バイオテクノロジーってどんな学問?学べる学校や活かせる就職先を解説!

バイオテクノロジーとは、生物学を意味する「バイオロジー」と技術を意味する「テクノロジー」の合成語で、生物が持つ働きを人々に役立てる技術のことを言います。この記事では、バイオテクノロジーを学んで将来の仕事に役立てたいと考えている人のために、バイオテクノロジーという学問の内容や就職先などについて解説しています。実際にバイオテクノロジーを学びたい方へ向けて、通った方がいい大学・学部についてもまとめましたので参考にしてみてください。

バイオテクノロジーとはどんな学問か

バイオテクノロジー(Bio Technology)とは、生物学である「Biology」と技術を意味する「Technology」を合わせた言葉です。
化学や生物学などの基礎知識のほか、生命に関する倫理問題などについて学ぶ学問です。動物や植物が持つ機能を人類の生活に役立てる技術のことで、様々な分野で活用されている技術です。バイオテクノロジーを利用した分野は、主に医療や医薬品、食品や化粧品、環境などが挙げられます。身近な例で言えば、遺伝子組み替えの植物品種改良、新しい調味料や飲料などの食品、貧血治療薬などのバイオ医薬品にも利用されており、私たちの暮らしに密接に関係している学問です。
大学や専門学校などでは、基礎として「生物学」「化学」「物理・生物物理学」「生命倫理学」、専門研究分野として「ゲノム化学」「細胞生物学」「神経生物学」「免疫・ホルモン」などの分野を学んでいきます。バイオテクノロジーを学んで就職に活かしたい場合は、どんな業界に進みたいかを決めたうえで分野を選ぶことがおすすめです。

進路ナビでは、バイオテクノロジーを学べる大学や専門学校を紹介しています。
(その職業を目指す方に向けた文章)のため、以下のページから大学や専門学校を探してみましょう。

バイオテクノロジーが学べる大学・短大一覧

バイオテクノロジーが学べる専門学校一覧

バイオテクノロジーは何をどうやって学ぶのか

バイオテクノロジーを学べる学校に入学したら、何をどんな風に学んでいくのでしょうか。ここでは、バイオテクノロジーで学ぶことができる内容や学び方などを解説します。

バイオテクノロジーは何を学ぶのか

バイオテクノロジーは、人間を含めた様々な生物が持つメカニズムを解明し、私たちの生活や環境保全に役立たせるような社会還元をすることが目的の学問です。そのため、技術の発展や新しい技術を生み出す人材になるための知識を身につけていきます。バイオテクノロジーで学べる分野は多岐にわたり、目指す将来に合わせて学ぶ内容や研究対象を絞り込んでいくといいでしょう。具体的な分野では、ヘルスケアやサプリメント、化粧品や食品など、バイオ産業に関係するものが多く挙げられます。

どうやってバイオテクノロジーを学ぶのか

詳細なカリキュラムや研究対象などは学校によって異なる部分がありますが、まずは基礎として実験や講義などを実施しながら化学・生物学などを学ぶところが多いようです。バイオテクノロジーの専門学校では、一例として4年制で次のようなカリキュラムを進めています。

1年次

共通科目として、遺伝子工学や微生物学などをはじめとした、バイオテクノロジーの基礎的な知識やスキルを学びます。

2年次〜3年次

この期間では、科目選択や専攻で様々な分野を学びます。具体的には以下のような分野があります。

分野内容
遺伝子分野遺伝子の構造、機能、操作方法や遺伝子データの解析方法を学びます。
再生医療分野動物細胞の培養方法や操作技術、細胞培養の基礎知識や技術を学びます。
バイオ医薬品分野実験動物の取り扱い方や管理方法を学び、抗体の作成方法や利用方法を身につけます。
植物バイオ分野植物組織の培養方法や操作技術や、植物の生理機能や生育に関する知識を学びます。

このように、2年次から3年次にかけてさまざまな分野の知識や技術を身につけることができます。そのほか、将来の職業を見据えて実験技術職者として必要なスキルや、技術開発食としての新しい技術の開発や応用に必要なスキルを学ぶことができます。

3年次後期~4年次

実際の現場でインターンシップを行いながら、引き続き専門分野を学びます。

生物の体の構造やメカニズム、生物の体を構成する物質など、基礎的な知識を身につけてから、遺伝子工学・応用微生物学・生体栄養科学・微生物・植物など専門性のある分野でやりがいのある研究を進めていく学校が多い傾向にあります。卒業研究などでは、社会に役立つ実践的で専門性の高い能力を高めていきます。

