タイムレス 筆者:橋本 光央 更新日: 2019年11月11日
「インスタ映え」って言葉は、
普通に使われるようになりました。
自分が撮った写真を1分1秒でも早くSNSにUPする、
今では当たり前のことになっているようです。
でも、写真をフィルムで撮っていたころは、
今より楽しかったんじゃないかなと思います。
というのも、撮影した直後は、
画像を確認できなかったから。
現像されてくるまで、
どんなふうに撮れているのか分からなかったから、
ドキドキ・ワクワク、すごく楽しみでした。
ところが、
今は「すぐ」が求められています。
LINEやメールだってそう。
昔は、手紙を出したら、
その返事が来るまで何日もかかりました。
でも、待っている時間も楽しかったものです。
「待ちわびる」「待ち焦がれる」っていう感覚があり、
待っている時間そのものが楽しかったように思います。
昔と比べて今は、
「待つ」という“ゆとりの時間”がなくなったのではないでしょうか。
昔、いろいろなことに「待つ」という時間があったからこそ、
いろいろなことが考えられたのではないでしょうか。
その間に相手のことを考えたり、
自分自身のことをもう一度考え直してみたり。
待っている間に、
知らず知らずのうちにコミュニケーションの方法を模索していたように思います。
少しの時間も待つことができなくなってしまった今の人々。
タイムラグなく、タイムレスで、すぐに応えを求める人々。
少しでも遅れると切れてしまう人もいます。
待っている時間がなくなってしまったことが、
人と人の関係をギスギスしたものにしてしまったように思います。
ところで、英語で「timeless」というと、
「時代を超越した」「永遠の」という意味になります。
待っている時間をなくしてしまった現代ですが、
だからこそ意識して、
少しでも「相手の気持ち」を考える時間を持ちたいものです。
そうすれば、きっと「永遠の友達」ができると思います。
(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫(https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/)にて作品を無料公開中。