score 筆者:橋本 光央 更新日: 2019年8月7日
20年くらい前だったでしょうか。
「ゆとり教育」が叫ばれていた頃、
教育界に「褒めて育てる」が流行りました。
確かに、褒められたら嬉しくて「もっと頑張ろう」と思います。
でも、「生徒は、褒めたら伸びるんだ」と
教えられた親や先生たちは、
褒め過ぎたんじゃないでしょうか。
どんなことでも、褒めて、褒めて、褒めまくったため、
子どもたちは慣れっこになってしまったように思います。
結果、2006年に、
速水敏彦『他人を見下す若者たち』という本が出版されるくらい、
世の中には「自分はできる」と過信する若者が溢れてしまいました。
なぜなら、褒め続けられていた彼らは、
どんな時だって「自分が一番」だったから。
ところが、根拠のない自信だけで仕事はできません。
実力が伴っていない若者は、
社会では全く通用しませんでした。
そんな若者達は、少し叱られただけでシオシオのパァ。
すぐに心が折れてしまう、
弱っちい人間に過ぎなかったのです。
それに比べて、外国の人々は強いのです。
精神力が違います。
まさに命掛けで戦っている、企業戦士です。
そして、グローバル化が声高に叫ばれている現在、
我々は彼らを相手に仕事をしなければなりません。
つまり、彼らに負けない心の強さが必要なのです。
そういえば、1985年に城山三郎『打たれ強く生きる』という本が
ヒットしました。
日本人に強さが求められていた時代だったのです。
それが『他人を見下す若者たち』ですからね。
よく「まわるまわるよ 時代はまわる♪」
と言われますが、
確かに20年単位(score)で時代が繰り返しているように思います。
さて、もうすぐ『他人を……』から20年、
確実に次の時代は回ってきています。
今、求められているのは
「試験で得点を上げる能力」ではありません。
実社会で役に立つ、
心のしっかりとした「強い人間」を育てることです。
いつまでも「世界をリードする日本」であり続けるために。
(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』
『ショートショートの宝箱2(2019.4.11発行)』に作品掲載あり。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/