バイオテクノロジーで取得できる資格

バイオテクノロジーを学んでいくうえで取得できる資格は、「バイオ技術者認定試験(上級・中級・初級)」や「技術士(生物工学部門)」などが挙げられます。どちらの資格もバイオ技術に関する専門的な知識を持つことを示すものなので、今後の就職活動やキャリアに役立つことでしょう。ここでは、その2つの資格に絞って概要を説明します。

バイオ技術者認定試験

バイオ技術者認定試験は、NPO法人日本バイオ技術教育学会が主催する民間資格です。バイオテクノロジーの技術者が持つべき知識やスキルを認定することを目的としています。初級・中級・上級の3種類があり、それぞれ多肢選択式のマークシート方式です。試験の内容は次の通りとなります。

  • 初級
    基本的な生物学や化学、遺伝と育種の知識、食品と微生物の勉強、植物に関する知識やバイオ実験の技術について、基本的な理解があり、習得していることが認められます。
  • 中級
    生化学、微生物学、分子生物学、遺伝子工学など、バイオ技術の基本的な分野に関する知識があり、指導者のもとで、バイオ関連の実験を正確かつ安全に行うことができる能力を持っていると認められます。
  • 上級
    バイオ技術の基本(DNAやタンパク質、機器など)から応用(微生物、動物、植物のバイオテクノロジー)までの幅広い知識を持ち、バイオ関連の実験を正確かつ安全に行える能力が認められます。 2022年度の合格率は、初級で80.5%、中級で76.2%、上級で52.5%です。
    参考:2022年度バイオ技術者認定試験実績

技術士生物工学部門

技術士生物工学部門とは、日本技術士会が主催する国家資格の1つで、バイオテクノロジーの専門知識を持つ技術者を認定する試験です。試験は一次試験と二次試験の2段階で行われ、必須科目と選択科目があります。必須科目は生物工学に関する内容で、選択科目は生物機能工学と生物プロセス工学の2つの分野から選ぶことができます。この資格を取得することで、バイオテクノロジーの専門家としての技術力や知識が認められます。
合格率は18.5%とされ、難易度の高い資格と言えます。

バイオテクノロジーが活かせる就職先・業界

バイオテクノロジーを学んだ後は、どのような業界で活躍できるのでしょうか。知識を活かせる就職先やバイオ技術者が活躍できる業界について紹介します。将来どんな業界で活躍したいのかを考えながら、どの分野を専攻すればいいのか進路をイメージしてみましょう。

医療系

iPS細胞やES細胞の再生医療など、医療系の業界はバイオテクノロジーに関する分野としてイメージしやすい業界なのではないでしょうか。遺伝子工学を応用したバイオ医薬品や、細胞を使った再生医療、遺伝子情報を活用するゲノム創薬の研究開発など、バイオテクノロジーは医療業界では欠かせない存在です。医療系分野でのバイオテクノロジーは、次のようなものが挙げられます。

基礎研究・ゲノムやタンパク質の構造や機能解析
・再生医療(iPS細胞、ES細胞等)
・がんの治療や予防
・遺伝子診断・遺伝子治療
医薬・ワクチン、抗体医薬などのバイオ医薬品の開発
・遺伝子工学を利用した個別化医療
・再生医療技術を活かした創薬研究
健康関連・遺伝子検査を利用した健康管理

食品関連

バイオテクノロジーは、私たちの身近な食品にも関連しています。トクホと呼ばれる特定保健用食品などの機能性食品や、遺伝子組み換えを利用した新しい品種の穀物、受精卵移植による家畜の生産性向上などもバイオ技術です。

食品発酵技術、バイオ食品の開発、機能性表示食品等
農業品種改良、遺伝子組み換え作物、機能性農作物
畜産体外受精による生産性の向上、繁殖
水産各種魚類、ウナギなどの養殖

環境、エネルギー関連

環境不可の低い製品や生物資源を利用したバイオ燃料など、環境に配慮したエネルギー関連の業界でもバイオテクノロジーが活用されています。自然に還るプラスチック素材である生分解性ポリマーや、微生物の分解機能を活用した環境浄化技術など、環境やエネルギーの新技術などに関する研究が行われています。

環境・環境負荷の低い製品やシステムの開発
・洗剤用酵素
・生分解性ポリマー(自然に帰るプラスチック)
・汚水処理(微生物による有機物の分解)
・バイオリアクター
(生物の働きを利用して化学反応を進める装置)
・バイオレメディエーション
(生物が持つ分解機能を利用した環境浄化)
エネルギー化石燃料に依存しないエネルギー、バイオマスエネルギー、バイオ燃料(バイオエタノール、バイオディーゼル)

