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score 筆者:橋本 光央

20年くらい前だったでしょうか。
「ゆとり教育」が叫ばれていた頃、
教育界に「褒めて育てる」が流行りました。
確かに、褒められたら嬉しくて「もっと頑張ろう」と思います。

でも、「生徒は、褒めたら伸びるんだ」と
教えられた親や先生たちは、
褒め過ぎたんじゃないでしょうか。
どんなことでも、褒めて、褒めて、褒めまくったため、
子どもたちは慣れっこになってしまったように思います。
結果、2006年に、
速水敏彦『他人を見下す若者たち』という本が出版されるくらい、
世の中には「自分はできる」と過信する若者が溢れてしまいました。
なぜなら、褒め続けられていた彼らは、
どんな時だって「自分が一番」だったから。

ところが、根拠のない自信だけで仕事はできません。
実力が伴っていない若者は、
社会では全く通用しませんでした。
そんな若者達は、少し叱られただけでシオシオのパァ。
すぐに心が折れてしまう、
弱っちい人間に過ぎなかったのです。

それに比べて、外国の人々は強いのです。
精神力が違います。
まさに命掛けで戦っている、企業戦士です。
そして、グローバル化が声高に叫ばれている現在、
我々は彼らを相手に仕事をしなければなりません。
つまり、彼らに負けない心の強さが必要なのです。

そういえば、1985年に城山三郎『打たれ強く生きる』という本が
ヒットしました。
日本人に強さが求められていた時代だったのです。
それが『他人を見下す若者たち』ですからね。
よく「まわるまわるよ 時代はまわる♪」
と言われますが、
確かに20年単位(score)で時代が繰り返しているように思います。
さて、もうすぐ『他人を……』から20年、
確実に次の時代は回ってきています。
今、求められているのは
「試験で得点を上げる能力」ではありません。
実社会で役に立つ、
心のしっかりとした「強い人間」を育てることです。
いつまでも「世界をリードする日本」であり続けるために。

(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』
『ショートショートの宝箱2(2019.4.11発行)』に作品掲載あり。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/

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