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職場定着指導の効果 筆者:小林 英明(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局次長)

職場定着指導とは、
中卒、高卒の若年就職者の早期離職を未然に防ぎ
長く働き続けられるように、
ハローワーク職員が事業所を訪問、本人と面談して状況を把握、
そして、問題があればアドバイスをしたり企業との間に入って、
解決の援助を行う活動です。

ハローワークがその結果を出身校の進路指導部に
報告してくれることもあります。
就職指導教員にとってこの報告は非常にありがたいものです。
卒業生の様子を知るだけでなく、
就職先の若手育成姿勢が見えるからです。
当然、今後の就職指導の参考資料として蓄積します。

また、これは企業にとっても大切なものです。
職場の人には遠慮して話しにくかった職場環境の問題が、
面談をきっかけに会社に伝わり、
改善され本人も会社も良い結果となった事例がありました。
かなり昔のことですが、
本人が大柄のため、立ち仕事の作業台が若干低く、
腰に少し負担を感じていたにもかかわらず我慢していたケースがありました。
その後、会社は作業台の改善だけでなく、
意見や要望の言いやすい職場作りにも取り組んだそうです。

訪問先はハローワークが選ぶようですが、
高校からの希望に基づいて訪問してくれるケースもあるようです。
ところが残念なことに、
実際に訪問して面談ができる事例は、
訪問受入依頼をした事業所の3割程度と聞きました。
どの企業が訪問を拒否したか、学校は知ることはできませんが、
訪問を受け入れたと言う情報は他校へも伝わります。

多少のトラブル情報があっても、
誠実に対応していることがわかればマイナスとしてはとらえません。
当然教員は「信頼に足る会社」という印象を持ちます。
事業所の皆様にはハローワークからの依頼があった場合には、
可能な限りこれを受け入れていただきたいと思います。
高校では、
多くのハローワークが訪問結果を
学校に報告することを求めています。

(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局次長 小林英明)

【筆者プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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