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せっかくどうも 筆者:羽根田 ひとみ

「せっかくどうもない」
私の住む地方(福島県の福島市、伊達地区)の方言によるあいさつだ。
うちは食堂をやっていたので、
魚屋さんも、豆腐屋さんも、酒屋さんも、肉屋さんもみな、
朝昼晩関係なく「せっかくどうもない」
と言いながら元気にやって来た。
道ですれちがうときもみなそう挨拶するのだ。
おそらく意味は、
「いつもお世話になっております。
わざわざどうもありがとう」だろう。
この言葉は最近私自身使わなくなっていたが、
あることをきっかけに思い出した。

それは、先日、陸上の小出監督が亡くなったとき、
マラソン選手の有森裕子さんの会見だ。
彼女が怪我をしたときに、
小出監督が「せっかくだから」という表現をした。
アンラッキーさえも訪れた全てのことを受け入れる。
そして、それを経験として自分のものにしていく。
そんなふうに感じた。

それ以来、私はまた
「せっかくどうもない」を使うことにした。
また、少し面倒だと思うことも、
全て快く引き受けることにした。
若干意味は違っているのかもしれないが
出会った人に、小さな喜びも、アンラッキーなことも、
わざわざ来てくれた縁なのだろうと感謝して
元気に笑顔であいさつしようと思っている。

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