“海獣”の飼育は毎日が刺激的! 信念を持って取り組めば、夢は叶います

濱田 一毅   さん

 大阪府出身。地元の動物系専門学校を卒業後、「京都水族館」と「すみだ水族館」を運営している「オリックス水族館株式会社」の採用試験を突破し、2012 年5月にオープンした「すみだ水族館」に配属。新人飼育員として「マゼランペンギン」と「ミナミアメリカオットセイ」の飼育を担当している。

勤務先

オリックス水族館株式会社

 2012年5月22日にオープンした東京スカイツリータウン®内にある「すみだ水族館」。水量約350トンという国内最大級の屋内開放水槽で泳ぐペンギンやオットセイたちの飼育スタッフとして活躍されている濱田さんに、お仕事内容についてお話を詳しくうかがいました。

海の動物「海獣チーム」の仕事

 すみだ水族館には、約1万種類の生き物の生態系が展示されています。ペンギンとオットセイを担当する「海獣チーム」の飼育スタッフは全部で12人。水族館の開館時間は9時から21時までですが、職員はシフトで働いています。 早番の場合は朝のミーティング後、プールの清掃から始まります。そのあと、ペンギンの給餌はビタミン剤と一緒に魚を一羽に一尾ずつ与えます。このとき、表情や動きを観察して、前日からの変化はないか?たとえば、他のペンギンに噛まれて怪我をしていないか、口内の色を見て、白かったら貧血かな?といった健康状態をチェックします。一日の給餌はペンギンとオットセイで数回あります。ペンギンは1日で一羽につき約20尾程度の餌を与えています。屋内水族館のため、臭いがこもらないよう清掃をこまめに行い、夕方には魚類チームと海獣チームで集まってミーティング。全体で水族館の情報を共有しています。

お客様と距離が近いことが魅力

 すみだ水族館はバックヤードを積極的に公開しているので、給餌や清掃、トレーニングといった飼育業務がお客様にオープンな環境にあります。飼育スタッフはほぼ一日中フロアにいるため、お客様との距離が近く、おしゃべりして仲良くなることもよくあります。スタッフ間では日常のお客様とのコミュニケーションを「ちょっとチャット」と呼んで、こうした時間をとても大切にしています。実は「よりお客様に気持ち良く見ていただけるよう」、スタッフ一人ひとりの言葉づかいから表情、仕草といった些細なことまで、演出家の先生に指導してもらっているんですよ。水族館の開業当時から練習を繰り返し、試行錯誤しながらみんなで少しずつ作り上げていくところにもこの仕事のやりがいを強く感じています。

オットセイとのふれあいって楽しい!

 水族館の仕事は毎日が勉強です。僕は南米から来た2歳の「サブリ」というオットセイを担当しているのですが、トレーニングもお客様が見ている場所でやらなければなりません。プレッシャーを感じるとともに、その分やりがいも大きいですね。性格のあるオットセイはとてもおもしろく、もともとはイルカのトレーナーを目指していましたが、オットセイの飼育ができて今はとてもうれしいです。

高校3年の進路選択が転機

 小さい頃はよく水族館に連れて行ってもらい、「イルカショ-がカッコいい!」と思っていました。でも選んだ進路は体育科のある高校。それまでこの気持ちは忘れていたんですが、同級生が体育系の大学や専門学校に進む中で、「決まったレールには進みたくない!」と思ってしまったんです。指定校推薦に合格していたのですが、「大学に行っても特にやりたいこともなく、4年間無駄にしてしまうかも」と思い直し、締切直前で取り消しました。自分の中で、本当にやりたいことは何だろう?と向き合ったときに浮かんだのが「水族館の飼育員の仕事」でした。周りからは反対されましたが、両親は好きなことをやったらいいと賛成してくれて、動物系専門学校への進学を決めることができました。

目標を持つと達成感も得られる

 水族館への就職は正直難しいと思っていたので、就職活動は分野を限定せず、幅広い視野で活動をしていました。すみだ水族館では、海獣チームに配属されて本当に良かったです。どんな仕事でも、自分が楽しいと思えることを見つけて目標を立てることで、成功した時は達成感が得られます。自分の「好き!」という気持ちを大切にして、それに向かってブレずに歩んでいけたら、夢はきっと叶うと思います。

INFORMATION

『すみだ水族館』
都市にいながら「いきもののいのち」とそれをはぐくむ「水」を体感できる水族館。いきものとの距離をより身近に感じられる「ラボ」もあり、飼育スタッフと話して理解を深められるので、学校行事としてもおすすめです。[お問い合わせ]TEL 03-5619-1821

(掲載日:2013-06-10)
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