バイオテクノロジーが向いている人

「バイオテクノロジーという学問に興味を持っているけど、自分に向いているのかわからない」という人もいるのではないでしょうか。バイオテクノロジーは基本的に生物や生命科学が好きな人が興味を持つことの多い分野ですが、その他にもこの分野に向いている人の特徴や適性があります。バイオテクノロジーが向いている人の特徴は、次の通りです。

  • 生物学(生命科学)や生物が好き
  • 柔軟な発想を持っている
  • 手先が器用である
  • 情報分析力、主体性がある

バイオテクノロジーは生物のメカニズムを研究していく分野のため、前提として生物学や生物が好きだという人に向いています。動物や植物が好きな人や、その仕組みを解き明かして人々の技術に役立てたいと思っている人にぴったりの学問です。また、革新的な技術や新しい発見をするためには、柔軟な発想力が大切になってくるでしょう。
手先の器用さは必須ではありませんが、繊細な実験を行うためには持っていると良いスキルだと言えます。ただし、慣れや練習である程度補えるものでもあるため、手先が不器用であっても諦める必要はありません。
バイオテクノロジーは様々な事象を研究する学問なので、情報収集やその分析をする力も重要になってきます。色々な物事に興味を持って研究する主体性がある人も、この学問に向いていると言えるでしょう。

バイオテクノロジーと関連性のある学問

バイオテクノロジーは様々な分野と関連のある学問で、特に生物学や薬学などとは切っても切り離せない関係です。バイオテクノロジーを学ぶことで他の学問に役立つこともありますし、また逆に関連する学問を学ぶことでよりバイオテクノロジーへの理解が深まります。

  • 生物学
    人間や動植物、微生物などの生命体を研究対象に、それぞれの行動や生態などを解明する学問です。バイオテクノロジーの基盤とも言えます。
  • 薬学
    文字通り、薬について研究する学問です。新しい治療薬の開発や効率的な製造方法などを作り出すことが目的になっています。新薬などの開発には、バイオテクノロジーも大きく関係しています。
  • 理学
    理学とは、物理学や化学、天文学や自然科学などの総称をさします。
  • 工学
    化学知識の応用を工業・生産に役立てることを言います。バイオテクノロジーは生物工学とも呼ばれるため、関連性の深い学問です。
  • 農学
    農業や林業、畜産業や水産業などの技術を研究する学問です。植物や家畜、魚介類などの生体知識は、バイオテクノロジーに大きく関わります。

このように、バイオテクノロジーは他の分野とも関連性の深い学問です。専門性の高い分野に関しては大学や専門学校などで学べますが、数学や理科・物理などの基礎知識は高校生の内に身につけておきましょう。

バイオテクノロジーはどんな学校で学べるのか

バイオテクノロジーは様々な学校で扱われています。学部で言えば、主に医学部や薬学部、理学部や農学部などが挙げられます。学科では、バイオサイエンス学科や薬学科、生命科学科や分子生命学科などです。バイオテクノロジーを学べる大学に行きたい場合は、学部や学科のカリキュラム内容などを調べておきましょう。日本の大学の中でバイオテクノロジーを得意としているのは、iPS細胞で有名な山中伸弥氏が所長を務める京都大学が挙げられます。2003年に設置された専門大学、長浜バイオ大学も有名です。
また、バイオテクノロジーの分野に特化した専門学校もあります。専門学校はバイオテクノロジーの知識を効率よく学べるため、勉強したい分野がしっかりと決まっている人に向いています。短期間でしっかりとバイオテクノロジーに関する知識を身につけられるため、卒業後の就職に活かすことができます。関連する分野を幅広く学びたいならバイオテクノロジーを扱っている大学、特化した知識を効率よく学びたいなら専門学校がおすすめです。自分の興味のある分野を専門としている教授がいる学校や、カリキュラムが充実している学校を選ぶことでより楽しく学ぶことができます。

バイオテクノロジーを学べる学校の選び方

バイオテクノロジーを学ぶための進学先として大学や専門学校を探すには、どの学校がどんな学び方をしているのかなどの情報収集が欠かせません。将来どのような職業を目指しているのか決まっているなら、関連性の深い学科を絞り込んで選びましょう。選び方のポイントとしては、実習や研究に関する実績を確認したり、その分野のスペシャリストがいるかどうかをチェックしたりすることです。どの分野に進みたいのかを明確にするためにも、進学前から様々な業界について調べておきましょう。

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