・高等学校教諭一種免許状

教職課程を含む所定の単位の修得の上、採用試験に合格することで、中学校・高校で教えることができます。

日本語教員養成課程修了証

公的な資格でなく、大学が指定した単位を履修したことを証明するものになります。

学芸員資格

博物館など高度な知識を求められる場所で働く際に求められる資格です。

日商簿記検定

企業の経理業務に求められる知識と技術が身につきます。就職活動のときに役立ちます。

FP技能検定

健康保険制度や公的年金の仕組みなどを学び、家計の資産形成や改善に活かせます。

資格が取得できるかどうかは、進学する大学や専門学校によって異なるため、事前に進学する学校について調べておくことをおすすめします。「どうやって調べればよいのだろう」と悩む人は「進路ナビ」を活用しましょう!「進路ナビ」では、たくさんの大学・短期大学、専門学校の情報がまとめられています。学校の種類と学問、希望する通学エリアを選択すると、お住まいの住所に希望した学校のパンフレットが届く資料請求もできます。検索方法は3つのステップだけなので、とても簡単です。学校の種類と分野・系統を選び、通学希望エリアを選択し、最後にご自身の名前や住所などの個人情報を入力して終了です。
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卒業後の進路は公務員・サービス業・観光業など多岐に広がる

地域創生学を学んだ卒業生はどんな仕事に携わっているのでしょうか。「地域創生学を学んでもどのように将来の仕事に生かせるのか?」と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。ここではそんな不安を解消できるように地方創生学を学んだ先輩方の就職先を紹介していきます。

国家公務員・地方公務員

地域振興、まちづくりに関わる部署にて地域創生に関われます。警察官や消防官、教職員や国立・公立大学法人、市役所などが挙げられます。

販売・サービス業

地域の課題解決につながるサービス、商品の開発・販売に携われます。飲食業界、卸売・小売業界などが挙げられます。

文化関連施設

地域の課題解決につながるイベントの企画・運営などに携わります。福祉業界や文化・芸術業界などが挙げられます。

観光業

旅行業界、宿泊業界など、集客につながるイベントの企画・運営などに携わります。

上記以外にも金融業や情報通信業、製造業など幅広い分野で地域創生学を履修された方が活躍されています。学んだ知識や資格を活かした仕事につく卒業生もいれば、地域創生学とは畑違いの分野で仕事に就いている人もいます。ただ、地域創生学の実習で得た調査・データ分析力、人間関係の形成力は、どのような分野・業界でも活かせる力といえるでしょう。

地域創生学が向いている人

ここからは地域創生学を学ぶのに向いている人をご紹介していきます。

地域が好きなこと

「この地域を盛り上げたい」という気持ちを持っているが人が向いています。特定の地域の文化や歴史、問題点に寄り添っていける人や、地域の発展や再生に真剣に取り組める人が求められています。

コミュニケーションを取るのが好きな人

地域創生学では特に、地域住民や行政、地元に密着した企業と連携して活動に取り組んでいく機会が多く、年齢や考え方、価値観が違う人と一緒に働く機会が増えます。年齢性別問わず誰とでも上手にコミュニケーションを取っていける人が向いているでしょう。

自分の頭で考えられること

フィールドワークや座学を経て、何が課題かを自分で考えられる人には地域創生学が向いています。地域創生には経済、福祉、教育などさまざまな原因が絡まり複雑になっている問題を解決していく場面がでてきます。普段からいろんなことを考えたり、日常の中で疑問や課題を見つけたりすることができる人にはぴったりです。

実行力

思ったことや考えついたアイディアを形にできる実行力を持っている人にもおすすめです。失敗や挫折を恐れずに挑戦することができるバイタリティーが必要です。

地域創生学を学べる学校の選び方

地域創生学を学べる学校は、全国に国立大学は14校、公立大学は4校、私立大学は3校、短期大学は1校あります。地域創生学を履修することができる学校を2つほど例としてご紹介します。

愛媛大学:社会共創学部

愛媛大学は、開学時より地域社会との関わりに目を向けて地域貢献に力を入れており、全身がトロの新養殖魚種スマの人工養殖の技術を確立し地域に貢献した実績があります。

大正大学:地域創生学部

大正大学は全国的なネットワークがあり地域創生学部の実習を行う環境が整っています。巣鴨駅の商店街と連携し、特産品を作りコロナ禍で疲弊する商店街に貢献しました。卒業後の学生の進路は公務員や民間企業、大学院へ進学など幅広いです。

もっと調べたいと思った方は「進路ナビ」で資料請求をしてみてください。進路ナビでは、地域創生学を目指せる大学や専門学校を紹介しています。大学や専門学校の専攻やカリキュラムを調べてみないと実態はは分からないため、まずは「進路ナビ」の学校検索機能を利用して資料請求を行い、各学校の詳しいパンフレットを取り寄せてみましょう。他にも、「進路ナビ」では、「興味のある分野」や「通学希望エリア」を選ぶだけで、進路アドバイザーから無料でおすすめの学校情報をお届けします。

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