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新型コロナウィルスと学生支援 著者:小林雅之(桜美林大学総合研究機構 教授)

コラム

昨年度は、
いわゆる「高等教育の無償化」をテーマに
その現状と問題点をお送りしてきた。
この4月から、
新しい授業料減免と給付型奨学金の新制度が始まるのだが、
今回は、いま大きな問題となっている
新型コロナウィルスと学生支援についてお送りしたい。

コロナウィルスによって、
多くの学生がアルバイトを失い、
経済的に非常に苦しい状況に置かれている。
これに対して、
文部科学省や日本学生支援機構では、
新制度は家計急変が対象となることから、
該当する学生は申請するように呼びかけている。
しかし、この制度ではアルバイト収入の減少などへの対応は含まれない。
大学は授業料納付の減免や分納・延納など、
柔軟に対応することが求められている。
すでにそうした措置を取っている大学もある。
大学側に問い合わせて欲しい。

学生がオンライン授業を受けるための
通信費負担が増えることも懸念されているが、
これにも通信会社や大学などで対策が取られ始めている。
筆者が理事を務める「あしなが育英会」では、
15万円の給付をすることを決定した。
アメリカでは多くの学生が、
入学辞退をしたとも報じられている。
学生団体FREEの調査でも多くの学生が退学を考えているという。
そういうことが起きないように願わずにはいられない。

新制度が意外なところからスタートしたが、
その有効性とさらなる学生支援の必要性を浮き彫りにしたと言える。
暗いニュースが多い中、支援が広がることを期待したい。

(桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之)

【プロフィール】
東京大学名誉教授、桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、『大学進学の機会』(東京大学出版会)『進学格差―深刻化する教育費負担』(筑摩書房)など著書多数。

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