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タイムレス 筆者:橋本 光央

「インスタ映え」って言葉は、
普通に使われるようになりました。
自分が撮った写真を1分1秒でも早くSNSにUPする、
今では当たり前のことになっているようです。

でも、写真をフィルムで撮っていたころは、
今より楽しかったんじゃないかなと思います。
というのも、撮影した直後は、
画像を確認できなかったから。
現像されてくるまで、
どんなふうに撮れているのか分からなかったから、
ドキドキ・ワクワク、すごく楽しみでした。

ところが、
今は「すぐ」が求められています。
LINEやメールだってそう。
昔は、手紙を出したら、
その返事が来るまで何日もかかりました。
でも、待っている時間も楽しかったものです。
「待ちわびる」「待ち焦がれる」っていう感覚があり、
待っている時間そのものが楽しかったように思います。
昔と比べて今は、
「待つ」という“ゆとりの時間”がなくなったのではないでしょうか。

昔、いろいろなことに「待つ」という時間があったからこそ、
いろいろなことが考えられたのではないでしょうか。
その間に相手のことを考えたり、
自分自身のことをもう一度考え直してみたり。
待っている間に、
知らず知らずのうちにコミュニケーションの方法を模索していたように思います。

少しの時間も待つことができなくなってしまった今の人々。
タイムラグなく、タイムレスで、すぐに応えを求める人々。
少しでも遅れると切れてしまう人もいます。
待っている時間がなくなってしまったことが、
人と人の関係をギスギスしたものにしてしまったように思います。

ところで、英語で「timeless」というと、
「時代を超越した」「永遠の」という意味になります。
待っている時間をなくしてしまった現代ですが、
だからこそ意識して、
少しでも「相手の気持ち」を考える時間を持ちたいものです。
そうすれば、きっと「永遠の友達」ができると思います。

(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫(https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/)にて作品を無料公開中。

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