坂本龍馬や高杉晋作よりも 筆者:橋本 光央 更新日: 2019年2月13日
少し前に読んだ本に、印象的な言葉がありました。
「私たちの時代はもう坂本龍馬や高杉晋作を生まないだろう。
本田宗一郎や松下幸之助さえ期待できないかもしれない。
時代が変わったのだ」
これは、石田衣良さんの『波のうえの魔術師』で、
語られている言葉です。
坂本龍馬の名前を教科書から削除するという話もありますが……
ここに名前のあがっているのは、
自分自身の力で時代を動かした青雲の士であることに間違いはありません。
ところが、これからは「それが期待できない」と言うのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
「群盲、象を撫ず」という故事があります。
昔、あるところに、大勢の目の不自由な方が集まっていました。
そして、彼らがはじめて象という生き物に触れたときのことです。
耳を撫でた人は「象というのは、大きな団扇に似ている」と言いました。
鼻を撫でた人は「大蛇のようなものやで」と言いました。
お腹を撫でた人は「いやいや太鼓に似ているぞ」と言いました。
足を撫でた人は「違うがな、切り株みたいなもんやがな」と言いました。
これは、盲人が自分の触った部分だけから象を想像したために、
正しい判断ができなかったのであり、
それと同じように
「凡人には、大局から見た正確な判断はできない」
ということを表した寓話です。
では、どうすれば正確な判断ができるようになるのでしょうか。
答えは簡単です。みんなで力を合わせればいいのです。
もし、先の群盲が象を撫でた結果を話し合って
「耳の情報」と「鼻の情報」と「お腹の情報」と「足の情報」を
合わせて考えていたらどうなったでしょうか。
自分だけが得をしようと、他人を出し抜いて生きるのではなく、
「みんなで良い社会を築き上げよう」と
協力し合えばどうなるでしょうか。
私は、それこそが、
これからの社会に必要とされるものだと思います。
耳、鼻、腹、足。
そして、今後の社会を築いていくために必要な最後の礎、
その「尻尾をつかんでいる」のは、
そのことに気づいた‘私たち’なのです。
そう、‘私たち’が力を合わせれば、
必ずや坂本龍馬や高杉晋作や本田宗一郎や松下幸之助に、
勝る力を発揮できるのだから。
(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)
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ペンネーム「橋本喬木」として書かれた
『魔法の黄色い自転車』が、
web光文社文庫に掲載されました。
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