進路決定のきっかけ 更新日: 2020年7月30日
コラム
我が家の長男は専門学校に通う2年生だ。
幼稚園のころの夢はウルトラマン、
小学生になると「人を助けたい」から警察官、
中学生のころは、野球漬けの毎日でそれどころではなかった。
高校2年になり、
ようやく進路のことを話すようになった。
母「やりたいことはないの」
長男「まったく考えられない」
こんな会話の繰り返しだった。
高2の夏、先輩が引退し、最後の1年が始まった。
長男は当時ピッチャーをしていた。
そんな中、背中の肉離れが起きた。
激痛で眠れないようだった。
大会が1週間後に迫っていた。
「何とか治してあげたい」
そんな思いで病院に毎日通院させた。
接骨院の先生のお陰で、
完治まではいかないが、投げられるようになった。
大会当日、長男はマウンドにいた。
投げてはいるが、やはり本調子ではなかった。
1回でマウンドを降りたものの、
チームは勝ち進んだ。
しばらくは怪我を治すことに専念した。
大会が終わるころ、怪我はほぼ完治した。
練習試合を観に行くとどうも調子が悪そうだ。
まだ復帰したばかりだから仕方ないと思っていたが、
一向に調子が上がらなかった。
元気を出してもらおうと、
埼玉の実家に子ども3人連れて遊びに行った。
その日、夕飯を食べているときにぼそっと、
「ボールを投げるのが怖い」と呟いた。
まさか、恐れていたことが起こってしまった。
イップスだ。
イップスを克服するのには相当時間がかかった。
ところが、そのタイミングで突然、
「やりたいことを見つけた」と長男。
いままで、自分は怪我やイップスで苦しんだ。
今度は助ける立場の仕事に就きたいと、
初めて語った。
今となっては、怪我したことも無駄ではなかった。
人生無駄な経験など何一つないと実感した。
進路決定、将来の夢、何がきっかけで見つかるか分からない。
やりたいことが何も見つからないのであれば、
「嫌いじゃないことから始めてみる」のもありだと考えた。
※イップス:誰もがかかってしまう可能性のある精神的な症状。
野球だけでなく、さまざまなスポーツで生じる。
思い通りのプレーができず、症状として表れてしまうこと。
【著者プロフィール】
三児の母。1999年ライセンスアカデミーを退職。当時は千葉県を担当。
第三子が中学校入学と同時に、2018年復職。現在は東京23区担当。
学生時代は女子サッカー部所属。
全日本学生選手権(大学インカレ)への出場経験あり。