牛乳パックを棚の奥から取っていませんか 筆者:橋本 光央 更新日: 2019年6月21日
夕方、スーパーに行くと、
よく商品の補充をしています。
例えば牛乳。売れ残ったものを前にして、
新しいパックを奥に置く。
店としては、古いものから売りたいのでそう並べるのですが、
客だって百も承知。
つい奥の方に手が延びてしまいます。
それは、ごく当たり前のことのように思いますが……。
みんながみんな、奥のパックを取っていくと、
前に並べられた古いパックが残ってしまいます。
そして売れ残った牛乳は、返品~廃棄処分となります。
逆に、もしみんなが前から順に買っていったらどうでしょう。
すると売れ残った牛乳は、次の日にも売られます。
棚の前に並べられて。
日本では食品の約20%が、
廃棄処分となっているそうです。
逆に言うと、生産者側は20%が無駄になることを前提にして
価格設定をしているということなります。
だから、もし廃棄されることがなければ、
2割安い価格に設定することが可能となります。
つまり、我々が棚の奥に手を延ばすことで、
商品の価格を2割も引き上げているのです。
ところで、最近よく「グローバル」という言葉を耳にします。
「世界基準」とか「世界に目を向けて」とか、
すごく格好いいですね。
でも、「世界、世界」と言われても、
我々一般人にはあまり実感できないんじゃないかな。
「大企業さん、頑張って」と思う人がほとんどだと思います。
でも、牛乳パックを前から順に取るだけで、
廃棄処分品がなくなります。
それは、地球レベルでとても良いことです。
逆に言うと、自分だけが徳をしようとすれば、
(一つの例として「賞味期限が1日遅い牛乳を買おう」とする行為)
それが地球環境の破壊につながってしまうのです。
日常生活の中にもグローバルはあります。
みんなが少しだけ視野を広げ、
そして実践する。
それが『グローバル』なのです。
だから、せめて牛乳は棚の前から取るようにしたいものです。
(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』
『ショートショートの宝箱2(2019.4.11発行)』に作品掲載あり。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/