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高卒採用、悩む企業 休校で説明不十分 来春卒、離職率高まる懸念も

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新型コロナウイルス禍を受け、企業が高卒採用に頭を悩ませている。例年4~5月に行っていた学校訪問が休校で実施できず、7月の求人票公開を前に十分な情報提供ができていないからだ。2021年春卒は必要な人材を確保するのが難しく、ミスマッチで離職率が高まる懸念もある。
「自社を丁寧に説明する機会が減った」。日本製鉄はこれまで学校訪問やインターンシップなどで教員や高校生に会社紹介をしてきた。今年は4~5月の2カ月間、高校が休校。学校訪問は自粛となり、高校主催のガイダンスも中止になった。
高卒採用は毎年7月1日に求人票が公開され、9月中旬から選考が始まる。今年は開始時期を1カ月遅らせるが、企業に与えられた時間は短い。
各社はコロナ禍のなかでの情報発信に工夫を凝らす。山崎製パンは職場見学会での「3密」防止のため、参加定員を減らすことを検討。SUBARU(スバル)は遠方の高校向けに工場見学動画の配信を予定する。ホンダはオンライン見学会で先輩社員との懇談会を検討する。高卒採用で就職した20代の社員が経験を話し、不安を取り除く。
各社が情報提供に心を砕くのは、高卒就活は原則1人1社しか応募できないルールがあるからだ。教員が生徒と保護者と話し合い、企業を提案する。今年は短い対話時間のなかで、本命の1社を絞る必要がある。
企業への理解が不十分なまま応募すると、ミスマッチが起きる可能性が高まる。高卒の入社後3年以内の離職率は4割と大卒(3割)に比べて高く、ミスマッチが増えれば離職率を引き上げかねない。
厚生労働省によると、20年3月末の高卒の民間就職人数は約16万7000人。日本製鉄や山崎製パン、JR東日本など工場や作業現場を持つ企業が多く採用する。
参考:日本経済新聞

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