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「続・スピッツと土佐犬」 筆者:橋本 光央

最近、世間では『アドラ―心理学』が流行っているようです。
そういえば、私も学生時代に勉強しました。
と言っても、何冊かの本を読んだだけなんですが……。
それでも、すごく印象に残っています。
なぜなら、それはビックリするくらい頼りない学説であり、
「人は変わらない」ということを力説しているだけに思えたからです。

一つの例として、
「全ての人は私のことを嫌っている」と思っている人がいたとします。
たまたま誰かがその人のことを好きになったとき、
その人はすごく不思議に思うのです。
「そんなはずはない。これには何か下心があるに違いない」と。
そんな思いで付き合っていたら、
本当に嫌われますね。
でも、そうなるとこの人は安心するのです。
そして、「全ての人は私のことを嫌っている」という自分の信念を確信し、
「だまされなくてよかった」「やっぱり誰も、私のことを好きにならないんだ」
と安心してしまう。

という具合に、とにかくアドラーさんは
「人の思いは決して変わらず、しかもその思いは実現してしまう」
と言っているんです。

そうなんです。人って、他人から何を言われようと、
絶対に自分の思っていることを変えないんです。
だから、勉強をしない子供に「勉強しろ、勉強しろ」
と繰り返してみたところで、するわけがありません。

アドラー心理学は、よく「気づきの思考法」と言われます。
アドラーの考えにおいては、その「気づき」を支援することが大切です。
「支援」と言うと「何かを、してあげなきゃ」と思ってしまいがちですよね。
結果として、「あれをしなさい、これをしなさい」と言ってしまう。
でも、「自分一人でやるから、放っといてくれ」と言われたときに、
「何もしない」というのも支援の一つなんですよ。
ついつい「あーだ、こーだ」と言いたくなるのですが、
言ってしまうと逆効果になってしまいます。

同じく、何でもかんでもほめるというのもだめなんですけどね。
じゃあ、どうすればいいかというと、
アドラーは「勇気づけ」と言っているのですが、
「やったことを認めてあげると伸びる」んだそうです。
「放任はするけれど、放置はしない」
「見守りはするけれど、過干渉しない」
「必要なら助言・手助けをするが、必要がないなら何も言わない」
その見極め方とその後の対応が、
アドラー心理学のキモだということです。
見守っている方からすると、
それはとても「しんどい」ことなのですが、
「ここぞ」という時の見極めが大切なんです。
あれ、これって前回の『スピッツと土佐犬』と同じやん!

(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)

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