高校における年度末の就活支援 筆者:小林 英明(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局次長) 更新日: 2019年9月2日
毎年というわけではないが、
年度末になっても就職活動中の生徒がいる。
18年度は2月末から3月末にかけて8名という
例年にない多数の生徒が就職活動をした。
最終入試まで頑張ったが合格を得られなかった者や、
家庭状況の急変で進学を断念した者もいたが、
今回は、この時期になって初めて就職指導担当の前に現れた者や
夏頃に一度就活をリタイアした者が見受けられた。
話を聞くと、「よく考えてみたら」
というフレーズが耳に残る。
「よく考えてみたら、
高校から就職するほうが良さそうだから……」
「よく考えてみたら、
自分で探すのは難しいから……」
「よく考えてみたら、
卒業してからの就活は大変だから……」
前年4月からどころか2年生の頃から、
いく度となく言い聞かせていたことが、
ようやくここに来て分かったようである。
「今さら何を」と言いたいところをこらえて、
就職指導を始める。
生徒たちにとって幸いなことに、
昨今はこの時期でも多くの企業が求人を継続している。
しかし、彼らに求人票を一枚一枚めくりつつ、
検討する時間は多く残されていない。
そのような時に、年末以降に頂いている求人継続情報や
前もって頂いていた「年度末でも受け付けます」という情報に
助けられることは多い。
それでも限られた時間内で、
各々の生徒に合いそうな求人を複数提示するのは
かなりの難題である。
しかしそれ以上に難題なのは、
そのような生徒達にもっと早い時期から就職について
よく考えさせる手段である。
(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局次長 小林英明)
【筆者プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。