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校内ガイダンス今昔(後編) 筆者:小林 英明(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与)

コラム

校内ガイダンスの参加企業を学校で依頼するという提案は、
多少はあてがあってのことだったが、
実行するとなると簡単ではない。
頼りになるのは生徒の就職を契機にご縁のできた企業である。

しかし、参加には前向きな答えがいただけても、
日程調整が問題だ。
ガイダンスの多くは行事計画で各学期末に決まっていて動かせない。
しかも1学期末は求人時期、2学期末は年末、
そして3学期末は年度末ということで、
すべて企業の繁忙期に当たる。
実現するのは2~3社が精いっぱいだった。
ところが、参加した企業の方々は、
直接生徒に接する機会に手ごたえを感じているようで、
皆さんから「また呼んでください」とのお話をいただいた。
また、その企業の意欲は、
ガイダンスを運営した情報会社にも伝わっていった。

情報会社、参加企業、教員と、
それぞれが苦労をしつつ、
手探りで企業参加のガイダンスを作っていた一昔前に比べ、
現在は、
かなり多くの企業が高校のガイダンスに積極的になり、
さまざまなコンテンツを準備して校内ガイダンスに参加している。
ベンディングマシンサービスの会社は
運搬トラックを校内に乗り付け、
荷室の仕組みを見せたり、
積み下ろし作業を体験させたりした。
建設足場の企業は、
校内に2階建て住宅の高さで実際の足場を組んで見せ、
生徒にリモコンクレーンの操作体験もさせた。
鉄筋工事業の企業は、
若手の鉄筋工が資格検定用課題の鉄筋結束を実演した後、
生徒にも体験させた。
ちなみに実演したのは、
高卒1~2年目の女性鉄筋工だった。
スーパーマーケットは、
売り場ポップの考案と作成などで参加した。

校内での職業体験は様々な制約があり、
どの業種にもできるというわけではない。
やむを得ず「講話」の形をとるケースもあるが、
それでも製品見本や動画を活用し、
生徒の興味を呼び起こす努力をしてくださるのはとてもありがたかった。
特に近年、
普及発展したキャリア教育には企業の協力は不可欠だ。
生徒だけでなく職業理解が不足しがちな教員の知見を広げるためにも、
企業の一層のご協力をお願いしたい。

→ 前編はこちらからご覧ください

(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与 小林英明)

【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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