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じゃがたら通信(その2) 筆者:城所卓雄

1. ジャカルタ市内の交通渋滞及び道路事情

(1) 1990年から92年代当時、ジャカルタ市内の道路では、オートバイが中心で、乗用車はそれほど多くなく、交通渋滞には出くわしましたはあまりありませんでした。当時のオートバイや乗用車は、80~90%は、日本車両でした。

(2) それから約25年後の2017年8月、ジャカルタ市内を再度訪問しました際は、道路上では乗用車が中心となりオートバイは道路上では乗用車の周辺の空間地帯を走り抜けている状況となり、交通渋滞は相当悪化していました。
交通渋滞のランキングデータによりますと、ジャカルタは一時的には世界でワースト1位となった時期もあったようです。これらの乗用車やオートバイは、99%が日本社製の車両に変わっておりました。オートバイをよくチェックしますと、その半数以上が、カップルとのシェアです。ジャカルタ市内の交通渋滞を想像するためには、日本の道路上で、乗用車とオートバイが、先を競い合って大交通渋滞をつくりだしていると認識して下さい。2019年3月、日本のODAで建設されました地下鉄ジャカルタ高速鉄道(MRT)の南北線が開通したので、ジャカルタ市内の交通渋滞の解消に貢献されることを期待したいです。
日本とインドネシアの車両の違いは、インドネシア人による自動車保険などの加入者が少ないこともあります。

(3) しかし、合計5回で約2ヶ月間のインドネシア出張・訪問の機会がありながら、インドネシア、特にジャカルタにおいて一度も交通事故の現場に遭遇したことはありませんでした。そこで、ガイドに、「これだけの交通渋滞がありながら、私は、一度も交通事故の現場に遭遇したことがなかったのですが、その理由は何でしょうか」と質問しましたら、ガイドさんから次の通りの回答がありました。
「乗用車並びにオートバイの運転手が交通ルールを守るケースを数学的には、「プラス」マークとし、交通ルールを守らないケースを数学的には「マイナス」マークとしましょう。「プラス」マークと「マイナス」マークの車両が出あいますと、数学的には、「マイナス」マークとなりますので、交通事故が発生します。インドネシアでは、「マイナス」マークと「マイナス」マークの車両が出あいますので、結果的には、「プラス」マークとなりますから、交通事故はほとんど発生しません」。なんだか、納得できそうな説明でした。

(4) ジャカルタ市内や地方の都市でも、道路工事などがどんどん進んでおります。そのような中、既存の道路のインフラには維持管理が充分なされていると同時に、道路上のゴミの収集や雑草対策が充分に行われているとの印象を持ちました。

(5) ジャカルタ市内を午後9~10時頃、乗用車で移動していると、見えて来る現象があります。それは、午後9~10時頃であっても、市内のお店、特に道路脇にあります飲食店かあるいは出店のコーナーには、多数のお客であふれている光景です。

(6) 飲食店といえば、日本食料理の人気が急上昇中です。その結果、インドネシアは、お米の生産国ではありますが、日本食ブームを背景に、日本食料理用のお米が、日本からインドネシアに輸入される様になり、さらに、日本食ブームが上昇して行くものと理解しております。

2. インドネシアは、多民族国家で、多島嶼国家です。

(1) インドネシアの最新(2018年)の人口数は、2億6416万人になりましたが、ここで重要な事は、インドネシアは約300種族を擁する世界で最大の多民族国家です。その第1位はジャワ人で約40%、第2位はスンダ人で約15%をとなります。このように多民族国家ですので、宗教もたくさんあります。
さらに、言語ですが、公用語はインドネシア語/マレー語、オランダ語、インドネシアの各言語、中国語などがあります。
筆者は、インドネシアを学習した経験はなかったのですが、名古屋大学の大学院の業務で、海外からの留学生、特に、日本人の大学院生に加えウズベキスタンからの留学などとジャカルタおよびジョグジャカルタを訪問しました際、インドネシアの語彙で、2点驚いたことがありました。
1点目は、郵便局を訪問する際、ガイドから現地語で「カントール ポス」と紹介されされました。ジョグジャカルタにあるガジャマダ大学の地質研修所を訪問しました際、研究所の方から、コンクリートのことを、現地語で、「ベトン」と言われました。ウズベキスタンからの留学生と筆者は、ともにロシア語を理解出来ますので、インドネシア語で、事務所が「カントール」、コンクリートが「ベトン」と伺い、ともに、オランダ語並びにロシア語と全く同じ単語・語源であったと認識し、お互いに眼を白黒させました。

(2) 筆者は、中学・高校時代から人文地理には殊の外興味・関心がありました。その当時から、インドネシアは、1.7~1.8万の島々を有する世界で最多の島嶼国家(島国)であるとの認識を持っておりました。それが近年では、特に2013年、島に関する認識が変化しました結果、インドネシアは、13466島の保有となり世界では第5位となりました。ちなみに、4位までの国は、1位スウェーデン221800島、2位フィンランド188000島、3位ノルウェー55000島、4位カナダ52455島です。日本は、第8位6853島となります(2019年、雑学サークルのサイトより)。

(3) インドネシアは環太平洋火山帯の地域にあります。火山噴火が多いのみならず、2004年のスマトラ島大地震、2006年のジャワ島の中部地震および南西部地震などの自然災害が発生しました。特に、2004年12月のスマトラ島地震の際は、インドネシアだけでなく、スリランカやインドまで大被害を及ぼしたことをよく記憶しております。
なぜなら、筆者は、外務省の経済協力局の室長だったため、日本政府並びに民間組織による緊急援助隊による迅速な対応を行ったこと、現地での被害が予想外の大きさであったことなどよく記憶しております。
日本政府並びに民間組織による緊急援助隊の派遣があったお陰でしょうか、7年後の2011年に発生した東日本大震災のときには、インドネシアからの官民の迅速かつ心温まる支援がありました。
ちょうど本原稿案を作成中に、年末から新年にかけてジャカルタで、豪雨に伴う洪水や土砂崩れにて、死者が計60名になった旨のニュースが飛び込みました。日本とインドネシアでは、火山噴火被害、地震・津波被害、台風被害、洪水・豪雨被害が多く報じられておりますので、自然災害・被害で共通被害国であることを認識すべきであると思いました。

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